近年の活動がかなり “キてる”筋肉少女帯の魅力&大槻ケンヂインタビュー

[2015/10/29 00:00]

1984年にデビューしたロックバンド筋肉少女帯(以下、筋少)が近年、アニメ『うしおととら』のオープニングテーマを担当したり、ニューアルバム『おまけのいちにち(闘いの日々)』(10月7日発売)をリリースしたり、積極的な活動をみせている! 本特集では、そんな“今キてる”筋少の魅力を改めてご紹介しよう。後半にはボーカル・大槻ケンヂへのインタビューも掲載! ニューアルバムの話から、”夏フェス陰謀疑惑””ミュージシャンのロボ化”などなど、オーケンワールド全開のインタビューとなっているので、こちらもぜひチェックしてほしい。

筋肉少女帯

【筋肉少女帯の魅力をあらためて考えてみた】

唯一無二の世界観
筋少に類似するバンドはいないと言えるだろう。ハードでヘヴィなサウンドに文学的でユーモアのある歌詞、フロントマンの大槻ケンヂ(通称オーケン)を筆頭に、オリジナルメンバーのベースシスト内田雄一郎や、ギターの橘高文彦と本城聡章、という個性的なメンバーがそれぞれの独自のセンスをぶつけ合って表現する独特の世界観……すべてが合わさって絶妙なバランスが生まれ、既存の型にはめることなんてできない!

橘高文彦(ギター)

クセのある楽曲
筋少の曲はおもにボーカルの大槻ケンヂが歌詞を書いており、作曲はそれぞれのメンバー、アレンジはバンド全体で行っていることが多い。ヘヴィなサウンドのなかにもポップセンスが光り、力強くも繊細な演奏とともに耳元に届ける。“暗いけど明るい”“怖いのに笑える”ような対極にあるはずの感覚が自然に同居している点が特徴的で、中毒性はバツグンだ。

内田雄一郎(ベース)

演奏力がスゴい
とにかく演奏がカッコイイ! ギターの橘高と本城、ベースの内田が超絶テクニックを駆使しながらハード&ヘヴィなバンドサウンドを構築。安定感も超バツグンで、音源だけでなく、ライブでもハイクオリティな演奏を聴かせてくれる。ドラマーは1998年に太田明が脱退してからは流動的で、長谷川浩二や河塚篤史、LUNA SEAの真矢など個性的なメンツがサポートとして参加。バンド初期では、キーボードの三柴理(1989年に脱退)の激情的なプレイも印象的だった。

本城聡章(ギター)

文学的でありコミカルでもある歌詞のすごさ
筋少の世界観を構築する要素として、“歌詞”を欠かすことはできない!『釈迦』(1988年)や『蜘蛛の糸』(1994年)のように歌詞がひとつの物語になっている文学的なものもあれば、『香菜、頭をよくしてあげよう』(1994年)や『僕の歌を総て君にやる』(1996年)などの純粋な愛を独特の視点から表現したもの、『日本の米』(1988年)、『日本印度化計画』(1989年)や『踊るダメ人間』(1991年)に代表されるようなコミカルで笑えるものまで歌詞の振り幅が広い。言葉選びが独特で、ひとつの小説を読んでいる気分にもなる。

大槻ケンヂというひとつのジャンル
やはり大槻の存在なくして筋少は語れないだろう。作家としても活動し、小説、コラム、エッセイなど幅広く執筆。小説『くるぐる使い』(1994年)、『のの子の復讐ジグジグ』(1994年)はSF 作品に贈られる文学賞『星雲賞』も受賞している。SF小説や映画、格闘技、超常現象などさまざまな分野にも造詣が深く、エッセイではそのあたりの話題もたびたび登場。
このように作家としての才能を発揮する一面がありながらも、自らを大きく見せてかっこつけることをせずに、ときに自虐と皮肉を交えながら“のほほん”と生きる姿は、もはや“大槻ケンヂ”というひとつのジャンルを形成している!

大槻ケンヂ(ボーカル)

さまざまなミュージシャン・クリエイターへの影響
さまざまなミュージシャンやクリエイターが筋少に影響を受けたことを公言しており、銀杏BOYZの楽曲『17歳(…Cutie girls don’t love me and punk.)のなかでは大槻の著書『グミ・チョコレート・パイン』が登場したり、氣志團の綾小路翔やPOLYSICSのハヤシらも筋少へのリスペクトを公言している。
また、貞本義行による漫画作品『新世紀エヴァンゲリオン』に出てくる綾波レイの眼帯姿は、筋少の曲『何処へでも行ける切手』からインスピレーションを受けていたり、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で筋少の曲の歌詞が登場するなど、数々の作品への影響も見受けられる。『ハチミツとクローバー』『3月のライオン』などで人気の漫画家、羽海野チカも筋少や大槻のファンであることを公言しており、大槻のエッセイ集『神菜、頭をよくしてあげよう』(2003年)のカバーイラストを担当している。

【最近の筋少のここがアツい!】

ももクロへの提供曲『労働讃歌』で話題に
2011年に大槻がももいろクローバーZの6thシングル『労働讃歌』の作詞を担当。同曲はアルバム『5TH DIMENSION』(2013年)に収録されている。また、2014年に同曲を筋少がセルフカバー(アルバム『SHOW MUST GO ON』に収録)し、話題になった。筋少のライブでも大盛り上がりの定番曲だ。

盟友、人間椅子とのコラボが大盛り上がり
近年の筋少の活動のなかでも特に盛り上がりをみせたのは、ロックバンド人間椅子とのコラボだ。以前から親交の深かった2組がコラボしてシングル『地獄のアロハ』を2015年5月に発売し、同年6月には渋谷公会堂でともにライブを行った。ヘヴィでテクニカルな演奏を聴かせる両者の“地獄の”コラボはコアな音楽ファンをも唸らせた。

アニメ『うしおととら』のオープニングに
筋少が2015年8月に発売したシングル『混ぜるな危険』は同年7月から放映されているアニメ『うしおととら』のオープニングテーマとなっている。『うしおととら』の原作者、藤田和日郎も筋少好きを公言しており、ファンも待望のコラボとなった。アニメの内容と曲の世界観もマッチしており、オープニング映像もものすごくカッコイイ!

『混ぜるな危険』通常盤ジャケットは藤田和日郎の書き下ろし!

50歳の全力ライブ! 夏フェスにも多数出演!
メンバーの平均年齢は49.5歳だが、年齢を感じさせないパワフルかつアグレッシブなライブを敢行! 近年はさまざまな夏フェスにも出演しており、『WORLD HAPINESS 2015』ではイベントのキュレーターを務める高橋幸広が所属するYMOの代表曲『ライディーン』のパロディ曲『来るべき世界』を披露して会場を沸かせた。どんなアウェーな状況であっても独特のパフォーマンスで会場全体を盛り上げるところもさすがである!

前作のアルバムが20年ぶりのオリコントップテン入り
2014年に発売されたアルバム『SHOW MUST GO ON』はオリコン週間ランキングで20年ぶりにトップテン入りを果たし、タワーレコード週間チャートでは全店総合で3位にランクインした。2015年に六本木EXシアターで開催されたワンマンライブでは2日間ともソールドアウト。人気ぶりをみせつけている。

前作から期待が高まるなか……今作もさらにヤバい! オーケンのインタビューも一緒にどうぞ!
前作『SHOW MUST GO ON』からちょうど1年の短いスパンで発売された今作『おまけのいちにち(闘いの日々)』は、筋少らしさ全開のアルバムだ。
アニメ『うしおととら』のオープニングテーマ『混ぜるな危険』も収録され、ヘヴィなサウンドと一筋縄ではいかない歌詞、コメディタッチに歌い上げる曲や、メロウなバラードまで幅広いラインナップで、そのどの楽曲にも“筋少節”が炸裂している。
今まで筋少の曲を聴いたことがなかった人が聴く入門編としても、これまでの筋少ファンがその“筋少節”を堪能するにもぴったりの作品だ。

耳マン編集部