ローバー美々『美々の耳〜韓国エンタメが好きだから〜』【第1回:私が見てきた韓国エンタメ】

連載・コラム

[2015/11/5 00:00]

日本で韓流ブームが起きる前からその魅力を体感してきたローバー美々による、韓国エンタメ&K-POPファン必見の連載です!


CRAYON POPの成功は韓国エンタメの象徴
突然ですがみなさま、CRAYON POPって知ってますか? 2012年に韓国デビュー、2015年に日本デビューしたK-POPガールズグループです。韓国でのデビュー当時“ジャージドル”と呼ばれ、街頭や駅構内でジャージを着てゲリラライブを繰り返していたアイドル。韓国の凍てつく冬にジャージでゲリラライブをする姿はアイドルの域を超えていました……。

私はその頃に、彼女たちと出会っています。私が司会を務めるダンスイベント“KPOP COVER DANCE FES『DREAM ON』”にゲストで来てくれました。CRAYON POPがなぜ、ジャージでゲリラライブを繰り返していたか? 理由は簡単。所属プロダクションにお金とパワーがなかった……。テレビに出て、プロモーションすることができずに、外での活動を繰り返していたのです。でも、プロダクションと彼女達には情熱があった……。私はその情熱を見逃さなかった。パワーが加わればCRAYON POPは売れる、と確信していたのです。

韓国芸能界は、日本の芸能界よりトップダウンが激しい世界。私は、以前から韓国のパワーある偉大な方々にお世話になってきました(この方々との出会いは、また今後に書きますね)。その方々に「CRAYON POPというガールズグループをお願いいたします」と頼んだはいいけど、売れなかったり不義理されたりしたらみんなに迷惑がかかる。でも、彼女たちは応えてくれました。苦労を重ねたことで、運と実力も貯めていました。すぐにCRAYON POPは韓国の歌番組に出演。そして新曲『パパパ』でブレイクし、韓国内で『パパパ』のダンスが流行りました。ヘルメットを被り、ジャージ姿のコスプレをして、みんなでジャンプするんです。

このブレイクがきっかけで、なんと!あの!世界のレディーガガの前座ステージを務めるまでになりました。そして2015年、今年やっと日本デビュー。今のK-POP界、大手プロダクションなどは、韓国でデビューして半年くらいで日本デビューさせることがほとんどですが……彼女たちは回り道をして、やっと日本デビューにこぎ着けました。これからが、また勝負です。私は、この曲で日本でも活動してくれることを願っています。

この曲は、一発屋になりそうだった彼女たちを食い止めた奇跡と成長を感じる曲です。日本の戦隊モノを意識してるし、日本で受ける、と感じています。ゲリラライブから日本デビューまで登りつめた彼女たちのシンデレラストーリーは、韓国のエンターテイメントならでは!です。私は今後もCRAYON POPを応援したいです。11月18日には第2弾シングルの発売も決定しています♡

韓国エンタメの光と影
韓国は国、政府で韓国エンターテイメントを推しています。韓国のアーティストを生で観たい外国人が韓国を訪問し、旅行する。韓国のアーティストが日本や海外デビューをしてライブやCD、写真集、グッズなどを発売する。外国のテレビやCMに出演して韓国をアピールする。すべて韓国の外貨稼ぎです。韓国アーティストは国の商品なんです。韓国のエンターテインメントやK-POPは国策なのです。だから国がお金を出して売り出しもする。お金をかけて売り出されたら回収するというのは、どの国のエンターテイメントも同じですが、国策であればなおさら彼らは売れなければいけない。そして彼らの一番の使命は、海外で売れること。韓国国内でも売れるということ自体が奇跡なのに、そのうえ海外市場でも売れなければならないのです。

そして、彼らには10代から20代前半で、国を背負う重責が課されます。韓国は兵役があるから、若いときから国を意識します。だから、韓国のアーティストが政治的発言をして日本で問題になったり、反日と呼ばれたりすることが頻繁に起こります。私はエンターテイメントと政治は切り離して考えたい人なので、政治的発言をしてる部分は見ないように、スルーしたりしていますが……日本のマスコミでその部分も取り上げられたりしているので、なかなか溝が埋まらないですよね(正直、日本で外貨稼ぎをしたいなら、心を隠して政治的発言を我慢して、エンターテイメントを魅せることに終始してくれたら……と思っています。それが、本人たちのためでもあるし)。

若い時期から、国を意識して芸能活動をしているアーティストは尋常でないストレスを抱えているはず。サイクルが早い韓国芸能界、K-POP界は、特に次々に新しいアーティストがデビューし、新しい曲がリリースされます。国を背負い、さらに競争させられる世界。“売れるための手段は選ばない”という根性・精神。容姿が重要視されるがゆえの整形や過激なダイエット。加えて韓国のネットの過激さ=誹謗中傷は当たり前です。これらで心が病んで、自殺という選択をしてしまうアーティストもいます。

私は20年近く、韓国エンターテイメント、K-POPのファンです。栄光も影も見て来ました。でもやっぱり光があれば影があるんです。私が韓国エンターテイメントに魅了される理由は、光より影が濃いから……なんです。影が強いアーティストを見つけては“光を濃くしてあげたい”と願う私です。では、また次回♡

【著者紹介】

ローバー美々
高校生で芸能界デビューを果たし、レースクイーン、NHK教育テレビのお姉さん役などを経て、1994年に日本テレビのバラエティ番組『ロバの耳そうじ』に出演。セクシーニュースキャスター“ローバー美々”として人気を博す。その後、韓国への語学留学をきっかけに韓流エンタメの魅力に取りつかれ、現在は“K-POP洗脳家”を名乗り韓国エンタメ、K-POPの普及に励んでいる。韓流エンタメチャンネル『Mnet Japan』番組審議委員長、K-POPカバーダンスイベント『DREAM ON! 』司会としても活躍中!

[耳マン編集部]