酒井健太(アルコ&ピース)『チャンサカの気まぐれパンチライン』第25回:実家

連載・コラム

[2021/7/13 12:00]

音楽好きでラッパーとしてもひっそりと活動、一部では「ラジオスター」と呼ばれていたりもする鬼才(!?)アルコ&ピース酒井健太によるフリースタイルコ・ラ・ム!(月1回更新予定だチェケラ!)


ま、それもそうだな

最近、家の事情で実家に帰る事が多かった。

川崎と東京バカ近いから、いつでも帰れる。

飛行機とかで実家帰るやつマジ羨ましい。
一回やってみたい。
キャリーバッグ引きずって空港着いたら父ちゃん車で待ってくれてるやつ。
んで実家着いたら母ちゃんの本気のメシ食いたいのに寿司頼んでやがって「これじゃねーのに」ってやつ。

川崎なんか品川から一駅。
エロいこと考えてたら秒で川崎着いちゃう。

それでも車窓から多摩川が見えると「そろそろ川崎か……」ってなんて気持ちにもなる。

駅に着くとJR川崎の発車メロディの『上を向いて歩こう』が流れる。
最近この発車メロディになったから特にエモなし。

改札出て徒歩で家に向かう。
家まで25分くらい。
マジで目つぶってても行ける。

駅のエスカレーター降りるとアゼリアっていう地下街の入り口が見えてくる。

昔ばあちゃんと一緒に風呂入ったとき、川崎はアゼリアがあるから戦争が起きたらそこに逃げればいいって防空壕のノリで言ってたな。
なちぃ。

アゼリア通って階段を登るとラ チッタデッラっつー商業施設が見えてくる。
イタリアみてーな街並み。

できたときマジビビった。
こっから川崎がトスカーナ化していくのかと思った!

高校生の頃、ラ チッタのスタバで友達と茶しばいてたら、クラスのオラついてるクラッシクタイプのヤンキーの女の子がお花柄のワンピース着て彼氏とイチャコラしながら歩いてるの見て、あんなに学校では強気でも女の子なんだなーって思った記憶がある。
いまだにあっこのスタバの前通ると思い出す。

スタバを抜けて歩いていくと川崎の老舗サウナ、ビッグが見えてくる。
最近はサウナーが注目してるゆいるっていう温浴施設ができて川崎のサウナが盛り上がってる。
ここは昔からあるサウナサウナしてるサウナ。
浴場内のイスがなぜかスケベイス。
おすすめ。

そこからもう少し歩くと中学の頃通ってた塾があったビルが……もうない。
駐車場になってる。
ま、それもそうだな。

そんなこんなで酒井家到着。
母ちゃんはもう寝てる。
そっと鍵を開けて2階に行く。
お迎えも歓迎の寿司もない。
ただ俺が部屋まで行く動線の電気はつけられてる。
部屋にはラップに包まれた冷たい炒飯が置かれてる。

ウチの母親なりの歓迎。
最高だぜ。

イラスト:酒井健太

(※次回は8月中ごろ公開予定!)

酒井健太

さかいけんた●1983年10月29日生まれ、神奈川県川崎市出身。2006年4月に結成されたお笑いコンビ・アルコ&ピースのツッコミ担当。多くのラジオ番組をもち、一部では「ラジオスター」と呼ばれていたりもする。ロック、ヒップホップ、アイドルなど音楽にも造詣が深く、「菊田健太」の名前でラッパーとしてもひっそりと活動。MCバトル大会『戦極 MCBATTLE』にもちゃっかり出場した経験をもつ。サッカーも得意で中学生時代には川崎市選抜に選ばれたことがある。