【社長と音楽】あの有名寿司店の社長がパンク・ハードコアを好きすぎなご様子!
『うず潮巻』でお馴染み、古市庵の社長がスゴいらしい
名物『うず潮巻』などで人気の寿司店・古市庵。恵方巻の時期にデパ地下などで購入したことがある人も多いだろう。そんな古市庵の社長がめちゃくちゃパンク・ハードコア好きだというタレコミが『耳マン』編集部に届いたので、早速突撃してきた。こんな社長さん、素敵すぎぃぃ!
愛読書は『パンク・ロック/ハードコア史』!!
――社長がかなりのパンク・ハードコア好きとお聞きしまして。お寿司屋さんの社長がパンク・ハードコア好きって、すごくギャップが……。
これ、僕の愛読書ですからね(行川和彦著『パンク・ロック/ハードコア史』を手にしながら)。
――かなり読み込まれてますねぇ。すごい……。
レコードも3,000枚くらい持ってたんですけど、家が狭くなるから処分しちゃったんですよ。
――パンクとかハードコアのレコードですか? レアなやつもたくさんあったっぽいですね。
そうなんですよ! 今となっては後悔が……。
――その辺の音楽にハマったきっかけって何だったんですか?
小さい頃はラジオで音楽を聴いたりして、それなりに音楽を楽しんでたんですけどね、中学3年生のときに出会ったしまったんですよ! 友達の兄ちゃんが持ってたピストルズ(セックス・ピストルズ)のレコードに! レコードの針を落としたらもう……(『アナーキー・イン・ザ・U.K.』を口ずさみながら)ぶっ飛んじゃいましたよね。「なんだ!これ!」ですよ。ビートルズもローリング・ストーンズも聴いてましたけど、全然違う。衝撃的すぎちゃって。
――そこからはパンク漬け?
高校時代はパンクにどハマリしていて、まわりはヤンキー全盛でリーゼントとかパンチパーマでしたけど、僕だけ髪の毛をツンツンにしたり。ファッションもパンクスでしたしねぇ。「反戦」とか落書きしたりも……(笑)。
――うぉぉ、かなりガチですね。
福岡に住んでたんですけど、服はカルコークっていうお店によく買いに行ってました。そこにはROBOT(1980年代のロンドンファッションには欠かせないシューズブランド)が売ってたんですよね。あとはジョンソンズ(ロンドンのキングス・ロードにあるパンクロックブランド)のスーツとか、SEX(ピストルズの仕掛け人マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドによるブランド)の一点物とかが入荷したりしてて、めちゃくちゃカッコよかったんです。
――相当イケてる高校生じゃないですか。
高校を卒業してからは料理学校に通ったんですけど、結局カルコークでバイトし始めちゃいましたからね(笑)。全然学校は行かなかったなぁ。
――そのバイトめちゃくちゃ楽しそうです。
1年間くらい働いたんですけど、本っ当に楽しかったなぁ。このバイトがかなり音楽との距離を縮めてくれましたね。初期のTHE STAR CLUBのメンバーが来てくれて、遊びに連れて行ってもらったり。あとね、すごいことがあったんですよ……。ある日、外国人がふらっと入ってきて、よく見たらジョニー・ロットン(ジョン・ライドン/セックス・ピストルズ、パブリック・イメージ・リミテッドのボーカル)だったんですわ! パブリック・イメージ・リミテッドのライブが日本であったときだったんですけど、「うわー!ジョニーだ!」って思って。でもぜんぜん英語はしゃべれないから「ジョ〜ニィ!」って言ってね。そしたら「イエ〜ス」って言ってくれて。ジョニーは竹でできた消防士の帽子を気に入ってるみたいだったから「ギブユー!」って言ったら、かぶったまま帰っていきました(笑)。
――それすごいですね。
確か、PILのなにかの作品にそれをかぶっている写真が載ってるんです! 僕があげた帽子なんですよ、あれ(笑)!
――わざわざお店に来るなんて。
ほかにもクラッシュのポール・シムノン(ベース)が来たりもしましたよ。めちゃくちゃ背が高くてカッコよかったぁ……。でも彼は無愛想でした。専門学校を卒業してからはレストランバーに就職したんですけど、そこにもTHE MODSの森山(達也/ボーカル)さんが来てくれたりして。さりげなくチップを置いていってくれて……惚れました。
――もちろん日本のバンドもたくさん聴いているんですよね?
GAUZE、白(KURO)、G.I.S.M.、LAUGHIN' NOSE、ZOUO、COBRA、アナーキー、SAとか、好きなバンドの名前を挙げたらキリがないですね。福岡で流行った明太ロックもパンクに近いものがあったので、よく聴きましたよ。ライブもバンバン行ってました。
――なんだかもう、音楽関係者とお話してる気分です(笑)。
いやいや、飲食飲食! デパ地下で寿司、売ってます(笑)! 全国デパ地下でやってますよ〜!
――(笑)。音楽と食って繋がる部分ってあるのでしょうか? ちょっと強引ですけど……。
(笑)。歳をとってくるといろんな物が食べられるようになりますよね……例えば、子どもの頃には全然うまくなかった松茸とかがおいしくなったり。でも「一番好きな食べもの何ですか?」って聞かれたら「ハンバーグ!」とか「カレー!」とか言う人、多いじゃないですか。歳を取るに連れていろいろなものを受け入れられるようになるんです。でもやっぱり、ずっと好きなものって変わらないですよね。それって音楽でも同じだと思います。
――それが社長にとってはパンクだったりハードコアだったり。
そうですそうです。どうせあとからいろいろ受け入れられるようになるから、好きになったときは思いっきり没頭するべきだきだと思いますよ。僕もパンクが好きになってからのほうが、おもしろい人生を歩んできたと思いますし。
――深いですね。
ほかにもあるとするなら、人生を大事にしている人は食べる物も大事にしているっていうところ。それも音楽と似ているところがあって、本当に好きな音楽がある人の人生は、とっても豊かなんじゃないかなと思いますね。
パンクスならではの筋の通った社長
こんなに音楽好きな、魅力的な社長がいる古市庵。社長に「商品の説明をしなくても平気ですか?」と聞いたところ「いいのいいの!今日は音楽の話だから! こんな社長で大丈夫かな? ワハハハ!」と豪快に答えてくれた。元(現!?)パンクスならではの筋の通った社長である。カッコいい!
そんな古市庵では、ハロウィンに向けた『こてまりハロウィン』のほか、年末けには豪華なおせち『慶(よろこび)』など、季節商品も充実。パンクを聴きながら、これら商品を堪能してみるのもいいかもしれない! とにかく西浜社長、今回はありがとうございました! 僕も『パンク・ロック/ハードコア史』熟読します!
プロフィール
にしはまひでひこ●1964年10月10日生まれ。東京都豊島区出身。現、福岡県久留米市在住。1984年3月、福岡調理師専門学校卒業。同年4月、SIN企画入社。その後、NOVA21グループ内の日本レヂャー開発にて経理・販促・営業・接客と外食産業のいろはを学び、バブル崩壊前に退職。1993年3月、「梅の花」に入社。研修生として工場勤務からスタートし、福岡の店舗での店舗研修、東京エリアの営業担当を経たのち、大阪へ異動。営業本部長を拝命し、その後常務取締役となる。2009年12月に梅の花の子会社である株式会社古市庵の代表取締役社長に就任。「梅の花」取締役執行役と兼務し、現在に至る。