パンク・ハードコア愛がすごい! ハイスタメンバーとのエピソードも……『あつまれ、バンドマン芸人!』ゆってぃ編

連載・コラム

[2015/12/8 19:00]

お笑いのステージに立ちながら、バンドマンとしてライブ会場を沸かせる芸人たちがいる。今回紹介するのは「ワカチコ ワカチコ」のセリフで一世を風靡したゆってぃ。パンク、ハードコアを愛する音楽ファンであり、ロックバンドTOKYO FRIDAY NIGHTのボーカルとしても活躍するバンドマン芸人なのである。

ワカチコ〜!

ワカチコ=若さ・力・根性
ゆってぃと言えば「スーパーアイドルゆってぃ」を名乗った、ちょっとイラッとくる漫談で人気を博し、『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などのテレビ番組でも活躍。ちなみにワカチコは「若さ、力、根性」に由来しているのだ! 知ってた!?

高校時代にお笑いに目覚める
ちなみにTOKIO松岡昌宏と同じクラス
ゆってぃがお笑いに目覚めたのは高校のとき。高校の同級生だった川村龍俊(のちにお笑いコンビ、マンブルゴッチでともに活動)と学園祭で初のお笑いライブを行う。両者とも素行が悪く進学が危ぶまれていたようで、先生から「学園祭で何かやったら進学させてやる」と言われ、しぶしぶライブをしたそう。ちなみにゆってぃが通っていた堀越高校は多くの芸能人が通っていることでも知られており、TOKIOの松岡昌宏も同級生。松岡と同じクラスになったこともあったそうで、たまに一緒に遊んでいたという。

マンブルゴッチでデビュー
「ラッパーになりたい」相方の突然の告白
高校卒業後は、川村に誘われる形で人力舎のお笑い養成所に通い、マンブルゴッチを結成。同期は北陽。チャラついた見た目が当時の人力舎では珍しかったようで、社長に気に入られた彼らは急ピッチで活躍の場を広げていく。2000年には人気バラエティ番組『王様のブランチ』にレギュラー出演。しかし、「実力がないのにとんとん拍子できちゃった」と本人も振り返るようにそのチャンスを生かせず、半年ほどでレギュラーから外れてしまう。しばらく同コンビでの活動を続けるものの、2002年に解散。「川村が“ラッパーになりたい”っていきなり言い出したんです。世の中の事件をおもしろく伝えるんじゃなくて、ラップでマジメに伝えていきたいって(笑)。それが理由で解散したんですよ」。そんな川村はラップグループ・オトノ葉Entertainmentで活動(現在は活動休止中)。「結成直後にオトノ葉Entertainmentの音源を聴かせてもらったんですけど、ほとんどがおっぱいの曲で(笑)。このために解散したのかよ!って思いました。今でもたまに会いますけどね」

マンブルゴッチ。左が川村龍俊、右がゆってぃ

「ワカチコ ワカチコ」ゆってぃ誕生!
その後、グーニーズというお笑いトリオを結成するが「ひとつも笑いがとれなかった」と、うまくいかずに解散。30歳になっていたゆってぃはお笑いを辞めようと決心し、当時の事務所社長に挨拶に行くが……。「“お前はお笑い辞められないだろ。今日からピンでやれ”って言われて、ピン芸人としての予定をいきなり入れられたんです。ブラック企業みたいだなって思いましたよ(笑)」

ピン芸人としての活動初期は“とーどーゆーた”の芸名で活動し、ネタのひとつとして“ゆってぃ”を演じていた。しかし、山崎弘也(アンタッチャブル)のラジオ番組に出演した際に、ゆってぃを芸名にするように無茶振りされ、強引に芸名が決定。衣装も山崎の無茶振りによってなぜか児嶋一哉(アンジャッシュ)に買ってもらえることになり、ピン芸人ゆってぃが完成する。グーニーズ時代のネタ帳に書いてあったという「ワカチコ」や、同グループメンバーのギャグ「キョーレツゥ!」、そしてふと思いついた「小さいことは気にするな」などのセリフを取り入れた自虐漫談で人気を博す。「ウケなかった頃もおもしろいって言ってくれた東京03さん、芸名を決めてくれたザキヤマさん、衣装を買ってくれた児嶋さん、あとは矢作(おぎやはぎの矢作兼)さんも応援してくれたし、本当に先輩のおかげでやってこれたんですよね。ギャグも前の相方のものだし……ホントみなさんのおかげなんです」

キョーレツゥ!

パンク、ハードコア愛が半端ない!
とってもファニーなゆってぃだが、実はハードな音楽の大ファン。小中学生の頃はザ・ブルーハーツ、X、プリンセス プリンセスなどのJロックを愛聴し、中学2年生のときに友人の姉がやっているバンドのライブに行った際にNUKEY PIKESとROSEROSEのライブを偶然に観てパンク、ハードコアに興味を持つ。その後、セックス・ピストルズやラモーンズなどの大御所パンクバンドはもちろん、State Craft、SWITCH STYLE、NUMB、UP HOLDといった日本のハードコアバンドまで幅広く聴くようになる。なお、日本のニュースクールハードコアのシーンを牽引したState Craftの元メンバーで、現在はLOYAL TO THE GRAVEで活動する小浜(ギター)は中学時代からの友人である。

左がLOYAL TO THE GRAVEの小浜。

愛する2大バンドはNOFXとキルスウィッチ・エンゲイジ
「NOFXは今でも来日するたびに観に行ってますね。アルバムも全部持ってるから、昔の曲でも最近の曲でも何でもアガります。NOFXのマネージャーのケントと一緒に写真を撮ってもらったこともあるんです! それぐらい好き!」

「メタルも好きなんですよね〜。キルスウィッチ・エンゲイジはメタル/ハードコア系のサウンドなんですけど、世界で一番かっこいいと思う。ギター/ボーカルのアダム(・デュトキエヴィッチ)が裸でマントを着てたりしておもしろいんです。おちゃらけてるけどサウンドは重くてテクニックもすごいみたいな感じで」

上記のほかにも、サブライム(サブライム・ウィズ・ロームも)、Ballyhoo!、ドノヴァン・フランケンレイター、チャンク!ノー・キャプテン・チャンク!、ミュニシパル・ウェイスト……などなど、ライブに行った/最近よく聴いているというアーティストの名前が会話の中でどんどん出てくる。ちなみに、お笑い芸人ではHi-Hiの上田浩二郎、バイきんぐの小峠英二とは音楽の趣味が合うらしい。

ゆってぃのレコードやグッズコレクションの一部。レコードはこれだけでも400枚くらいあり、別の部屋にもレコードやCDが多数あるそう。レコードは西新宿のレコード店で買うことが多いらしい。棚の上にはスケートボードやスニーカーが入った箱(※黄色い箱。バッド・ブレインズとバンズのコラボ)などがオシャレにディスプレイされていた

お気に入りの4枚はこれ!
「『Love Is Dead』は間違いない名盤で、『HOFX』のLP盤はレアだったはず。V.A.のやつはLondon Niteに行ってたときに買いました。『NEVER FORGET』はSTATE CRAFTのファースト。19年前かぁ……」

【上段左】ザ・ミスター・T・エクスペリエンス『Love Is Dead』、【上段右】NOFX『HOFX』、【下段左】V.A.『THE METHOD OF KLUB DANCING VOL.4、【下段右】STATE CRAFT『NEVER FORGET』。

ハイスタ恒岡章との友情
ゆってぃの音楽ライフを語るうえでHi-STANDARDのドラム、恒岡章の存在は欠かせない。マンブルゴッチ時代に仲が良くなり、恒岡を介してAIR JAM系のバンドマンと交流が深まる。もちろん、ゆってぃはHi-STANDARDの大ファンだ。「ツネ(恒岡)さんにはよく遊んでもらってます。2011年のAIR JAMでハイスタは再結成しましたけど、俺は再結成するの反対だったんですよ。知らない世代の人たちに聴かせたくないっていうヤキモチなんですけど(笑)。でもライブ観たらやっぱり号泣でした……。ツネさんには良いときも悪いときもお世話になってて、本当にずっと仲良くさせてもらってますね。“雄太(ゆってぃのこと)には彼女作ってほしくない。いつでも呼べるように”って言われてます」

ゆってぃブログより。2011年のAIR JAM時のもの

自身のバンドTOKYO FRIDAY NIGHT結成!
そんな音楽好きのゆってぃが、自身がフロントマンを務めるロックバンドTOKYO FRIDAY NIGHTを結成! メンバーは全員ゆってぃの飲み友達で「みんなでバンドやって小銭稼ぎたいよね〜」というネタをツマミに1〜2年ずっと飲んでいたらしい。そして2014年、ついにバンドが始動。SCAFULL KINGのNARI(サックス)、HAKAIHAYABUSAのNori(ドラム)という第一線で活躍するバンドマンも所属しており、本格的な演奏を聴かせている。「小銭を稼ぐならおしゃれな感じでしょ!ってことで、最初はカジヒデキさんみたいな歌詞の世界観にしようと思って。それで、そういう歌詞を大好きなBBQ CHICKENSみたいなサウンドに乗せようっていう(笑)。でもうまくハマらなくて、結局はグループ魂みたいな感じで収まりました。曲はNARIさんが作ってるんですけど、僕が“こういう曲を作って!”っていうネタを投げるんです。マッドキャディーズの曲をいくつか送って、それをマッシュアップしてもらってできた曲もあります」。なお、同バンドには現在、“派遣ギター(サポート)”としてお笑いグループ超新塾のサンキュー安富も参加している。

TOKYO FRIDAY NIGHTのメンバー。左からはじめJAPAN(ベース)、のりジェンヌ(ドラム)、ゆってぃNYチーズケーキ(ボーカル)、なりLA(サックス)、yamashit(ギター)

TOKYO FRIDAY NIGHTの目標
「ゆるく活動していきたい」というTOKYO FRIDAY NIGHTだが、これまでに6回ライブを行っており、エンタメ性の高い、ウキウキするロックナンバーでオーディエンスを魅了している。「レコーディングしたいなとは思ってるんですけど、なんせみんな腰が重くて……。僕もNARIさんとNoriに付いてい行けばいいかなって思ってます(笑)。あのふたりはやっぱりすごいから」

TOKYO FRIDAY NIGHTのときはシャツが金色になるぜ!

芸人ゆってぃ×バンドマンゆってぃ
最後に、ピン芸人ならではの視点でお笑いとバンドについて語ってくれた。「基本的には自分はピンだから、どんなときでも自分が見られてるし、自分が何かしていないといけないじゃないですか。でも、バンドって誰かのソロがあったりするから、そういう自分の担当じゃないときに何をしてたら良いか全然わかんない(笑)。だからやっぱり恥ずかしいですよね。これからも、ゆるくてもバンドはやっていきたいと思ってるので、ライブをやるときにはぜひ来てくださいね~!」

音楽の話をしているときは、本当に楽しそうな表情をみせるゆってぃ。このバンドがより本格的な活動をみせるときには、彼の音楽的な造詣が存分に発揮された楽曲の数々でバンドキッズたちを唸らせることだろう! 今後のライブはまだ未定とのことだが、ホームページなどをチェックしてぜひ会場に足を運んでみよう!

[耳マン編集部]