近年の活動がかなり “キてる”筋肉少女帯の魅力&大槻ケンヂインタビュー

特集・インタビュー

[2015/10/29 00:00]

大槻ケンヂインタビュー

『おまけのいちにち(闘いの日々)』ジャケット

——今作『おまけのいちにち(闘いの日々)』は前作『THE SHOW MUST GO ON』(2014年)とはまたガラッと雰囲気が変わったように感じました。

 再結成以降の筋肉少女帯というのは“ゴージャスエンタテイメントハードロック路線”だったと思うんですよ。それはメンバーで言うとおいちゃん(本城聡章)の楽曲の影響が中心になっていたんだと思うんです。サウンドリーダー役は橘高(文彦)くんだったけど、路線を確立したのはハッキリとおいちゃんだと僕は思うんです。『ロシアンルーレット・マイライフ』(アルバム『シーズン2』に収録/2009年)とかアルバム『THE SHOW MUST GO ON』(2014年)の彼の楽曲を聴くとそれが明確なんですよね。その路線はとてもよかった。ただその路線を前作で突き詰めたという感じが僕の中であったので、次のアルバムはシフトをちょっと変えてみるのも面白いかなと思ったときに、伏兵・内田(雄一郎)くんの楽曲が多めになって “ナゴム感”が出たような気がします。ナゴムの頃も含めて、再結成以前の雰囲気があると思うんですよね。そう、“これも筋肉少女帯だった”って感じかなぁ。再結成以降の4枚になかった、センチメンタルでちょっとしっとりした感じですよね。

——『時は来た』の歌詞はすごく意味深だと感じるのですが、これはどんなイメージで書いたものですか?

 プロレスラーの橋本真也選手が、何かの試合のときに控え室でアナウンサーに“時は来た それだけだ”って言って、横で蝶野正洋選手がプッて笑うって名シーンがあるんですよ。そのシーンをモチーフにしつつ、ロックバンドとそのオーディエンスが暴徒化していくっていう内容なんですけど、そういう暴徒化って……いつか本当にあるんじゃないかなって思ってるんですよね。人は結構簡単に洗脳されるから。あのね、数人の頭の切れる奴と、特攻隊みたいな命がいらないって奴がいると、集団を暴徒化させることってできるんですよね。意外にそれが今後ね、アイドルグループなんかでもあるかもと思うね。アイドルグループのファンの方々は今すごい熱があるから、そのなかにシャーマン気質のアイドルがいて、神懸かりの女の子が「やっちまえ!」って言ったらファンも群集心理でやっちまうんじゃないかなって……あっ、前にそんな感じの歌詞(※『レセプター(受容体)』)書いたなぁ(笑)。いつか現実化するかも……筋肉少女帯はそんなことしませんよ、多分。
※アルバム『蔦からまるQの惑星』(2010年)に収録

——前作に収録されている『オーディエンス・イズ・ゴッド』も、“洗脳”を感じさせる歌詞の内容ですね。

 『オーディエンス・イズ・ゴッド』はね、面白いんですよ。そんなところからネタを拾ってくるのかって話なんですけど、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』の話で『赤毛組合』っていうのがあって。赤毛の人ばかり集めてそのなかの1人をオフィスにいさせるんだけど、何も仕事がない。でも実はその地下で銀行に向かって穴を掘ってるっていうすごい話で、そこから考えたんですよ。ライブって偽装工作に使えるなって。みんなワーッてやってる地下で何かできるなぁって。カイジ(※人気ギャンブル漫画の主人公)が地下ギャンブル場で麻雀を打ってるとかね。カイジがライブの地下では切った張ったの賭け事をやってるんじゃないかって。だからあれですよね、実はフェスとかあれ偽装ですよ! 俺は知ってるけど、フェスは全部きっと偽装! あれは、たくさんの人をおびき寄せておいて、実はその地下とかで何かやってるんですよ。で、何万人もくるでしょ。今スマホもあるから、そこから電波なりが出て何万人が暴徒化するように、一般富裕層とかイルミナティとかがやってるんですよ。

——では、大槻さんはフェスは嫌いなんですか?

 いや、フェスは大好き……大好き! 楽しいからさ、だから僕なんかはそういう陰謀者の意のままですよ。赤毛組合ですよ。

——(笑)。フェスが陰謀だってことに気付いているのは大槻さんだけなのでしょうか?

 そうですね、だって、フェスの楽屋で月刊『ムー』とかオカルトの本を読んでるのは僕だけなんですよ(笑)。米政府やイルミナティやフリーメイソンもさ、まさかロックミュージシャンごときにそんな奴がいるとは思わなかったんでしょうねぇ。そこはフリーメイソンあたりもぬかってたよねぇ。俺ねぇ、こないだ氣志團万博に出たんだけどね……(綾小路)翔やんは知ってるね! 翔やんは、なんか、どうもねぇ知ってるんだよ。彼は素晴らしい人だもん、本当に天才だし、知恵者だから、なんかその陰謀に気付いてらっしゃる。わかって、陰謀者との間の仲介役を買ってるのかもしれない……多分ねぇ、房総半島がねぇ、日本から分断されるんだと思うよ。あれ独立国家作ろうとしてて、でも内房と外房でどちらがイニシアチブを取るかでもめてるんだろうね(笑)。そこで、だ、氣志團万博で数万人の”気”を風水的に上げて内房外房のプラズマパワーのバランスを取ってるんだよ! そこがまとまり次第、ズゴゴゴゴゴって日本から分断されますよ。夏フェスの陰に陰謀ありですな。

——驚愕の真実ですね(笑)! 最近の大槻さんが興味をもっていることはなんですか?

 ちょこっと女子プロレスに興味が出てきました。DDTっていう団体と筋肉少女帯でコラボさせてもらってね。男性中心のプロレス(DDT)を観るなかで、“そういえば女子プロレスって今どうなってるのかな?”と思って。華名選手とコグマ選手が観たいと思っていたんですけど、華名選手はWWEっていう世界最大の団体にスカウトされて、アメリカに行っちゃうんでしばらく観れなくなっちゃって。コグマ選手は17歳ぐらいなんだけど天才って言われてて、なのにパッとこないだ団体を辞めちゃったんですよ。今の若いロックバンドみたいだよね。人気が出たと思ったら辞めちゃったりとか、解散しちゃうバンドとかいっぱいあるでしょ? “見とけばよかった!”みたいな。だからバンドもプロレスも観れるうちに観に行こうと思って。プロレスっていうのは受け身をとるから体に脂肪を乗せるんですよ。その、アスリートなんだけれども脂肪の乗っている女性の肉体っていうのは、それが躍動したときにもちろんセクシャルでもあるし、健康的でもあるし、ものすごい迫力があるんですよね。かっこいい。そういうとこも非常に面白いです。

——さて、積極的な活動をされている筋肉少女帯ですが、今後はどういったスタンスで活動をされていくのでしょうか?

 そうですねぇ、僕の個人的な話になってしまうんですけど、この歌い方で30何年やってきたんですね。洋邦問わずボーカリストを観ていると、50代以降で声が変わるんですよ。で、みんながそれに対策をとっている場合と、もうそのままやるっていう場合とがあってね。デヴィッド・ボウイなんて今低い曲しかあまり歌わないでしょ。ロバート・プラント(レッド・ツェッペリン)もキーをすごい落として歌ってるんですよね。だからその、筋肉少女帯における自分の個人的な歌唱法というのを、どうやってキープしていくか、逆に伸ばしていくかっていうのが今の命題ですかね。

——参考にしたいボーカリストはいますか?

 ポール・マッカートニーはまだキーが原曲どおりなんですよ。それで水飲まないで3時間歌うでしょ、どうやってんのかなぁとは思いますね。ただ、ポールの場合はやっぱりあれは米国も含めた英国の陰謀で……きっとね、もう“メカポール”になってるんだろうなぁ……うん、”ロボポール”だよね。僕はねぇ、今ちょっと色んなメカ化始まってると思う。英国のそういう関係から米国のNASAにまで、多分実験に使われてると思う。ポールはそれを受け入れたんだよ、やりましょう、次世代のボーカリストたちのために!と。世界のためにと。やっぱり偉大な方ですよ。それはジョン・レノンにも関わってくると思う。70年代からアーティストのロボ化の動きがあったと思うんだが、ジョンが成し遂げなかったものを、ポールが受け継いでるのではなかろうか。あの時代、偉大なるジョンは自分をメカにしろって言われてもしないって言ったんだと思う。ヨーコさんも許さないだろうしね〜。まぁ、60過ぎて異様にお達者なボーカリストは、メカ化、ロボ化を疑っていいと思うよ。でもそれは悪いことじゃない! 彼の”生きざま”だからね。それはそれで彼のロックライフだよ!

——(笑)。ロボ化が進んでいるのはロックミュージシャンだけなのでしょうか?

 アメリカ政府はこれからもロッカーに手をつけてくると思いますよ。だって1番年老いた姿を見せたくないっていうのがロックミュージシャンだってことになってるから。ね。だから落語家……落語家はアメリカにいないか(笑)、そういう職業の人はむしろ老けてたほうがいいじゃないですか。だから笑点メンバーのロボ化はないな。歌丸さんはロボっぽいけど。だからミュージシャンの……あの、諸星大二郎の『夢見る機械』みたいなことですよね。最後の人間歌手として残るか、“メカ歌手、ロボ歌手”として歌うか。でもオーケンが“ロボオーケン”になった頃は、お客さんも“ロボオーディエンス”になってるかもわからんね、うーん本当に……そうなると悩ましいところですね。

——大槻さんにもロボ化の話がきているのでは……?

 ええもうNASAから……あ、いや!いや。ロボ化の話が米政府からきていないかどうか……それは……それは……いや、それはまだちょっと言えない。まだ言えない。まだ言えないよ……。ある日僕がステージ上で狂ったようにロボットダンスを踊り出したり、磁石にくっついちゃったりしたら察してほしいね。

——では、これからもロボになっていないかチェックしますね!

 お願いします。最後に今日は『サウンド&レコーディング・マガジン』みたいな音楽的な話ができて本当によかったよ。あ〜久々にミュージシャンらしいトークをしたよ(笑)。

[耳マン編集部]