ツインギターのバンドのギタリストの役割分担を教えて『教えてミュージさん!Vol.1』

連載・コラム

[2015/11/9 11:00]

バンドに関する疑問をズバッと解決する「教えて!ミュージさん!」。今回のテーマは「ギターがふたりいるバンドのギタリストの役割分担について教えて」です。「なんでこのバンドにはギターがふたりいるの? ふたりも必要?」そんな疑問を持っていた人もスッキリすること間違いなしです。

1、「リードギター」と「サイドギター」パターン
まずはこのパターン。ソロをとったり曲のあいだに耳に残るフレーズを入れる「リードギター」と、おもにバッキング(伴奏のこと)に徹してコードなどを弾く「サイドギター」のコンビです。役割を明確に分けることでアンサンブルを安定させ、聴かせどころはリードギターがしっかりもっていくといったスタイルで、ローリング・ストーンズやAC/DC、ガンズ&ローゼズなど、往年のハードロック系のバンドに多くみられます。

ローリング・ストーンズ。中盤のライブ映像の右側がリードギターのキース・リチャーズ、左側がサイドギターのロン・ウッド。

2、「ギターボーカル」と「リードギター」パターン
ボーカリストがギターを弾きながら歌う「ギターボーカル」のバンドで、さらにもうひとりギタリストがいるようなケースです。日本のバンドにも多いですね。ギターボーカルがサイドギター的な役割を担ってコードなどを弾き、もう一方がリードギターを担当するケースが多く、ギタリストの役割という面においてはパターン1と似ていると言えるかもしれません。ボーカルがギターを弾かない場面などは、もう一方がサイドギター的な役割に回ったりと、臨機応変に役割を変化させていきます。

KANA-BOON。ギターボーカルの谷口鮪はサイドギター、古賀隼斗がリードギター的な役割だ

3、「ツインリード」パターン
ふたりのギタリストがそれぞれプレイで主張し合うスタイルと言えるのが「ツインリード」です。ギタリストの存在感、テクニックを前面に押し出したこのスタイルはメタル系のバンドでよくみられます。スピーディなギターソロの掛け合いや、ふたりでハーモニーを形成してドラマチックに楽曲を彩るアプローチなど、ギターファン的にたまらないプレイも多いようです。ジューダス・プリーストのK・K・ダウニング&グレン・ティプトン 、日本でもX JAPANのHIDE&PATAなどが有名ですね。

ジューダス・プリースト。K・K・ダウニング(左)&グレン・ティプトン(右)のツインリードで人気を誇った。ソロのハモリはツインリードならでは

4、ふたりでいろんなバッキングをするパターン
一方が全音符などのロングトーン、もう一方がアルペジオ(分散和音)を弾いたり、ひとりが主要な和音、もう一方がそこに緊張感を与えるような音(テンションノート)を弾いたりと、両者ともバッキング的な役割でありがら、多彩にアプローチするパターンです。ギターがふたりいることでさまざまなポジション、奏法などの組み合わせが可能となり、バッキング的なプレイの幅がぐっと広がります。

向井秀徳&田渕ひさ子で多彩なギターアプローチを聴かせたナンバーガール

5、音色で分けるパターン
一方のギターが歪んだ音色、もう一方がクリーンな音色、というように音色で役割を分けているようなケースです。日本のバンドでは初期のLUNA SEAがこのスタイルをとっていて、SUGIZOが歪み、INORANがクリーンの音色を駆使して、激しいロックからバラードまでバラエティ豊かな楽曲に対応しています。

LUNA SEA。左から2番目がSUGIZO、4番目がINORAN。

6、複数のギターで音圧を出すパターン
ふたりのギタリストが同じようなフレーズを弾いたりしながら、迫力のある音の塊を生み出すパターンです。近年のラウドロック系のバンドにはこういったスタイルも多く、重厚なサウンドを作り出しています。

ふたりのギタリストで重厚なサウンドを生み出すFear, and Loathing in Las Vegas。ツインリードっぽさもある


いかがだったでしょうか? 上記以外にもさまざまなケースがあるようですが、おおむねこのような感じのようです。なお、こういったバンドにおけるギターの機材選びに関しては、ふたりであえて同じようなタイプを選んで音を似せる場合と、あえて違うタイプを選んでメリハリをつける場合など、ケースバイケースのようです。

ギタリストが多い分、多彩なアプローチが可能になっているというわけですが、たくさんいれば良いというわけでもないようです。曲の邪魔にならず効果的にアプローチをするには、ギタリストたちのセンスが必要になってくるとのこと。そういった部分も含めて、ギタリストが複数いるバンドをチェックしてみるのもおもしろいでしょう。

[耳マン編集部]