『PERFECT HUMAN』の収入は2円だった……? 『SA-CUS』でオリラジ中田が語ったお金の仕組み

特集・インタビュー

[2018/9/7 17:00]

噂の「世界一楽しい学校」に行ってきた

世界一楽しい学校とは!?

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「お金を稼ぐ」。社会人になったら大抵の人がやらなきゃいけないことなのに、お金の流れや仕組み、ルールについて学校で習った記憶がない。「お金はどう稼ぐんですか?」と言われても正直うまく答えられない。かといって、どこで学べば良いのかもわからない……。

そんな中、キングコングの西野亮廣が主催するトークイベント『SA-CUS』で、オリエンタルラジオの中田敦彦が「お金の稼ぎ方」について話すことを知った。芸人なのにお金の話? と思ったが、それ以上にどんな話をするのか興味が湧いていた。

同イベントでは、「世界一楽しい学校」というテーマのもと、お笑い芸人をはじめ評論家や大学教授まで、話術に長けている先生たちが授業を実施。勉強とは知識を頭に詰め込むだけの行為ではなく、楽しいものであることを大人に再認識してもらうための催し物だ。

会場である千葉・舞浜アンフィシアターの中に入ると、独特な世界観が目の前に広がった。森の中にある小さな教室を演出したステージ、上から吊り下げられた無数の電球など、観客を別世界に導くための工夫があちこちに散りばめられていた。

イノベーションは“新しい組み合わせ”

そしていよいよ開演! まず登壇したのが『ビリギャル』の著者で塾経営者の坪田信貴氏。「才能の『正体』」をテーマに、人生を豊かにするには日頃から物事をポジティブに思考するトレーニングを行うことが大切だと語った。

坪田信貴氏

次に登場したのは、テレビ東京で『ゴッドタン』などの人気番組を手がけるプロデューサー・佐久間宣行氏。芸人が番組や楽屋などで発した名セリフを紹介していって、会場は終始笑いが絶えなかった。

続いて登壇したのは米倉誠一郎氏。一橋大学の名誉教授で、同大学のイノベーション研究センターの特任教授も務める人物だ。

米倉氏の授業テーマは「イノベーションってなんだ!?」。“イノベーション”という言葉に対して、「何か新しい技術を開発すること」というイメージを持っている人が多そうだ。しかし、米倉先生いわくイノベーションとは「新しい組み合わせ」のことを言うらしい。

米倉氏が例に挙げた1人が、株式会社ユーグレナの創業者である出雲充氏。同社はミドリムシによる栄養問題の解決を目指して、もともとミドリムシを使った食品をいろいろ手掛けていた。しかし、ミドリムシからとれる油に着目したことにより、現在は、ミドリムシを使った航空機燃料の実用化に向けてまい進している。藻類を食品に、そしてバイオ燃料に――。この流れの中には、いくつもの発想の転換が含まれている。ミドリムシはもともと存在するものだが、“ミドリムシをバイオ燃料に”は新しい。これこそがイノベーションなのだ。

そして、最後に米倉氏はビジョンに根拠はいらないことを教えてくれた。大事なのは情熱を持つことで、一度これがやりたいと思ったらあれこれ考えず、気持ちを貫けと。「日本を変えるようなイノベーションを起こす若者はいるのか? そう、答えは君たちだ!」という言葉に、僕は思わず震えました……!

米倉誠一郎氏

オリラジ中田は「資本家」になっていた!?

最後の講師はオリエンタルラジオの中田。これまで講師はアコースティック・デュオ「ウミネコ楽団」の生演奏とともに登場していたが、彼は自前のBGMとともに現れた。しかも映画『マトリックス』を彷彿させる黒いロングコートという、スタイリッシュなコーディネートでキメている。会場の空気を一瞬で自分のものにしてしまった。

中田敦彦

授業のテーマは「大切なものを守るためのお金の稼ぎ方」だが、まず衝撃の事実が告げられた。

中田は2014年にダンス&ボーカルユニット・RADIO FISHを結成し、2016年には「PERFECT HUMAN」でブレイクしてNHK紅白歌合戦への出場を果たした。しかし、中田は2017年、非常に苦しんで過ごしていたという。それは「PERFECT HUMAN」が全くお金にならなかったからだ。

印税は歌手に3%、作詞者に3%、作曲者に3%配分される。そのうち、中田たちは歌唱と作詞を担当しているので6%。RADIO FISHは6人組であり、ギャラは均等に分ける約束をしたため、1人当たりに入る印税は1%になる。そして、曲は1ダウンロード200円。そのため、1回のダウンロードごとに入ってくるお金はたったの「2円」だったのだ。

では、残りの配分はどうなっているのかというと、まず配信元であるiTunesに30%。そして「原盤権者」が残りの61%をもらえるのだという。原盤権者とは、曲をリリースするにあたってお金を出した人で、RADIO FISHの場合は吉本興業がそれにあたる。

資本主義社会では、労働者でなく、お金を出す=事業のリスクを背負った人間である“資本家”が一番リターンの多いシステムになっているのだ。つまり、リスクを負うか負わないかでお金の稼ぎ方が変わるということ。中田は、成功を納めるにはお金の流れを理解することが必要不可欠だとして、そういった仕組みやルールを知らないと損をするのは自分だと熱弁した。

そこで中田は、半年前から自ら資本家となり、オリジナルグッズを製作したり、オンラインサロンを手掛けたりしているそう。最近テレビで見ないと思ったらまた新しいことを始めていたのか……! これからは音楽プロデュースも手掛け、「ジャニーズ事務所を越える会社をつくる」のが夢だという。すごいことを言っているけど、この人ならやってくれそう。

中田はお金の話だけでなく、やりたいことを口に出すことの大切さまで教えてくれた。お笑い芸人から資本家という異例のキャリア。しかし、「笑われるような夢を叶えるとみんな泣いてくれるんだよ」と訴える彼の姿を見て、知識と行動力があれば人間は何にでもなれると感じた。大人だけど何かを学びたい、人生がもっと面白くなる方法を知りたいという人は、ぜひ一度『SA-CUS』に足を運ぶことをオススメします!

『SA-CUS』を主催する西野亮廣(キングコング)

山内光太郎@HEW