エリック・クラプトンのすごいところ三行で教えろ『楽器レジェンドの“今北産業”』

連載・コラム

[2015/11/15 12:00]

『エリック・クラプトン』を三行で説明すると……

エリック・クラプトンが表紙を飾る『ギター・マガジン』2010年11月号


・3大ギタリストの一人

・ギターの神様

・スローハンド奏法


ということになります。覚えておきましょう。
三行協力:『ギター・マガジン』編集人・野口広之



もっと『エリック・クラプトン』を知りたい人は以下参照
文・綾小路 龍一
バンドマンやギタリストで、『エリック・クラプトン』を知らない人はいないだろう。バンドマン以外でも、洋楽が好きであれば必ずと言っていいほど耳にする名前である。エリック・クラプトンと聞いてピンと来なくても、『いとしのレイラ』のイントロは誰もが一度は耳にしたことがあるはずだ。

エリック・クラプトンはブリティッシュロック黎明期から現代に至るまで、世界中のギタリストに影響を与えているギタリストのひとりである。その功績から「ギターの神」との呼び声も高く、ロンドンの街角の壁には「Clapton is God」と落書きされてまでいる程だ。

1945年、イギリスに生まれたエリック・クラプトンは独学でギターを学び、1963年にヤードバーズに参加。一躍実力派ギタリストとして名を馳せる。1966年には、ジンジャー・ベイカー(ドラム)に招かれ、ジャック・ブルース(ベース)とともに、伝説のバンド、クリームを結成する。その後もブラインド・フェイス、デレク・アンド・ザ・ドミノスで活躍し、デレク・アンド・ザ・ドミノスで先述の『いとしのレイラ』(1970年)を発表。その後もソロで活躍し、ボブ・マーリーの『アイ・ショット・ザ・シェリフ』(1974年)をカバーして彼の名を世界規模へと導いたエピソードは、レゲェファンにも有名である。

彼の活動の軌跡を辿ると「スローハンド」「スローハンド奏法」という単語を目にすることとなる。弦の交換をするのが遅いことが理由など諸説はあるが、最も有名なのは、あまりに高速なギター演奏で、逆にゆっくり弾いているように見えることから「スローハンド奏法」と呼ばれるようになったというエピソードだ。非常に滑らかで、正確かつ素早い運指は、当時のオーディエンスの目にはギターの神が使う魔法のように映ったのかもしれない。さらに、ただ速く弾けるだけではなく、チョーキングを多用したエモーショナルな歌い回しや、卓越したリズム感も相まって、技術、センスの優れたエリック・クラプトンの演奏は世界中の注目を集めることとなったのである。

当時のギタリスト界はエリック・クラプトン一強の時代であったのかというと、そうではない。ほかにもさまざまな名ギタリストがいたが、なかでもジェフ・ベック、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)は、エリック・クラプトンとともに「3大ギタリスト」として有名であり、比較されることも多い。三者ともに素晴らしい技術とセンスを持っており、ともに時代を作ったギタリストではあるが、何故この3人が3大ギタリストと表現されることになったのか。純粋に人気があったことや、同じ時期に活動したということもあるが、1番の理由として、前述したヤードバーズに3人とも所属していたことが有力だ。これだけ有名な3人が、時を違えど同じバンドに所属したというだけでも非常に面白い。

エリック・クラプトンが所属していた初期のヤードバーズの楽曲は、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの頃に比較すると、ブルースを基調としており、硬派なイメージが強い。しかし、徐々にポップ路線に移行していくことにエリック・クラプトンが疑問を覚え、ヤードバーズ脱退のきっかけとなっていった。エリック・クラプトン時代、ジェフ・ベック時代、ジミー・ペイジ時代のヤードバーズをそれぞれ聴き比べ、3大ギタリストの個性の違いを確かめてみるのも面白い。

ギターの話題が多くなったが、その持ち前のメロディセンスや味のある歌声から、『ティアーズ・イン・ヘブン』などの名曲を生み出してもいる。実力、名声ともに、神の名に相応しいアーティストである。

[綾小路 龍一]