アイドルオタクは婚活市場で“優良物件”!? サブカル界の仲良し夫婦・掟ポルシェ&日下ゆにが開業した結婚相談所について根掘り葉掘り聞いてきた♡

特集・インタビュー

[2023/2/23 12:00]

掟さん、ついに真っ当な仕事を始めたんですか!?

ニューウェイブバンド・ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当で、DJやライターとしても活躍する掟ポルシェ。そんな彼が、妻で占い師の日下ゆにとともに、結婚相談所『縁むすび セキレイパートナーズ』を2月23日より開業したという情報を入手しました。当サイト『耳マン』のコラム連載で、2018年に書籍化&5刷重版の人気を巻き起こした著書『男の!ヤバすぎバイト列伝』ではバイトをサボりまくる様子を豪快に綴っていた掟さんが、ついに真っ当な仕事を始めたの!? しかも結婚相談所って、一体どうして!? ……気になりすぎた編集部の榊(30代・独身)が、サブカル界を代表する仲良し夫婦の掟さん&日下さんに開業のきっかけや事業内容、夫婦円満の秘訣に至るまでをリモートでたっぷりと聞いてきました〜♡

左から日下ゆに、掟ポルシェ。ご夫婦では初登場です! ヒューヒュー♡

掟ポルシェ プロフィール

掟ポルシェ

1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイブバンド・ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー。ユニークな文体で綴られるコラムが好評を博し、著書に『出し逃げ』(2015年)、『男の!ヤバすぎバイト列伝』(2018年)、『豪傑っぽいの好き』(2019年)、『食尽族〜読んで味わうグルメコラム集〜』(2022年)などがある。そのほか、俳優、声優、DJ、他アーティストへの楽曲提供やリミックスなど活動は多岐にわたる。

日下ゆに プロフィール

日下ゆに

福岡の老舗書店に生まれる。編集者、ライターを経て、2005年に掟ポルシェと結婚し一男一女を出産。出産後に占いを学び、中野トナカイ、横浜中華街、原宿占い館タリムなどに出演する人気占い師となる。おもに行なっているのは西洋占星術、タロット、手相、水晶リーディング。

結婚相談所は日本全体を背負う産業でもある

――そもそも、なぜ結婚相談所を始めようと思ったんですか?

掟:嫁が、2022年の夏頃から突然「結婚相談所を開業したい」と言い出したんですよ。

日下:占い師として占いをしていく上で、お客様の相談のほとんどが恋愛や結婚の話題だったんですね。恋愛に関してはそれぞれお好きにやればいいと思うんですけど、結婚したい人をどうやってサポートしたらいいかっていうと、「交際相手の気持ちがわからない」とか「そもそも相手が結婚をしたくなかったらどうしよう」とか、そういうすり合わせの作業がめちゃくちゃ多かったんです。その相談を解決するには、3ヶ月に1回とか、1回1時間とかの占いだとカバーできなくなってきちゃったんですよね。

掟:なんで占い師が結婚の相談を受けて、それをちゃんと斡旋するほうまでやらなきゃいけないんだって話でもあるんですけど(笑)。責任を持って仕事をやりたいってことなんでしょう。

日下:私は成果主義というか、結果がすベてじゃんって思ってるところがあるので、結婚のサポートをするのに、いち占い師だとできないことが多くなってくるわけですよ。相談に乗るにしても、占いで相性を見たり、相手の本当の気持ちを探ったり、相談者が本当に結婚に向いてる人種なのかどうかをわからせてあげたり、そういうアドバイスしかできない。最終的にはマッチングアプリのプロフィール添削もやってました(笑)!

掟:占い師なんだから本来はそこまでやんなくてもいいんだけどね? どこまでやってんの(笑)!? 嫁は元編集者でもあるので、編集者的な視点でも見てたんですかね。まぁ占い師ってきっと、その人の人生を預かっているようなものだと思うんですよ。だからそこに対して自分の能力をフルに生かしたいっていう気持ちがもともとあったんだよね?

日下:大いにありますね。ノーと言えない性格でもあるので、人様の性癖まで相談されて、「それならこのSMバーに行け」とか、なぜかそういうことまでアドバイスをしてました(笑)。これからは、占い師としてだけではなく、結婚相談所として堂々とお節介が焼けます。

掟:で、嫁はもともとそういう思いがあったわけですけど、結婚相談所を夫婦で一緒に始めようと思ったきっかけっていうのは、2022年の10月頃に自分が体調を崩してしまいまして。あまりに不調で、今後人前に立つ仕事ができなくなりそうだなって思う時期があったんですよ。そのときに、これからの仕事について嫁に占ってもらったら、「これまでの掟ポルシェ業のほかに、もう1本の柱ができるね」って。その柱っていうのが恋人たちを表す“ラバーズ”っていうカードで出たんです。それで、「これ、結婚相談所をやれってことなんじゃないの?」って話になって。改めて考えてみると、嫁が占い師としてやっていたカップルの相談に乗って結婚まで導いてあげるっていうことを、占いを超えたぶんまできちんとお金をいただく仕事にすれば、これまで以上に誠意を持って最後まで面倒を見れることになるんじゃないかと思って。それは占いのお客さんにとっても、結婚相談所に来た人にとっても、我々にとっても、すべてがいい結果を生むわけだから。

――そういう経緯で、ついに掟さんが真っ当な仕事を始めることに。

掟:サブカルみたいなものを仕事にしてた人間が、嫁と一緒に突然結婚相談所をやるなんて明らかに変だし(笑)、カタギの仕事をしたくないっていう気持ちもやっぱりあったんですよ。向いてないだろうなとか、恥ずかしいなとも思ってたし。でも、日本最大級と言われている『日本結婚相談所連盟(通称:IBJ)』に説明を聞きに行ってみたら、結婚相談所っていうのは少子化対策にも貢献している。だから日本全体を背負ってる産業でもあり、現代の日本が持っている不況などの問題の出口のきっかけにもなりうると。それだけ社会的意義もある仕事だし、これまでのように掟ポルシェ業を活発にできなくなるんだとしたら、思い切って始めようと思いました。

日下:(力強く)日本の人口を増やします!

掟:なんで占い師が少子化対策に力入れてんの(笑)!

しまおまほの似顔絵、二村ヒトシのセックス講座……豪華なオプションも!?

――結婚相談所って、おもにどんなことをしてくれるんですか?

掟:『セキレイパートナーズ』も前述のIBJに加盟したんですけど、IBJが全国各地の結婚相談所を取りまとめていて、そのノウハウを教える一方で、全国各地の結婚相談所を繋いでいる部分もあるんですね。各結婚相談所には現在8万人登録者がいると言われてまして、その方々をご紹介することができるんです。例えば『セキレイパートナーズ』の登録者が10名だとしたら、普通思い描くのは、その10名のなかのカップリングじゃないですか。そうじゃなくて、自分の希望に近い人、容姿なり収入なりいろんな条件をすり合わせて、それに合った方をご紹介できるんです。そこからお見合いをセッティングして、相談にも乗って、仮交際や本交際を経て、ご成婚まで繋げるっていう形ですね。

日下:会社で言う人事・労務管理ですよね。それをするために入会金や月会費である程度お金をいただいて、それにプラスしたいことがある場合はオプションを付けることもできます。

――どんなオプションが付けられるんですか?

掟:ご要望に応じて、いろ〜んなの付けられますよ。嫁による占いで相性を見たり、もしあんまり相性が良くないとしたら、どうしたら合わせていけるかもアドバイスできますし。めでたくご成婚されました暁には、掟ポルシェが結婚パーティで司会をするオプションも普通に付けられますよ! あと、この間、トークイベントでビデオ考古学者のコンバットREC先生に「結婚パーティで流す映像を撮ってもらうことはできますか?」って聞いたら、「できるけど、俺200万円くらい取るよ」って言ってました(笑)。200万円払える方にはそういうサービスもありますね。漫画家のしまおまほ先生に、200万円ぐらいで夫婦の似顔絵描いてもらったりとか(笑)。

日下:そういえば、AV監督の二村ヒトシさんも「セックス講座やらせてくれ」って言ってた(笑)。「タダでいいからやりたい!」って(笑)。

掟:とんでもないオプションが追加されましたよ(笑)。

――最近はマッチングアプリも流行っていますが、結婚相談所ならではの利点は?

掟:今は無料のマッチングアプリや婚活アプリがいくらでもありますよね。でも、お金を払ってないぶん軽い気持ちでやってる人もいて、身体の関係だけが目的で結婚したい気はさらさらない人とか、ひどいと婚活アプリなのに既婚者が潜んでいたりもするんですよ。なので本気で結婚したい人にとっては向かないものだと、勉強していくなかで段々わかってきました。あと、アプリでは個人情報が直接伝わるから、危ない部分もありますよね。結婚相談所では、交際に発展するまでは原則的に結婚相談所同士がやりとりをして、当事者同士の連絡先を極力教えないようにしていますし、もし仮交際してから別れることになったら、お互いの連絡先を消さなきゃいけないマナーがあったり、トラブルに発展しないための配慮がいろいろとあります。

日下:それに、入会するときに公的機関で発行できる『独身証明書』を提出してもらうので、確実に独身の人を紹介できます。お金をいただいているぶん、そういうサポートが充実してますし、本気の人しかいないっていうのがいいところなんですよ。会員さんのご家族の情報、例えば親御さんの学歴とかも全部こちらでわかるので、身元がわかるんです。バックグラウンドが保障されてる安心感って、めっちゃあると思うんですよね。

掟:普通に恋愛をしていると、付き合ってみたらクズだったとかよくあるじゃないですか。だから、もう痛い目に遭いたくないとか、できるだけ普通に結婚したいって方にお勧めですよ。

日下:「ドキドキはしない。だがそれがいい!」みたいな人に向いていると思います。

婚活市場においてアイドルオタクは優・良・物・件!

掟:結婚相談所って、わかりやすく言うと不動産屋みたいなもんですかね! 古めの物件だけど金額的に納得できるとか、どこだったら妥協できるとかをヒアリングして、ご紹介したのちに一緒に内見に行くみたいな。だから、入会をお考えの方も自分が物件だと思って来てください! オンボロだけど居心地が良いとか、いろんな利点があると思うんですよ。

日下:古民家が良いとか、人それぞれ好みがありますもんね。それで言うと、アイドルオタクって、条件的に見るとすごい“優良物件”なんですよ。追っかけ活動できる資金があるってことは、ある程度お金に余裕があるでしょうし、割と休日が自由に使えるホワイト企業にお勤めの方が多いですよね。それにアイドルが好きだから、レディファーストだったり女性に優しい。なので、ルックスなどの条件さえクリアすれば、かなりお勧めだと思います!

掟:アイドルオタクって、通常は「歌を聴いたりするだけで僕は十分です」みたいな感じじゃないですか。それ以上のものを求めてないからこそ、アイドルオタクをやっているわけで。

日下:実際にアイドルと付き合おうなんて思ってる人、いない、いない。

掟:稀にいたとしても、そういう奴は現場(※ライブやイベント)を出禁になったりしますから。で、健全なアイドルオタクは休日が追っかけ活動で忙しいがゆえに余っているという。普通の結婚相談所で、一般的な女性に「アイドルを追っかけてる」とか「掟ポルシェのイベントに行ってる」とか言っても「何それ? 知らない!」とか言われるじゃないですか。そういう知識や趣味が共有できてる時点で、壁ひとつクリアしているようなもんなんで。そこは自分たちが結婚相談所をやる上での強みでもありますよ!

婚活を考えている老若男女は、優しいおふたりにご相談を!!

ふたりが思う結婚の良いところ&夫婦円満の秘訣♡

――ところで、おふたりが「結婚して良かったなぁ」って思うのは、どんなところですか?

掟:ひとりじゃないんで寂しくないのはいいですよね。それと、自分の場合は、単純に子どもがいるのが一番楽しいことではありますね。もちろん子どもだけじゃない楽しさっていうのも世の中に確かにあると思いますけど、自分たちは子どもがふたり生まれてみて、こんなに楽しいものだったのかって思いますよ。

日下:あと、病気になったときですかね。身体がしんどいときにひとりだと、本当に辛いと思うんです。

――ひとり暮らしで体調が悪くなると、心細くてなおさら弱ってくることはありますね……。

日下:弱ってくると思うし、ここから先、老いのこととかも考えますよね。あとは、ひとりでないとできないこともいっぱいあるけど、家族でないとできないこともいっぱいあるので、せっかく生まれてきたから結婚してみるのもいいんじゃない?って思います。もし結婚してみたいと思うのであれば、結婚する人生を送ってみるのも良いと思うよ、っていう感じですかね。

掟:自分たちの場合は、多分結婚に向いてたんですよ。向いてない人にはお勧めしないし、結婚しない生き方も当然現代にはあったほうがいいと思う。でも、結婚に向いてる人はしてみてもいいんじゃないかと思いますよ。家に帰ったら誰かがいるって本当にいいことだと思うから。全然そんなの関係ないよっていう人もいると思うし、みんなが結婚しろってことじゃなくて、結婚したほうがいいなって人とか、寂しいなって人は、結婚すると何かしらいいこともあるよ〜!

日下:試しにやってみたら?くらいの。

掟:まぁそこで合わなくて離婚とかしたら大変ですけどね。結婚相談所に来る人ってやっぱり離婚率が低くなるんですよ、結婚するっていう目的がはっきり見えてから結婚してるから。そういうところも結婚相談所のいいところではありますよ。

――おふたりは結婚して丸16年ほど経って、すごく仲も良さそうですが、夫婦円満の秘訣はありますか?

掟:うーん。それはちょっと恥ずかしいっちゃ恥ずかしいですからねぇ。なかなかこちらの口からは言えないですよね。

――そこをなんとか(笑)。

掟:相手に対して、「こうでなければ」とガチガチに求めすぎないことですよね。そりゃ人間だから調子悪いときはあるものだし、そんなときに言ってる言葉だけをもって本音と捉えてもしょうがないことはお互いに理解できてるのかなと。「今はこう言っているが、単純に今日調子が悪いから言ってるだけだな」とか、そういうのもなんとか飲み込めるだけの信頼感があるというか。

日下:あとうちは、ひとりにさせてくれるから上手くいってるのかなぁとは思いますね。部屋も全員別々で、ひとり一部屋なんです。なので、何かあればとりあえずみんな自分の部屋に帰っていくんですよね(笑)。四六時中一緒だと疲れるし、そもそも快適に思う温度とかも人によって違うし、例えば私はアロマが好きだけど、掟さんは「臭い!」とか言うから、自分の部屋で焚こうみたいな(笑)。

掟:それもあって、うちの家族は昔っから一緒に寝てないんですよ。それに俺、布団が暑いと悪夢見るんで単純に無理っていう(笑)。

日下:あと、電気消さないのがすごい嫌!

掟:今はもうやめたんですけど、寝るときに電気消すと、ホラ、お化け出るでしょ。だから嫌なんですよ〜、電気消すの。

日下:そこを、「なんで合わせてくれないのよ!」って言っても仕方ないじゃないですか。そういう不毛な喧嘩は極力避けてるかな。「なんでそうなんだ!」の「なんで」って言うのをやめてる。

掟:うん。相手に対して、自分の「ねばならない」はできるだけ突きつけないようにしてますね。「人として」とかね。いやいやいや……人間みんな違うからね?って。

日下:「人として」ってみんなよく言うよねぇ(笑)。

掟:よくあるじゃないですか。男はこうあるべき、みたいな。家事をするのも、ちょっと前の日本だったら全部女性がやるのが当たり前だったりしたんでしょ。でも、今はそんな世の中じゃないし、手が空いてるほうがやればいいんだから。うちは単純に俺が料理作りたいからっていう理由で、無理言って家の料理全部作らせてもらってるわけですけど。そういう感じで、各家庭によって極力作業分担していいと思うんですよ。「何々せねばならない」を人に強制しないっていうのは当たり前のことで。そういうのを極力なくしていくのが、夫婦関係にとってもいいんじゃないですかね。

榊ピアノ