音楽の都市伝説:童謡『あめふり』の怪

連載・コラム

[2015/12/17 12:00]

『月刊ムー』でも執筆するライター長田遊馬氏が音楽にまつわる都市伝説に迫る!


童謡『あめふり』は怖い

(c) Jonathan Kos-Read

第2回となる音楽の都市伝説。今回は「童謡」にまつわる都市伝説を紹介しよう。

『あめふり』という童謡をご存じだろうか? “あめあめふれふれかあさんが~”という歌詞から始まる歌で、皆さんも小さい頃に一度は口ずさんだことがあるのではないだろうか。実はこの童謡には怖い噂がある。

あまり知られていないが、この『あめふり』という歌には、1番から5番までの歌詞が存在する。1番と2番は普通に歌っても問題はない。しかし、“雨の日”に3番以降を“口に出して歌う”と怪異が起きるという――。

これは東京のある中学校に通っていたKさんが実際に体験した話だ。――ちょうど梅雨の時期だった。その日も雨が降っていた。Kさんの学年は1階に教室が設けられている。3時間目の授業科目は国語だった。

連日の雨で鬱々としていたのか、担当の先生が突然授業をやめて、怪談を話し始めたのだ。「みんな、知ってるか? 童謡の『あめふり』には怖い話があるんだ……」そう言った先生は、『あめふり』を歌い始めた。突然の出来事に困惑するKさんたち。そして、3番の歌詞にさしかかったとき、Kさんの隣の、窓際の席に座っていたOさんが「キャッ……」と小さな叫び声をあげた。

「どうしたの?」

KさんがOさんの様子をうかがうと、外から視線を感じる。その場に目をやると、植込みに“丸いもの”が転がっていた。

ガクガク震えるOさんの異変に気付いたクラスメート全員が窓からのぞきこむと、それは少女の生首だったのだ!! すると、いきなりその生首がくるりと向きを変え、クラスメートに向かってにっこりと笑ったという――。

3番以降の歌詞が……
当時、この話は学校中で話題になり、『あめふり』を歌った教師は厳重注意、そして『あめふり』歌うことが禁止されたという。だが、なぜこのような現象が起こったのか? それは3番以降の歌詞に謎が隠されている。まず、歌詞をご覧いただきたい。

(3番)
あらあら あのこは ずぶぬれだ やなぎの ねかたで ないている
ピッチピッチ チャプチャプ ランランラン

(4番)
かあさん ぼくのを かしましょか きみきみ このかさ さしたまえ
ピッチピッチ チャプチャプ ランランラン

(5番)
ぼくなら いいんだ かあさんの おおきなじゃのめに はいってく
ピッチピッチ チャプチャプ ランランラン

そもそもこの歌は、病弱の母親が日に日に衰弱していき、自分の子供(少女)に傘をさしてあげられなくなる=亡くなる、という意味が込められているという。

これは、まことしやかに語られている話だが、母を失ったこの少女は、雨が降ると傘も持たずに外に出るようになった。「雨の日に外に出れば、また母親が傘差しに自分に会いにきてくれる」、そう思ったからだ。しかし、当然ながら母に会えるはずもない。また、少女に追い討ちをかけるように、周囲には母親に傘をさしてもらい、手を引かれる同年代の子供たちが目に映る。

それからある豪雨の日、ずぶ濡れになっていた少女に、「ぼくのお母さんの傘いる?」と声をかけた同い年ぐらいの子供がいた。だが、少女は手を繋いでもらっているその子供に対し、嫉妬の念を抱き、何も言わずに走り去ってしまった。一目散に走った少女は、不幸にも足を滑らせて川に落ちて死んでしまった、という。

これらの話を踏まえると、3番の歌詞に登場する“柳の下でずぶぬれの子供”は、母を亡くした少女を指しており、そして4番と5番の歌詞の“ぼく”は、少女に傘を貸してあげようとした子供のことだと推測できる。そして、少女は嫉妬心、つまり恨みを持ったまま、不慮の事故で亡くなってしまった。

『あめふり』には、その少女の怨念が宿っているのかもしれない。だとすれば、怨念が宿った詞(言葉)は“言”の“霊”、つまり「言霊」となって、霊を呼び出す一種の召喚術になりうるからだ。

口ずさむと怪異が起こる『あめふり』。つまり、口ずさまなければ怪異は起きないということだ。必ず、心の中で口ずさんでほしい。ただ、興味本位で禁忌を犯す人もいるかもしれないので、一応、“何が起きても自己責任”ということを改めて述べておく。

【著者紹介】

長田遊馬
東京都出身。超常現象研究家の新星。幼少のころからUFOや超常現象に造詣が深く、オカルト界の重鎮・並木伸一郎を師と仰いでいる。専門誌「月刊ムー」でもUFO、UMA、超常現象に関する記事を執筆している。好きな音楽はヘヴィメタル。超常現象を研究するかたわら、『地獄のメカニカルトレーニングフレーズ』(リットーミュージック刊)を片手に、日夜スウィープ奏法を練習中。

耳マン編集部