日本一のサブカル系レスラー!? DDTプロレスリングのエース・竹下幸之介の音楽愛に迫る「最近accessのPV集買っちゃいました」

特集・インタビュー

[2018/10/18 17:00]

団体のエースでありながらオタクを自認

DDTプロレスリングの竹下幸之介といえば、同団体が管理するKO-D無差別級王座の最多防衛記録を持つ若きエースだ。その一方で、幼少期からプロレスを見続け、卒論のテーマも「ジャーマン・スープレックス」だったりというプロレスマニアであり、映画・マンガ・アニメ・ゲーム・音楽といったサブカルの大ファンでもある。

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――竹下さんは17歳のときに日本武道館のリングでデビュー、史上最年少でチャンピオンとエリートコースまっしぐらのレスラーですが、実はオタク気質なんですよね。

いわゆるサブカルと呼ばれるものに対する興味は、プロレス界では一番だと思いますね。ものによっては僕よりすごく深い人もいるとは思いますが、浅すぎず広くという意味では結構トップなんじゃないかと。

――音楽の趣味も広いですよね。特に1970年代の古い曲がお好きだとか。

ちょっとだけプロレスの話と関連付けると、プロレスには入場曲というものがありまして、僕は入場曲から音楽にハマったんです。アントニオ猪木の『炎のファイター』のようなオリジナル曲もある一方で、インディーと呼ばれる選手はオリジナル曲はなく既存の曲を使ってるんですが、子どものときに「この曲いいなあ」と思ったのが森田公一とトップギャランというグループの『青春時代』という曲でした。当時まだ小学校1年生くらいだったんですけど、会場には母と一緒に行っていて、CD買ってもらったんです。母も「昔この曲流行っていて、私も好きやったわ~」って。僕は1970年代から1980年代の歌謡曲、フォークソングに入場曲から入ったんです。

――親御さんの影響もあったんですか?

ずっと父が焼き鳥屋をやっていて(※)、母もそのお店で働いていたので僕もよくお店にいたんですが、一緒に帰ると深夜になってしまうことも多かったんです。その時間帯って、よく昔の曲集めましたみたいな5~6枚組CDの通販CMをやっていましたよね。それが1970年代フォークソング集だったりして。でも、そこで流れる曲を気に入って、これ買ってくれって頼んでも、BOXセットなんで結構高くて買ってもらえなかったんです。その代わりにと買い与えられたのが、かぐや姫のCDでした(笑)。

――(笑)。ご両親の一番のおすすめだったんですね。

そうですね。まずはこれを聴け、と(笑)。

――その後の遍歴を教えてください。

フォーク以降は、小学校3年生のときにザ・ブルーハーツにハマったんです。フォークソングもそうなんですけど、ブルーハーツはわかりやすかったんですよね。一番好きな曲は、ベタなんですけど『青空』。最初に聴いた曲です。でも、フォークにしてもブルーハーツにしても、世代的には僕よりも前で、リアルタイムじゃない。ライブを観に行こうと思ってもやってないですから、ひたすら過去を遡る作業でしたね。

――小学生じゃ、まわりに話が合う友達もいないですよね。

いないですね。だからカラオケも、友達と行くより母の友達と行ってました。ママ会に連れていかれて歌ってましたね。いまでも一番好きなのは吉田拓郎ですし、「つま恋コンサート」のブルーレイは家宝です。

おもしろPVマニアでもあります

――竹下さんは1970年代、1980年代の曲だけでなく、最近ではよくaccessについてSNSでつぶやかれたりしてますよね。

1990年代も好きなんですよ。1990年代は音楽も好きなんですが、どちらかというとPVが好きで。今自分の中でPV集のDVDを買うブームがきてますね。僕、YouTubeでおもしろPVみたいなものを観るのが好きなんです。T.M.Revolutionの『魔弾』というおもしろいPVで有名な曲があるんですけど、そういうおもしろPVを漁っていた時期があって。

そうしたら、「あなたへのおすすめ動画」とレコメンドされるところにいっぱいaccessのPVが出てきたんですよ(笑)。それで観てみたら、これはすごい、かっこいいと思ったんです。おもしろかっこいいというか、語弊があるかもしれませんがダサかっこいいというか。僕はそれがかっこいいと思うんです。

最近も観直してたらやっぱりいいなあと思って、PV集買っちゃいました。曲自体も好きです。小室(哲哉)さん的な音も好き。T.M.Revolutionもそうですよね。

――ほかにおすすめのPVはありますか?

ちょっと待ってくださいね……(と、スマホを見る)。あ、僕、おもしろPV全部メモってるんですよ。

――(笑)。

あ、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の『君の街まで』もおすすめですね。

これも有名な曲なんですけど、イチオシのPVですね。山本晋也監督が出演していて、シンクロナイズドスイミングがモチーフなんですが、ちょっとカオスな作品です。奇作ですね。

――SNSで音楽のことをつぶやいたりしていて、ファンの方の反応はあったりしますか?

僕のTwitterのフォロワーはやっぱりプロレスファンの方ばかりなんですけど、プロレスファンはプロレスを追っかけてるのでなかなかサブカルまで追っている人はいない。でもaccessに関しては、逆にaccessのファンの方たちがめちゃくちゃフォローしてくれて、access応援団のようなものができてるんです。次の両国大会もaccessファンの方何人かで観に来てくださるらしくて、嬉しいですよね。最近、そのaccessファンの代表の方がひとりで会場に観に来てくださったことがあって、「accessを応援してくれてありがとうございます」と大量のaccessのCDをいただいたんです(笑)。「差し入れです」って。「昔のaccessはご存知だと思うんで、最近のaccessのCDを持ってきました」とのことだったんですが、ちょうど持ってなかったのでめちゃめちゃ嬉しかったです。いまもかっこいい曲作ってんな~と思いました。

マイクパフォーマンスはあのアーティストを参考にしていた!?

――つい先日も、大好きだという映画『カメラを止めるな!』をモチーフとした『ポンッ!』という技を試合で試すなど、竹下さんはいろいろなネタをプロレスやマイクパフォーマンスに取り込まれたりしています。音楽ネタで何か取り入れたことはありますか?

実は、マイクパフォーマンスはアーティストさんのライブMCを参考にしてるんです。ダムネーションという悪者ユニットに入ってしまった佐々木大輔というレスラーがいて、悪くなる前は公私ともに仲がよかったんですけど、その佐々木選手はよくGLAYのライブを観ていて、GLAYのMCを取り入れたりしていました。僕がどうやったらマイクをうまくできるようになるのか考えていると、佐々木選手が「コンサートを観ろ」とアドバイスしてくれたんです。佐々木選手に「そうだねえ、タケちゃんはミスチル(Mr.Children)がいいんじゃないかな」と言われてから、それを真に受けてミスチルのライブMCを参考にしていました。言葉というより、喋り方なんですけどね。僕は悪者ではなく、ベビーフェイスと呼ばれるいい者。音楽界のいい者、音楽界のベビーフェイスといえばミスチルでしょう(笑)。

――(笑)。具体的にこうするとミスチルっぽくなるというのを教えてもらえますか?

ちょっとボソボソしゃべるというか、そんなにはっきりしゃべらないんですよ。匂わせる感じでしゃべりつつ、最後の伝えたいことだけはっきり大きい声で言って、にこーって笑う(笑)。これですね。

――ミスチルっぽいでしょって誰かに言ったことあります?

いや、ないです(笑)。誰からもまだ気づかれたことないです。逆に気づかれたら恥ずかしいんで(笑)。ミスチル意識してると思われたら恥ずかしい。

――じゃあこのインタビューで初めてみんなが知るんですね。そしたら今度は、ミスチルファンの方が竹下さんのこと注目するようになったりして……。

「ぜんぜん違うよ!」「桜井(和寿)さんこんなんじゃないよ!」かもしれないですけど(笑)。

俺たち文化系プロレス DDT

――DDTプロレスリングは自ら「文化系プロレス」を名乗るなど、他の団体とは一線を画した存在です。いままでプロレスを観たことがない人でも楽しめるものだと思います。

プロレスと聞くと“体育会系”だと思われる方が多いと思いますし、DDTにも体育会系の試合はもちろんあります。なんなら僕はそっち担当なんですけど、でもDDTは文化系プロレスという独自のジャンルを編み出しそれをウリにしています。例えば男色ディーノというゲイのレスラーがいて、男色殺法という相手の股間をつかむという技でチャンピオンにまで登りつめたなんてDDTだからこそですよ。あと、スーパー・ササダンゴ・マシンというマスクマンは、試合前にパワーポイントを使って観客に「対戦相手にこうやったら勝てるんじゃないか、こうすれば勝てるんでみなさん応援してください」と先にプレゼンするというファイトスタイルだったり。

――かなり個性的ですよね……。

こういう独自の路線は、もう実際に観てもらうのが早いと思うんです。少しでも興味を持っていただけたら、一度観てください。客席に座っていただいて、そこで行われることをまず観てもらえれば、必ず楽しめます。映画と一緒で、観ていれば誰でもわかります。ルールなどが最後までわからなかったということは100%ありません。DDTのプロレスは間違いなく楽しめるものになっていますので。

――10月21日に両国国技館大会があります。年に2回行われるビッグマッチと呼ばれる大きい大会です。

「秋のプロレス文化祭」というサブタイトルがついてるんですけど、これまで以上に楽しく、より自由なお祭りにしたいですね。そのなかで僕は体育会系の試合を担当します。#STRONGHEARTSという上海で活躍してるプロレス軍団があるんですけど、まあ強いんです。そこのCIMA(シーマ)という、DRAGON GATEという団体でずっと活躍された選手が、DDTのマットに乱入してきた。DDTをコケにしにきたんで、この私がですね、ちょっと待てと。DDTには竹下幸之介がいるということで、この両国大会で外敵CIMA選手を迎え撃つというシングルマッチを行います。セミファイナルではありますが、僕は実質メインイベントという気持ちで戦います。

――これは期待大ですね!

これまでもさまざまな取材で言ってきてるんですが、僕は「オタク代表」として、そういう強い奴に立ち向かっていくんで、応援よろしくお願いします!

(※)なんと、竹下さんのお父さんのお店が今月東京にオープンすることになったそうです! 詳細はコチラをチェック!

プロフィール

たけしたこうのすけ●現役高校生レスラーとして2012年8月の日本武道館大会でデビュー。日本体育大学進学後も学業とプロレスの両立に励み、2018年3月に無事卒業した。卒論のテーマは『ジャーマン・スープレックス』。2018年4月に入江茂弘に敗れるまで、KO-D無差別級王座11回防衛(最多記録)。

大会情報

東京・両国国技館『両国ピーターパン2018~秋のプロレス文化祭~』10月21日(日)開催!
開場13:30 開始15:00
チケットのお求めや対戦カードの詳細はホームページをチェック!

大木信景@HEW