『あつまれ、バンドマン芸人!』超新塾編〜個性全開のロック軍団!
お笑いのステージに立ちながら、バンドマンとしてライブ会場を沸かせる芸人たちがいる。今回紹介するのは「ロックンロールコント」と呼ばれるオリジナリティあふれるコントスタイルで人気を博すお笑いグループ、超新塾。バンドとしてもライブ活動を行うめっちゃロックな軍団である。
大所帯コントグループ
超新塾は、よしもとの養成所(NSC)で出会ったメンバーにより、2001年に結成された(現在の所属はワタナベエンターテインメント)。革ジャン&リーゼントのロックな出で立ち、そして大人数の長所を生かした躍動感のあるネタで人気を呼び『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などのテレビ番組でも活躍している。
2011年に強烈な新メンバー加入
リーダーのイーグル溝神を中心に精力的に活動するも、2011年にオリジナルメンバーのDRAGONタカヤマが脱退。同年のオーディションで強力な新メンバー、コアラ小嵐とアイクぬわらが加入して、現在の6人体制となる。「オーディションには100人くらい参加してくれたんですけど、コアラはとにかくイケメン、アイクはとにかく違和感……ってことで選びました。EXILEのオーディションに行こうとしてたヤツが間違えて来ちゃったり、スピリチュアル女子大生のCHIEちゃんが来たりもしておもしろかった」(以下、コメント部はイーグル)とのこと。
禅(ZEN)、アイクのソロ活動、ぬわらし……派生ユニットがアツい
派生ユニットが充実しているのも超新塾の魅力だ。イーグルとタイガーによるユニット“禅(ZEN)”はメディアにもたびたび登場し、彼らによる動画コンテンツ『さるひげさん』はネット上でブームを巻き起こした。アイクはピン芸人としてバラエティ番組『とんねるず みなさんのおかげでしたSP』に出演して東京ディズニーシーのアナウンスのモノマネを披露したり、ニュースサイト『ロケットニュース24』に出演したりしてじわじわと人気を集めている。そんなアイクとコアラの新メンバー組で“ぬわらし”というユニットも結成し、こちらも『ポコチンドラム』などのネタで注目されている。
そのほかにもコアラがボディビルダーとしての才能を開花させてボディビルの大会『ベストボディ・ジャパン2015千葉大会』で優勝したり、その肉体美を生かしてマッチョマンによる音楽ユニット“マッチョ29”のメンバーになったりと大活躍。近年ではイーグル、サンキュー、コアラの3人による“オ彼岸ズ”というラップグループも結成されており、こちらも話題になりそうだ。
「本当はロック聴かない」説
革ジャンを着たりリーゼントにしたり、ステッペンウルフ『ワイルドでいこう!(ボーン・トゥ・ビー・ワイルド)』を口ずさみながら登場したり、見るからにロック好きそうな超新塾だが、実際はそうでもないらしい。「最初にオーディションを受けたときのネタが『ロックンロール大喜利』っていうものだったんですけど、家から会場までそんなに遠くないから衣装(革ジャン)を着て行って。そのときに“カッコいいやつらが来た!”みたいになったらしく、それから引くに引けなくなってこのスタイルで14年やってるだけなんです(笑)」
それでもロックバンドとして活動! ブーの担当は“雰囲気”!?
実はロックをあまり聴かないことが判明したが、「こういう見た目なんでやっぱりやっておかないと」という理由で、ロックバンドとしての活動も行なってきた。ボーカルがイーグル、ドラムがタイガー、ギターがサンキュー&コアラ、キーボードがアイク、ブーの担当は“雰囲気”で、ベースはサポートメンバーの高橋ヒロシ氏(※『クローズ』作者の高橋ヒロシではありません)が担当している。なお、新加入のコアラとアイクはたまたま楽器が弾けただけで、楽器が弾けることが加入の必須項目ではなかったらしい。タイガーはドラムを担当しているが、歌もとてもうまい。
大ブーイングの初ステージを経てCDもリリース 演奏もなかなかうまい!
バンドとしての初ステージは2002年の単独ライブ。そのライブは「ヘタクソすぎて大ブーイングだった」ようだが、2003年に発売したCD『超新塾』のレコーディングなどを経て演奏力も向上し、コントとバンドを両立する独自のスタイルで活動を続ける。2011〜2012年はもっともバンド活動に力を入れており、その頃にレコーディングされた『イラナイモノ』はYouTubeで視聴可能。まとまった演奏でノリノリのロックンロールを聴かせてくれている。
メンバーに直撃! 好きな音楽は?
・タイガー福田
「僕はねぇ……子どもの頃から音楽に助けられてね、いろんな音楽を聴いてきてさ……それを踏まえてあえて言うなら……Mr.Childrenです! 普通ですか? あとはサザンオールスターズとかね。歌が好きなんですよ。カラオケで歌えるような曲が好きで。でも、もっとほかにも好きなバンドはありますよ。ちょっと待ってくださいね……あ、やっぱミスチルです」
・ブー藤原
「僕はロックはわからないです!! とにかく見た目だけ! ホンマに見た目だけです。リーゼントのやり方も見よう見まね。リーゼントが上手な人を凝視したりしてましたわ。よく聴くのはKiroroですね……ウソです。B'zですB'z。ロックでしょ、B'zだって!」
・サンキュー安富
「僕は中学でギターを始めてスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)になりたかったんです。そのあとに小沢健二になりたかったんです。そのあとベックになりたかったんです。ほんで、ちょっと前にはももいろクローバーZのれに(高城れに)ちゃんになりたかったんです。最近はBELLRING少女ハートのカイちゃんになりたいんです。すげえ憧れちゃうんです。スラッシュはジャック ダニエルをグビグビ飲んでギター弾くんです……。体にヘビ巻いたり……それがカッコよくて……」
・コアラ小嵐
「僕はブルースが好きですね。マディ・ウォーターズとかサニー・ボーイ・ウィリアムソンIとか。最初はゆずが好きになって、山﨑まさよしさんが好きになって、エリック・クラプトンを聴くようになって、クリームを聴いて……ブルースに行くっていう。でも掘り下げた結果……今はアンドリューW.K.。筋トレがめっちゃはかどるんです。実は昔、高速スライダーってバンドをやってたんですけど……(メンバーにバンド名がダサいとめっちゃ突っ込まれて)もう……いいですわ!」
・イーグル溝神
「僕は歌がめっちゃ嫌いなんですよ。唯一歌うのは『今夜はブギー・バック』のラップのところですね。(メンバーから『初めて会ったとき、カラオケでいしだ壱成の曲歌ってたよね?』と言われて)あぁ……それ歌ってたわ(爆笑)! そんな感じで好きなアーティストは……スチャダラパー! あと今はハワイアンミュージックをよく聴いたりもしてますよ」
・アイクぬわら
「僕はなんでも聴きます。一番好きなアーティストはファレル・ウィリアムス。ロックもポップもクラシックもブルースも何でも作れますから。最近はポップばっかりですけど。あとはレッド・ホット・チリ・ペッパーズとかニルヴァーナとかリンキン・パークとか。日本だとスピッツとかユーミンとか昔の曲をよく聴いてます。あとはミュージックステーション! 毎回、録画してる!」
楽器への愛情を語って!
・タイガー福田
「僕が今持ってるスティックはねぇ……さっきここのスタジオ(※取材場所)で“一番安いヤツくれぇ!”って買ったやつですわ! 最初はこだわってスネアを買ったり、キックペダルを買ったりもしましたけどね、結局、お金がなくなってペダルは売っちゃいました。スネアは13年くらい前に買ったけど、皮を1回も張り替えたことないですね……。(※こんなことを言っていますがタイガーさんはドラムがなかなか上手です)どうやって練習してきたかって? 寝てるときに手と足が別々に動くようにイメージトレーニングしたり。あとはライブをよく観に行って、ドラマーを生で観て練習したりですねぇ……。ドラマーで唯一知ってるのは嵐(横浜銀蝿)さんかなぁ。前に横浜銀蝿と対バンしたときに“嵐が観れるで!”と思ったら嵐さん、体調不良で叩かなくて。物販におりましたわ」
・サンキュー安富(フェンダーUSA製テレキャスター)
「実家にガッドギターがあったんですけど、そのギターだとXがコピーできなかったので……ヤマハのレスポールタイプを買ったんですけど。それも折れちゃって……。それで、ヤフオクでTRUMPっていうギターを買ったんですけど、藤原(ブー)くんに貸したら、藤原くんがいま住んでる風俗の寮の人に盗まれて……。それでこのフェンダーのテレキャスターを買いました! 当時メンバーだったDRAGON(タカヤマ)に『黒を買え!』って言われたから黒にしたんですけど……反抗してステッカー貼ったり、ピックガードを黒く塗ったあとに削ってジョー・ストラマーの真似をしたりしました。あとグリーンのジャガー(フェンダー)も持ってるんですけど、中古で10万くらいしたのに……ちゃんと調べたらアメリカ製じゃなかった! 悔しい!」
・コアラ小嵐(ギブソン製レスポールジュニア)
「僕もサンキューさんと同じでフェンダーのジャガーを持ってるんです。最初に買ったエレキギターがエピフォンのSGだったんですけど、いろんな人と交換していったらフェンダーのジャガーに辿り着いて。でも、そのジャガーのチューニングが狂いやすくて……。だからチューニングが狂いにくいギターを買おうと! それで、3年前くらいにこのレスポールジュニア(ギブソン)を買いました。いいでしょ、これ? もっと重くてもいいけどね。筋トレになるから」
・ブー藤原
「僕はね、ギターをやってもダメ、サックスもダメ、キーボードもダメ、トライアングルもやっても『邪魔!』って言われたりね。ステージの上ではメンバーのシールドを踏んで抜くのが定番ですわ! 僕の担当はシールド抜き! 『妖怪シールド抜き』ですわ!」
・アイクぬわら
「ピアノがうまくなりたかったわけじゃないんだけど、子どもの頃からずっと鍵盤を触ってきてて、コードとかスケールとかだったら弾けるんですよ。いろんな楽器が好きで、最近はブルースハープを練習中です! ぬわらしでヒューマンビートボックスをやってんですけど、これはラゼール(ザ・ルーツの元メンバー)に憧れてやり始めて、学校でやってよく先生に怒られました。あとは@#$*$&%&$#……(※興奮して英語になっちゃって理解不能)」
超新塾が語る「お笑いとバンド」
最後にリーダーのイーグルにお笑いとバンドの相違点について語ってもらった。「お笑いとバンドは真逆かなと思うんです。お笑いの人って自由に見えるけど、どんなときも理詰めでカチッとやってるんですね。ネタのときもトークのときも。だから意外といつでもカチッとしてるんですよ。で、僕が思うバンドの魅力って、練習をしっかりしたうえで崩れたところを見せるカッコ良さみたいなものなのかなって。生々しい感じっていうか。お笑いとバンドって似ているようで似ていないので、平行してやっていくのがすごく難しいんですよ。だから最近はあまりバンドはやれていないんですけど……これからもごちゃごちゃにいろんなことをやっていきたいと思ってます!」
【撮影協力】スタジオリボレ