大槻ケンヂが“超常現象”に遭遇!? 最新オカルト事情&筋肉少女帯ニューアルバムについてたっぷり聞いてきたっ
筋少30周年記念アルバム&最新オカルト事情を大槻ケンヂが語るッ!
独自の世界を構築しカリスマ的な人気を誇るロックバンド・筋肉少女帯が10月31日にメジャーデビュー30周年を記念するオリジナルアルバム『ザ・シサ』をリリースする。同じものを見ても位置の違いにより異なって見える“視差”をテーマにした同作は、前作『Future!』(2017年)に続いて全12曲書き下ろしという豪華な内容となっている。今回『耳マン』では唯一無二のボーカリスト“オーケン”こと大槻ケンヂに3年ぶりのインタビューを敢行! 全収録曲の作詞を務める彼に楽曲制作時のエピソードや大好きなオカルトについてまで、たっぷりとお話いただきましたっ。
オーケンの身に降りかかった恐ろしい現象とは……?
——今回のアルバムはリード曲の『オカルト』をはじめ、歌詞のなかに「陰謀」というワードが出てきたりと、アルバム全体を通しても超常現象を連想させるものがあるように感じました。自身のラジオ番組『オールナイトニッポン』でもたくさんのオカルトトークをされていましたが、大槻さんにとって今1番アツいオカルト話があったら教えてください!
う〜ん……。アッ! 最近、恐ろしい現象がありました!
——聞きたいです!
あるホラー映画の試写状が僕の事務所・オーケン企画宛に届いたんです。「ホラー映画の試写状か」と思って見てみたら、何丁目何番地〜と僕の事務所の住所が書いてあるわけですよ。……(神妙な声色で)でも、宛先が「大槻ケンヂ」じゃなかった。
——えっ!?
誰宛だったと思います……? (小声で)怖いよ怖いよ……。
——えぇ……誰でしょう……。
(すごい迫力で)「稲川淳二様」!
——(爆笑)
僕の事務所には、稲川淳二さんは在籍していません。こんな怖いことあります?
——先方が試写状の宛名をあいうえお順で書いてて、稲川さんの次が大槻さんで、間違えて稲川さんの名前を2回書いてしまったとか……。
あぁ、稲川、大槻で連続してて……。って、稲川さんのあと俺なの? 内田裕也さんは招待しないの? 江頭(2:50)さんも呼ばないの!? ……いやぁ、これはもう超常現象とは考えていいと僕は思いますよ! オカルトですよ、完全な。怖いよなぁ〜。
——ちなみにその試写会には行ったんですか?
いやぁ、行かないですよ。だって僕、稲川淳二さんじゃないですから。だから、これはなんらかの陰謀……この映画を大槻ケンヂに観せちゃいけない、試写会の会場に来させないための米国政府からの陰謀かもしれない。オカルトの世界では“ハイストレンジネス”といって、わけのわからない現象が起こることがあるんですよ。まったくもって意味がわからないっていう。だからこれは、ハイストレンジネスですよ。
——まさにハイストレンジネスの現象に遭遇したと(笑)!
もし、この世ならざるものの仕業だったとしても、その意図がわからないでしょう? いやぁ、わからない。……もしかして僕、“モルモット小父さん”になるのかなぁ?
——モルモット小父さんとは……?
『ザ・ハングマン』っていうね、林隆三さんや黒沢年雄さんが出演されていた刑事ものの変形みたいなテレビシリーズがあったんです。悪事を働いた奴が酷いお仕置きを受けるっていう。例えば新宿・歌舞伎町の街で裸でロープに吊り下げられて「助けてぇ〜!」っていうような……。それで、まずモルモット小父さんである稲川淳二さんが、その新しいお仕置きの実験台になるんですよ。
——ずいぶん物騒な役柄ですね(笑)!
「やだなやだなー、怖いな怖いなー、あぁぁぁ〜!」って(笑)。稲川淳二さんはその役で毎週番組に出てたんです。……だから俺、2代目モルモット小父さんになるのかなぁ? これは地獄の招待状だよ、怖えぇ〜。……マジ怖えぇ〜。
「僕は、いつも真剣にロックのことを考えてるんですよ!」
——そんなに身近なところに陰謀論があるんですね……。実は2015年10月の『耳マン』のインタビューで、大槻さんは“夏フェス陰謀論”‘(フェスは偽装で、実はその地下で何かが行われている)や“ロックミュージシャンロボ化説”(年齢を重ねても若々しく異様にお達者なミュージシャンはもはやロボット化している)を唱えていたのです。最近、ロック界の陰謀論で気になったことはありますか?
多分ミック・ジャガーやキース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)も、もうロボ化してるんじゃないかなぁ〜。なぜなら、必要最低限の動きしかしないじゃないですか。
——必要最低限の動き(笑)。
ミックは異様に動くけど、不可思議な動きじゃないですか。だからきっとそうだと思うんだよなぁ。やっぱり国家プロジェクトになりうる大御所ミュージシャンにはロボ化してる人も多いでしょうね。あとは、対テロ! これは真面目に、僕はあると確信してる。今やスタジアムクラスのロックコンサートはテロの標的になっているでしょ。そうすると“対テロ兵器としてのロックミュージシャン”っていうのがこれから必要になると思うんです。ライブ会場に侵入したテロリストを、ロックミュージシャンがやっつけるっていうことがね。あの、“ナメてた相手が強かった”っていう映画のシリーズがたくさんあるんですよ。ヨボヨボのおやじだと思ってたら元特殊工作員でめちゃくちゃ強かったっていう。だから今「あいつ弱いんじゃないの?」ってナメられてる……オジー(・オズボーン)でしょうね。
——ナヨナヨとしているように見えるオジーが、実は……!
オジーだったら1発だよ、ってみんな思ってるじゃないですか。それを見込んでブラック・サバスのスタジアムライブを狙ったテロリストがいざやろうとしたときに、オジーが突然相手の背後に回って素早い動きで締め落とす。だからサバスの間奏は長いんですよ! トニー・アイオミがギターソロを弾いている間にオジーがテロリストをやっつけているんですね、何事もなかったかのように。
——人知れず世界を救っているんですね。
僕は、こうしていつも真剣にロックのことを考えてるんですよ! みんな音楽の面からしかロックを考えないでしょう? それじゃダメなんだって! ロックっていうのは、すべてなんだ(手をパンと叩く)! 視差を持って見るべきだと。テロ対策要員としてのロックミュージシャンやバンドも重要だと思うんですよ。最近は『フジロックフェスティバル』や『サマーソニック』とかで海外のアーティストがたくさん来日するから、各国のミュージシャンを警護するのも日本のミュージシャンのおもてなしでしょう?
——ということは、大槻さんも……?
……ふふふ、やってますよ。内緒だよ。まぁーあの、『耳マン』さんだから言っちゃいますけど、えぇ。だから僕、フジロックの期間とか忙しいよぉ、対テロ工作員ミュージシャンとして潜伏してるので。全身迷彩柄の服で長いスコープの銃を持って川に沿って歩いたりだとか、雨のなか会場を1日まわったりもするんです。今年はけっこうボブ・ディランとか危なかったよねぇ。彼は知らないだろうけど、僕が、ちょっと、ね。ふふふ、ふふふふ……。
新しいサウンドにも挑戦した30周年目の筋肉少女帯
——そんなロック界の平和、もはや世界の平和も守っている大槻さんですが、ニューアルバム『ザ・シサ』についてもお聞かせください。今回「視差」をテーマにしようと思ったきっかけは?
筋肉少女帯がメジャーデビュー30周年目に突入したんですけれども、僕から見た30年とメンバーから見た30年と、リスナーから見た30年と、みんなやっぱり違うんだろうなぁと思って。同じ“筋肉少女帯30周年”というもののを見ても、みんな思うことが違うのは視差があるからだなぁと考えたんです。ひいては、世の中のすべてのものには視差がある。芥川龍之介の『藪の中』や黒澤明の『羅生門』みたいに同じものでも見る場所が違うことによってまったく違うものになる、それが人間なんだなぁ、これが生きてるってことなんだなぁと思って。そういうテーマで作れないかなぁと思ったんですよね。
——2014年に上坂すみれさんに提供された楽曲『パララックス・ビュー』の歌詞でも視差について書かれていましたが、その頃から構想はあったんですか?
うん。その前にね、アラン・J・パクラ監督でウォーレン・ベイティが主演した『パララックス・ビュー』(1974年)という、陰謀論の映画がありまして。僕はなんかそれが妙に引っかかっていたんです。それで、上坂すみれさんに提供する楽曲が地獄をモチーフにしたギャグ漫画『鬼灯の冷徹』のアニメ版主題歌だったこともあり、地獄というのは恐ろしいところだけれども、視差を変えて見てみたら、大好きな人と荒涼とした地で「ふたりで生きていこう」と思えるような愛の空間なのかもしれない、という歌詞を書いて。それでこの視差というテーマがけっこう気に入ったので、いつか筋肉少女帯でも書いてみたいなぁと思って、今回発表することになりました。
——前作『Future!』(2017年)制作時には博物館や美術館で歌詞をイメージされていたそうですが、同作ではどういった場所で考えることが多かったですか?
森美術館には1日いましたね。東京国立近代美術館にも行ったかなぁ。あと、今回は喫茶店で歌詞を書いたことも多かったな。歌詞ができるときって、バチバチバチって浮かんで、続けて2作できたりするんですよ。だから、1作は喫茶店で書いて、そのあとすぐそばの喫茶店でもう1作書いたりっていうこともありました。『ネクスト・ジェネレーション』は、ほかの曲の歌詞を書いたあとにハッと思いついて、夜の公園をウロウロしながらできたんです。
——『ネクスト・ジェネレーション』の歌詞もすごくおもしろくて、『ニルヴァナ』(2014年/アルバム『THE SHOW MUST GO ON』収録)の世界観にも共通するものがあるのかなぁと思ったのですが。
そうですねぇ。やっぱり僕たちも2世代アーティストになってきて、最近筋肉少女帯が好きっていう若い子によく会うんですよ。すると、別にそういうお付き合いするんじゃなくても、こんなこともありえるかもなぁと思って。最近“時は動いてる!”って思ったのが、フェスなんかで一緒になるアイドルの女の子や若いミュージシャンに「私は大槻さんが『KERA』や『ゴシック&ロリータバイブル』(いずれも女性ファッション誌)に書いていたエッセイを読んで、ロリータファッションを始めたんです!」とか、「大槻さんの連載を読むために『KERA』を買ってました」とか言われるんです。昔は“影響を受けました”って言われる作品が『グミ・チョコレート・パイン』っていう小説だったんですけど、「『KERA』の世代の連載まで届いているのかぁ」って、嬉しくて。書いていた当時は自分の年齢や性別と読者の世代との乖離が自分のなかで激しくて、「もう無理です、もう少女のことはわからないです! 終わらせてください」って言って連載を終わらせてもらったんですけどね。
——でも、実際はすごくたくさんの方に届いていたんですね。
そうみたいですねぇ。よかった、よかったぁ。
——『ザ・シサ』のリード曲でもある『オカルト』も大槻さんならではの表現で書かれた切ない歌詞ですが、着想を得たきっかけなどはありますか?
曲のイメージとしては『コーヒールンバ』なんですね。中東とかインドとか、そういう国の男の人がちょっとしたことで恋に目覚め……全然ちがうなぁ、実際の歌詞の内容が(笑)。でもまぁ、不思議な物語として僕のなかで『コーヒールンバ』的なイメージだったんですけどね。
——ギターのリフにもインドっぽいフレーズがありますね。
これはね、バングラビート(※)が一時期流行ってたんですよね。ブリトニー・スピアーズやシャキーラなんかもバングラな曲をやってたりだとか。それでバングラビートのヘヴィメタルって聴いたことない!と思って、バングラメタルをやろうよっていうのでできたんじゃないかな。『マリリン・モンロー・リターンズ』の一部もそうですね。
(※インド北西部パンジャーブ州の伝統音楽・バングラをベースにしたダンスミュージックのこと)
——その2曲では筋少流のバングラメタルが聴けると。さて、大槻さんは12月5日にソロプロジェクト“大槻ケンヂミステリ文庫”としてアルバム『アウトサイダー・アート』もリリースされますが、大忙しですね。
忙しいですよ! 『ザ・シサ』を作る前に『アウトサイダー・アート』の歌詞も全部書いたんです。今、僕は“作詞脳”が開いてるんで、自分の歌詞もですけどいろんな方の歌詞も書きたいなぁと思っていて、オファーは全部受け付けますよ。バンドでもいいです! もしロックバンドで「曲数多くて大変だなぁ」っていう人は僕に頼んで(笑)! 演歌とかもやってみたい。僕、声優の飯田里穂さんの詞も書きましたしJ-POPもOKですからね。どのジャンルでもやります! あと、例の特殊セキュリティのオファーも受けてます。
——幅広いですね(笑)!
特殊セキュリティのオファーはね、コウモリのライトを夜空にあててくれたら……。
——そうしたら特殊セキュリティをオファーする合図になりますか?
えぇ。マキビシも装備した“オーケンモービル”に乗ってマッハのスピードで駆けつけますのでね。いやぁ、今日は本当に音楽的な話ができてよかったよ!
——真面目な音楽ト−クを、本当にありがとうございました!!
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『ザ・シサ』リリース・ツアー
◎愛知公演 11月10日(土)名古屋 CLUB QUATTRO
[問]JAIL HOUSE 052-936-6041
◎大阪公演 11月18日(日)梅田CLUB QUATTRO
[問]清水音泉 06-6357-3666
◎東京公演 11月23日(金・祝)渋谷ストリームホール
[問]ホットスタッフ 03-5720-9999
◎東京公演 12月9日(日)マイナビBLITZ 赤坂
[問]ホットスタッフ 03-5720-9999
Support Pf. 三柴理 / Support Dr. 長谷川浩二
大槻ケンヂミステリ文庫ファーストアルバム『アウトサイダー・アート』12月5日リリース!
大槻ケンヂミステリ文庫 2019年ツアー
◎1月13日(日)大阪・Music Club JANUS
◎1月14日(祝・月)岡山・Desperado
◎1月25日(金)名古屋・ELL(Electric Lady Land)
◎2月6日(水)東京・duo MUSIC EXCHANGE
Tour Member:Vo.大槻ケンヂ、G.友森昭一、Bass. 高橋竜、Dr. 長谷川浩二、Key. おおくぼ けい