【特別コラム】永野「本当の三大巨頭は“リンプ、シャンプー、タトゥー”だ」
ロックフリークとして注目を集めている芸人・永野の書籍『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』が9月25日に発売された。本書の発売を記念して、内容の一部を抜粋してお届けするプチ連載をお届けします。第3回はみんな大好き(!?)リンプ・ビズキットのお話!
本当の三大巨頭は“リンプ、シャンプー、タトゥー”だ
ビースティ・ボーイズらが礎を作り上げたラップロックは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの世界規模の成功によってミクスチャーロックとして大流行した。その後レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやコーンが登場すると、よりメタル色を濃くしたラップメタル、ラップコアがシーンを席巻する。そんなラップメタルを“恥ずかしいもの”にし、ラップメタルを終わらせてしまったのがリンプ・ビズキットだった。
もちろん僕はリンプは大好きなのだけど、とにかくリンプは嫌われている。なぜなのか。それは当時あんなに調子に乗っていた奴はいないからだ。とにかくチャラいし、「全部の夢を叶えてやるぜ」みたいな顔してた。あれはヤバい。
そして何より、歌詞になんの深みもないのがヤバい。自分は音楽を聴くとき深堀りをするのが好きで、じっくり歌詞を読んだり、その背景を考えたり、“通”ぶってそのバンドに影響を与えた音楽までさかのぼって聴いたりしていた。それがリンプの場合は、歌詞を読んだとき「え?こんな簡単な歌詞なの?」と驚くしかなかった。今なら、ツイッターかよ!と思ったかもしれない。「くだらねえ!ファック!」みたいな歌詞ばかりで、深みも何もあったもんじゃない。「くだらねえ、彼女にフラれた、ビッチ!ファック!」って。何これ?と思ったよ。
だからヴォーカルのフレッド・ダーストもカリスマ性が一個もないんだよね。本当に馬鹿で、誰からも尊敬されず、後輩にもボロクソに言われる。リンプ以降に出てきたバンドがだいたいリンプを批判してたのも面白い。
位置づけで言っても、シーンのメインから消えていったということはやっぱり、リンプ・ビズキットは賢くはなかったんだと思う。調子に乗っていたのは間違いない。それでも僕は、ロックとはつけあがることだと思ってるので、調子こいてオラついていたときのリンプは好きだったんだよね。売れて、女にモテてウハウハで、中身ないのにシャウトで誤魔化して、深み出そうとバラードも歌うんだけど大したことなくて。なんか大したことないくせに調子こけるのが良かったんだよなあ。
続きは『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』で!
プロフィール
永野
お笑い芸人。1974年宮崎県生まれ。AB型。1995年、ピン芸人としてデビュー。「ゴッホとピカソに捧げる歌」などのシュールなネタで注目を集め、孤高のカルト芸人として人気を博す。ロックフリークとしても注目を集めており、9月25日に『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』を出版。