酒井健太(アルコ&ピース)『チャンサカの気まぐれパンチライン』第46回:ブルハ
音楽好きでラッパーとしてもひっそりと活動、一部では「ラジオスター」と呼ばれていたりもする鬼才(!?)アルコ&ピース酒井健太によるフリースタイルコ・ラ・ム!(月1回更新予定!)
俺の鼓膜を突き破って胸にブッ刺さった!
幼馴染のゆうじ。
よく家に遊びに行っていた。
家も近所で、小学校のときの野球チームでバッテリーを組んでいた。
俺ピッチャーでゆうじがキャッチャー。
こっちのほうが楽だからって宇宙初の正座でキャッチャーやってた。
高校までずっと一緒。
学校一緒に行ったり部活終わってメシ食ってゆうじんち行ってウイイレやったりパワプロやったり、余談だけど俺の今中の直球とスローカーブの配球は手つけれなかった。
ゆうじんちはWOWOW入ってるし漫画めっちゃあるしゲームなんでもあった。
そんで映画も好きでバンドなんかも詳しかった。
のちにお笑いコンビを組んでゆうじと舞台に立つんだけど、それはまた別の話。
ま、とにかくゆうじから教えてもらったことはたくさんあって、ブルーハーツもそのひとつ。
それまで普通にJ-POPしか聴いてなかった。
中学3年の頃の夏休み。
午前中でサッカー部の部活が終わって、やることないからゆうじんちに行った。夏休みはいつもそうしてた。
いつもどおりウイイレやってパワプロやってゲームにも飽きてダラダラ過ごしてた。
俺はなんとなく勉強机に座り片膝ついて漫画を読んでいた。
ふと机の上に目をやると、夏休みの宿題とポータブルCDプレイヤーが乱雑に置かれていた。
中身を気にすることなく適当にイヤホンを耳に装着して、再生ボタンを押し漫画をまた読み始める。
トゥートゥートゥートゥートゥートゥトゥトゥトゥトゥートゥートゥー♪
「ブルーハーツか」
声でわかった。
ブルーハーツを知らないわけじゃなかった。
曲も何曲か知っているが、ちゃんと聴いたことがなかった。
漫画を読んでいるが徐々にヒロトの声に引き込まれていく。
OH~OH OH~♪
生まれたからには生きてやる♪
え、いいじゃん。
ブルーハーツ……。
手にしたモノをよく見てみれば望んだモノと全然違う♪
え!! どんどんヒロト来るじゃん!
来る来る!!
あーー!!
とうとうヒロトの声が俺の鼓膜を突き破って胸にブッ刺さった!
冷静を装いゆうじに言った。
「ブ、ブルーハーツめっちゃいいね」
この衝撃は本当にすごかった。
いまだになんて言葉にしていいかわからないけど、ただ本当に感覚として、ぐさっと何かが刺さった感じだった。
そっからゆうじにいろいろ教えてもらって、ハイロウズも聴いてどっぷりヒロトとマーシーにハマった。
それから10数年経って、長崎の音楽フェスのバックヤードでアーティストの方にインタビューをするお仕事で、クロマニヨンズとして出ていたヒロトさんとマーシーさんを遠くから見ることができた。
あの歳になってもまだまだかっこよかった。
インタビューこそできなかったが、生ヒロトさんと生マーシーさんは痺れた。
でもあれでいいんだよな。
インタビューなんかしたら、なんか距離感バグってあのとき聴いた衝撃を忘れちゃいそうな気がする。
いつまでも消えない初めて聴いた衝撃。
あのとき聴いといて良かった。
大人になってから聴いてたら、また違った感じだったと思う。
いつかヒロトさんとマーシーさんにこのこと伝えたいな……。
ま、でもいっか。
(※次回は6月中ごろ公開っつー話!)