フジロック直前!今年の見どころをギター/ベース/ドラム・マガジン編集長に聞いてきた!

特集・インタビュー

[2016/7/8 17:00]

記念すべき20回目のフジロック! 編集長のオススメを熱く語ってもらったッ

野外ロックフェス『フジロック・フェスティバル’16』が7月22日、23日、24日の3日間、新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催となります。1997年に「自然と音楽の共生」を目指して開催された同イベントは今年で記念すべき20回目を迎えます。人間だったら成人する年齢! すごいしめでたい! そんな今年のフジロックの見どころをギター/ベース/ドラム・マガジンの編集長にたっぷりとおうかがいし、オススメアーティストを3組ずつ挙げていただきました! 個性豊かなそれぞれの編集長のオススメはいったいどんなアーティストでしょうか!? 教えて、編集長!(入稿中の忙しそうな姿を無理やり捕まえながら)。

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『フジロック・フェスティバル’16』



【ギター・マガジン 尾藤編集長】

1. ウィルコの音楽をフジの野外で聴けることはすごく幸せ

(ウィルコ/23日・グリーンステージ)

ウィルコ

「やっぱりウィルコは観たいですよねぇ。『ギター・マガジン2016年8月号』では一冊丸ごとジャズマスターの大特集をしてるんですけど、ジャズマスター使いのネルス・クライン(ギター)のインタビューとギターも載ってます。彼は音楽的なギターも弾けるし、変態的なアプローチもいける玄人好みのギタリスト。きっと何でもできちゃうんでしょうけど、曲に寄り添ったギターを弾くっていう印象がありますね。弾きすぎることも足りないこともなく、その曲に合ったサイズの服を着せてあげる、というような。また、ウィルコはギターだけでなく、バンド全体に歌心があるんですよね。その素敵な音楽を野外で聴けるっていうのは、フジロックにおいてすごく幸せな時間になるんじゃないかと思います」。


2. 一度はライブを観てほしいバンド、EGO-WRAPPIN'!

(EGO-WRAPPIN'/23日・ホワイトステージ)

EGO-WRAPPIN'

「EGO-WRAPPIN'もマストですよ! 俺だったら観に行く……観に行きたい。2010年のフジロックでは、雨のオレンジコートでライブを観たんですけど、最高に良かったんですよ。そのときに聴いた『A Love Song』が特にグッときました。最高! 一番好きな曲! ……まぁ、僕の思い出を語っても仕方ないので(笑)、とにかく音楽好きな方には、ぜひ一度ステージを観ることをオススメします。ギタリストの森雅樹さんが繰り出す素敵なフレーズが、懐の深いボーカリスト・中納良恵さんの歌とアンサンブルに溶け合って生まれる世界観がすごく素敵です。もうEGO-WRAPPIN'に関しては、素敵なイメージしかないです。好きっす!(きっぱり)」。


3.節目の年にカムバックしたレッチリはマスト

(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/24日・グリーンステージ)

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

「最終日はやっぱりレッチリを観たほうがいいんじゃないですかねぇ。何と言っても第1回に出演した彼らが節目の年に戻って来てくれるっていうのも嬉しいと思うんですけど。ただ、第1回も第20回もギタリストがジョン・フルシアンテじゃないっていう(笑)。でも現メンバーのジョシュ・クリングホッファー(ギター)が変幻自在のアプローチで見事なプレイを披露している最新作『ザ・ゲッタウェイ』の曲がライブでどうプレイされるのかもすごく楽しみです。遊び心とインテリジェンスを併せ持つフレーズで曲を輝かせているので、ギタリストは得るものがすごく大きいのではないでしょうか。それに、第20回のフジロックの記念すべきラストをレッチリが飾るっていうのが、やっぱりすごく感慨深いことだと思います!」


……とは言え、全部観たい! “森を歩けばいい音楽に当たる状態”

「3組挙げましたけど、ラインナップを見てるとやっぱり“全部観たいな”って思います(笑)。BOREDOMESも、YeYeちゃんも、30周年のTHE COLLECTORSも、DJみそしるとMCごはんも……。あっ、ムジカ・ピッコリーノ メロトロン号の仲間たちも出るじゃん! BATTLESもいいねぇ(ため息)。これは、“森を歩けばいい音楽に当たる状態”だと思うんで、フラーッと歩いて新しい音楽との出会いを楽しむっていうのもいいんじゃないかと。そういうところがフェスのいいところなのではないかと思います。あっ、ちなみに、飲み物やお酒を買うときは保冷できるタンブラーを持参して、それに入れてもらうといいですよ。フタもできるからぬるくならないし、踊ってる途中にこぼれることもないんで!」



【ベース・マガジン 近藤編集長】


1.死ぬかと思った第1回から20年……やっとベックに会える!

(ベック/23日・グリーンステージ)

ベック

「僕、“第1回フジロックに行った組”なんですよ。そういう意味では今回のフジロックって、レッチリを始め第1回のラインナップを彷彿とさせるメンバーが出演するということで本当に意味があるというか、思い出深いですね。当時僕は大学生で、関西から夜行バスで行ったんですけど、台風が襲ってきまして本当に生きるか死ぬかという感じだったんですよね(笑)。帰りのバスが渋滞して大混乱で暴動みたいになってたり、土砂降りのなかを一杯のスープを求めてさまよったり(笑)。そんな状態だったので2日目の開催が中止になって、その2日目に出演が予定されてたのがベックだったんですよね。だから、フジロックでベックを観れるっていうのはすごく特別。当時もどんなアクトをみせてくれるのか楽しみにしてましたけど、20年の時を経てフジロックでベックを観れるのがすごく感慨深いなぁと思いますね」。


2.スクエア・プッシャーの“天才っぷり”が観たい

(スクエア・プッシャー/23日・ホワイトステージ)

スクエア・プッシャー

「スクエアプッシャーも観たい! トラックメーカーのトーマス・ジェンキンソンのソロプロジェクトなんですけど。昨年、アルバム『ダモジェン・フューリーズ』をリリースして来日した際に、本編では最新作の曲を中心に演奏してたんですけど、アンコールで6弦ベースを持ち出してソロでベースをプレイしていたんですよ。彼はもちろんトラックメーカーとしてもすごいんですけど、過去には生のベースを弾いて制作された作品もあって、実は超絶的なベーステクニックを持っているプレイヤーでもあるんです! 今回のステージでベースを演奏されるかどうかはわからないですが、フジロックのステージでそういった“天才っぷり”を観たいなぁと思います。前述の最新作もキャッチーでライブ映えのする作品だったので、野外で観ると楽しめるんじゃないかなって思います!」


3.進化を止めないベーシスト・レッチリのフリーに注目

(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/24日・グリーンステージ)

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『ザ・ゲッタウェイ』ジャケット

「もう1組は、やっぱりレッチリですよね。『ベース・マガジン 2016年8月号』ではレッチリのベーシスト・フリー特集をしております! 最新作『ザ・ゲッタウェイ』も、すごい良かったんですよねぇ。ベーシストのフリーに関して言うと、大御所になっても常に進化を止めないベーシストで、音使いのアプローチとかも、これまでよりさらにアカデミックなプレイをしていて。そういった進化を続けつつも、ライブでは相変わらずバカっぽい感じを残しているところが魅力的ですね。フジロックのライブでも、そういったフリーとしての進化を生で観たいなぁっていうのはあります。ギタリストのジョシュも加入して約5年が経ち、バンドとしての化学反応もいろいろ出てくるだろうし。最新のライブ映像を観ても変わらぬテンションの高さが感じられて安心します。ライブでは最新作の楽曲とともに、そういったグルーヴを生で感じられたら、すごく楽しめるんじゃないかな」。


時代を反映しているメンツが出てるのもさすが!

「いやぁでも、第1回を彷彿させるメンツが揃っている反面、SuchmosとかLUCKY TAPESとかD.A.Nとか、時代を反映しているメンツというか、今注目を集めているアーティストがちゃんとラインナップに入っているのは、さすがですよねぇ」。



【ドラム・マガジン 北野編集長】


1.盛り上がったときのカマシ・ワシントンのツインドラムがものすごい

(カマシ・ワシントン/24日・フィールドオブヘブン)

カマシ・ワシントン

「せっかくなので、フジロックで見られる“ツインドラム”を紹介しようかなと思います。まずはカマシ・ワシントン。彼はジャズ系のサックスプレイヤーで、バンドメンバーはまだ発表されてないようなんですけど、おそらくレギュラーメンバーのロナルド・ブルーナーJr.とトニー・オースティンのツインドラムなんじゃないかと思います。ロナウドはブチかまし系で“攻め”のドラミングをみせるタイプで、トニーはその逆でボトムを支えるタイプ。そのコントラストが面白いんですけど、トニーも凄腕のドラマーなので、ガーッと一緒になって上がっていくときの盛り上がりやグルーヴがものすごい。スナーキー・パピーなんかもそうなんですけど、今のジャズはツインドラムやパーカッションを入れる編成が増えていて、リズムを重視していると思うんですね。そのフィールドの最先端が彼らなのかなって。トラディショナルであり、前衛的でもある、新しい形のツインドラムなように思います」。


2. 飲み込まれるような感覚になるROVOのリズム・アンサンブル

(ROVO/23日・フィールドオブヘブン)

ROVO

「ROVOはダンス・ミュージックを人力で演奏する日本屈指のライヴ・バンドで、その核となっているツインドラムが、芳垣安洋さんと岡部洋一さんのコンビです。芳垣さんがいわゆる通常のドラムセットで、岡部さんがパーカッションを組み込んだセッティングを使うんですけど、その組み合わせが絶妙で、本当にふたつでひとつみたいな感じのリズム・アンサンブルなんです。飲み込まれるような感覚になるというか、あのグルーヴは2人でしか出せない独特なものだと思いますね。ちょっと前に日本のアンダーグラウンドシーンで打楽器奏者が複数いるバンドが増えた時期があったんですけど、このふたりの影響が大きかったんじゃないか、と。ROVOはフジロックも常連で、野外で爆音で聴くあのサウンドは格別ですね。確実に盛り上がると思います!」


3. 異なる個性を持つ3人のドラマーが織りなす魅惑のグルーヴ!

(トータス/23日・ホワイトステージ)

トータス

「トータスはシカゴ出身の重鎮バンドで、5人編成なんですけど、その内のジョン・マッケンタイアとジョン・ヘーンドンとダン・ビットニーの3人がドラマーなんです。ステージ上には2台ドラムセットが向かい合うように配置されていて、3人が曲によって入れ替わり立ち替わりでドラムを演奏するっていうスタイルで、ドラマーの組み合わせが変わると演奏も全然違う雰囲気になるのが魅力ですね。マッケンタイアはバンドの中心人物で、音数も多くてキレキレのプレイスタイル。ヘーンドンは一番パワフルで、ツインドラムならではのパワー感みたいなものは、彼が担っているように思いますね。ダンは一番フワっとしていて空間系。他の2人が攻めのドラミングだとしたらダンは受けのドラミングなのかもしれませんね。トータスはいつもパフォーマンスがすごいので、今回のフジロックでもブチかましてくれると思います」。


フジロックの思い出は徹夜明けとケバブと痩せること!?

「入稿の時期とかぶっていてここ最近はフジロックに行けてないんですけど、無理して行ってた時期は明け方まで仕事をしてから、ドンキで必要なものを揃えて帰宅して、ゴアテックスの上着とゴアシューズを着てそのまま始発で越後湯沢に行き3日間過ごすっていう、今考えると信じられないことをやっていました。ドラマーを撮るために自分で撮影もやっていたこともあって、とにかく歩くんですよ。だからフジロックに行くと2~3キロ痩せるんです。めちゃくちゃ食べるんですけどね、ケバブばっかり(笑)。フジロックに行くと、何故かジャンキーなあのソースを口にしたくなるんです」。



それぞれの楽しみ方でフジロックを満喫しようっ

編集長、ライブの見どころのほかにも必須アイテムやダイエット法(!?)まで、たっぷりとマニアックに語っていただきありがとうございました! 各誌編集長それぞれのオススメアーティストはいかがだったでしょうか!? 3人の意見を参考にフジロックのラインナップを改めて見直してみると、より楽しめそうです! 『フジロック・フェスティバル’16』まであと3週間。激しく盛り上がるもよし、楽しく踊るもよし、まったりと聴くのもよし、みなさまそれぞれの楽しみ方で記念すべき20回目の同イベントを満喫しましょうっ!

[榊ピアノ]