『BRADIOのファンキーハンター』【第4回:世界を揺らす“ソウル×ロック”サウンド Vintage Trouble編】

連載・コラム

[2016/4/17 12:00]

LIVE REPORT
BRADIOメンバーによる、4月4日に行われたVintage Troubleのライブレポート! 同じステージに立った者だからこそわかるその彼らのすごさを語ってもらった!



僕には彼らが海賊にみえた
ブルースとロックの最高沸点に誰も取り残さずに連れて行ってくれるエキサイティングなステージ。それはまるで風の向くままに進み、思いのままに歌い踊り、祝杯をあげ高らかに帆を張った海賊船で世界のミュージックプレイスポットをまわる航海のその一部に参加しているかのような感覚。僕にはそんな彼らが海賊にみえた。

男臭くて紳士的、土臭いセレブ、世界のそこにある掟なんて度返し。でも自分たちの作り上げた音楽というルールを決して皆に押し付けるわけではなく、“同じ船員なんだ”と感じさせてくれる。音楽の同胞=トラブルメイカー(※Vintage Troubleのファンこと)との近さ、そして納得の演奏力に終始魅せられていた。決め打ちではなく、そのときの空気感をそのままパッケージしたようなライブは、会場の熱量とメンバー間の波長がフィットして比例していくように自由にうねるグルーヴが印象的。お互いがお互いをちゃんとリスペクトし合っているんだろうなぁ。

アッパーな楽曲だけでなく、スロウナンバーでもたっぷりと魅せてくれた。男が洒落て歌うただのそれではなく、歌心=ソウルで歌う『Nancy Lee』はたまらなくブルージィでエロかった。そして、ラストへ向けての爆発力はすごすぎて思わず「すげぇ〜」と童心に返ってしまった。タイが歓喜と熱気に満ちあふれたトラブルメイカーの上を、まるで波に乗るかのように泳ぎ、高らかに歌う。初めて観たMVで彼がくるくる回っているのに異常に興奮した『Blues Hand Me Down』では、会場の熱狂最高潮の中、俺だけうるっときていたのかもしれない。

この公演が決まったとき、本当に嬉しかった。自分はソウル、リズム&ブルース、ゴスペルにブルースと時代を遡りながら音楽の魅力を感じているが、それをリアルタイムで感じることのできなかった歯がゆさや無念な思いがあった。しかし今回、夢とロマンにあふれた憧れの海賊船Vintage Troubleと同じ航路で、それらの音楽と交わることができたのはこのうえない財産になった。
(真行寺貴秋/BRADIO)


カジュアル店で超一流素材を使った最高の料理を出されたみたいな気分
3月某日、マネージャーから興奮気味のLINEが届く。

「きたーーー!!!」「Vintage Troubleのサポートアクト!!!」「4/4大阪!!!」

あまりの興奮っぷりに主語も述語もいつも以上にめちゃくちゃになっていたが、Vintage Troubleと共演できるという衝撃的事実に、彼の謎の日本語力が熱意となって逆にVintage Troubleに届いたではないかと、マネージャーを神棚に祀りたい気分になった。

公演当日、自分たちのライブを終えると、トラブルメイカーのみなさんの最高のミュージックラバーっぷりに興奮冷めやらぬままフロアへと急いだ。そして、Vintage Troubleのショウがスタートした。

「うぉっ!?」
「うぉぉっ!!?」
「うぉぉーっ!!!かっけぇーーーー!!!」

そんなライブレポあるかっ!って話しだが、まさにこれ。タイのソウルフルな歌声と、観るものクギ付けにさせる圧巻のステージパフォーマンス。ナルの骨太でロック魂に火がついてしまうリフワーク、そしてスロウな曲で聴かせる温かいブルースギターサウンド。リックの8ビートこそすべてのグルーヴの基本だと言わんばかりの、まさに縁の下的なベース。リチャードの、一発で観衆のボルテージを上げる魂入りまくりのパワフルなドラム。この4人の呼吸で織り成す圧倒的な“本物感”に空間は支配されていた。

ただ、彼らのライブは“本物感”を醸し出すアーティスト特有の、ファンとの壁のようなものが一切ない。タイがフロア中を駆け回るパフォーマンスをはじめとしたさまざまな演出において、オーディエンスとの心の距離感がものすごく近いのだ。まるでカジュアルなお店で超一流素材を使った最高の料理を出されたみたいな気分。おまけにオーナーシェフの笑顔は最高ってやつだ。そりゃ好きになるよ。

『Another Man's Words』のようなスロウな曲で会場中を横揺れさせ、エンディングの『Blues Hand Me Down』では一気にボルテージを最高潮まで引っ張り上げ、まるでウッドストックを観てるかのようだった。彼らは人の心をくすぐる天才集団だ。(大山聡一/BRADIO)


Vintage Troubleとの“コミュニケーション”で見つけた今回のファンキーワード

「ファンキーとは“しかめっ面”なフィーリングである」
by Vintage Trouble


来月もBRADIOが“Funky!!”に出会いに行く予定! お楽しみに!

【協力:ユニバーサルミュージック、クリエイティブマン】

【著者紹介】

BRADIO
真行寺貴秋(ボーカル)、大山聡一(ギター)、酒井亮輔(ベース)、田邊有希(ドラム)による4人組ロックバンド。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らす楽器陣を軸に、熱唱&ファルセットを使い分ける真行寺の歌声で、観に来たFUNKY PARTY PEOPLEを虜にするエンターテイナー集団。2014年夏には愛知県で行われた大型フェス『TREASURE05X』やT.M.Revolution西川貴教主催の『イナズマロックフェス2014』に出演。2015年、日本テレビほかアニメ『デス・パレード』オープニングテーマを担当。12月31日には『COUNTDOWN JAPAN 15/16』にも出演した。

[耳マン編集部]