本人からの翻訳ストップを乗り越えて完成した“お騒がせミュージシャン”の人生講座

連載・コラム

[2018/7/18 11:38]

1980年代ブリット・ロックのカリスマ、ザ・スミスのフロントマン

モリッシーというミュージシャンを知っていますか?

1980年代にイギリスのロックバンド、ザ・スミスのボーカリストとして人気を博し、現在はソロで活動中。来年には還暦を迎えるベテランです。歯に衣着せぬ過激な発言が話題に上ることも多く、彼の言動は世界中のロックジャーナリズムの注目の的になっています。

Used to be a sweet boy

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モリッシーっていったいどんな人? ザ・スミスってどんなバンド?という方は、まずこのミュージックビデオをご覧ください。今から35年前、1983年の曲です。

The Smiths 『This Charming Man (Official Music Video)』

床一面に花が敷き詰められた部屋でバンドが演奏する中、シャツの胸を大きくはだけ、花をブンブン振り回しながら歌っているのがモリッシーです。とても美しい曲ですが、どことなく怪しい雰囲気も漂います……。

ちなみに現在のモリッシーはこんな感じ。ここでも胸を大きくはだけていますね。

Morrissey『Jacky's Only Happy When She's Up on the Stage (Official Music Video)』

2013年には自伝本『Autobiography』を発売し、イギリスの書籍ランキングで1位を記録。その後、各国で翻訳版が作られるはずでしたが、本人から突然ストップがかかり中止になってしまいました。

ここ日本も例外ではなく、7割ほど進んでいた翻訳作業は水の泡になったといいます。しかし、その訳者は30年以上におよぶ筋金入りのモリッシーファン。転んでもただでは起きない!ということで、自伝の翻訳や長年のファン歴を通して得た知識や情報を元に、まったく別の本を作り上げたのです。

それが、イースト・プレスから発売中の『お騒がせモリッシーの人生講座』。

『お騒がせモリッシーの人生講座』イースト・プレス刊

著者の上村彰子さんが開設しているブログには、前述した翻訳版の顛末を含め、この本を書いた動機や主な内容が綴られています。

表紙の絵を描いているのは、多方面で活躍中のイラストレーター長場雄さん。

特筆すべきなのは、決して『ファンの妄想全開のイタい本』ではなく、アーティスト本人の書いたものや公式な評伝本などと比べても全く遜色ない、とても丁寧にまとめられた1冊だということ。そして『人生講座』というタイトルの通り、生きていく中でのいろいろなシチュエーションで心に刺さる金言がたくさん詰まっています。熱心なファンはもちろん納得、初めて興味を持った人もグイグイ引き込まれること間違いなし。これはかなりオススメですよ!

西本勲