芸能活動とベビーシッターの2足のわらじ……倉田瑠夏が古巣アイドリング!!!愛を熱弁~元アイドルインタビュー第15回~
毎日のように流れてくる、知らないアイドルの卒業発表ツイート。アイドルを辞めた女の子たちは今どこで何をしているんだろう?
芸能活動と現役ベビーシッターという異色の二足のわらじで活動する倉田瑠夏は、アイドリング!!!(2015年に活動停止)の元メンバー。グループに加入するため、中学2年生で大阪から上京したド根性の持ち主だ。
朝日奈央が大ブレークを果たし、8月に開催されたアイドルフェスティバル『TOKYO IDOL FESTIVAL 2019』で1日限定の復活ステージも行われ、活動停止後も注目が集まるアイドリング!!!。倉田は「本当にいいグループなんです」と何度も繰り返した。
「スベるのが一番嫌」なアイドリング!!!魂
――5歳からダンスを習っていて、エイベックス・グループ主催の音楽フェス『a-nation』でTRFのバックダンサーを務めたこともあるそうですね。昔から芸能界への憧れは強かったんですか?
それが全然なんですよ。『a-nation』でエイベックスの方に「アイドリング!!!っていうグループがオーディションをやるよ」と声をかけていただいたんですが、「合格したら東京に行けるの? やったー!」みたいな軽い気持ちで応募しました。だからアイドリング!!!のことも全然知らなくて、受かってから「ほかのアイドルグループとなんか違うな」と気づきました(笑)。
――かなりバラエティ色の強いグループですもんね。印象に残っている企画はありますか?
“ウナギつかみ”企画で、服のなかにウナギを入れられたのは気持ち悪かったなぁ……。あとは、バドミントンの羽が落ちたマスに書かれた罰ゲームに挑戦する“罰ミントン”という企画も印象に残っています。青汁の粉を食べたり、偉人モノマネとかいろいろな罰ゲームがあったんですが、一番キツかったのは“脇スプレー”でした。脇にスプレーをシューッとされたところで、痛くもないし、冷たくもないし「あっ……」となるくらいで。「どうしよう、スベっちゃう」という恐怖がありました。スベるのが一番嫌なんですよね(笑)。スベるくらいなら、全身タイツとか、股間に白鳥つけて踊ったりとか、もっと面白いことがしたい。「とにかくスベりたくない」っていうのはアイドリング!!!魂なのかもしれません。
――中2で上京ですよね。寮に入っていたんですか?
中2の間は寮で中3からひとり暮らしでした。学業と仕事の両立、プラス家事で本当に大変ではありましたが、受かったからには覚悟するしかないという気持ちでした。まわりの大人やメンバーに支えてもらって、なんとかなった感じです。みんなには感謝です。本当にアイドリング!!!のメンバーって、いい人たちばかりなんですよ。加入前は「女同士でギスギスしているのかな?」って不安だったんですが、全然そんなことありません。バラエティ色の強いグループだからこそ、「みんなで面白くしよう」ってチームワークが深まるのかな? 卒業後もちょこちょこ集まっていて、この前は、まいぷる(元リーダーの遠藤舞)さんの結婚祝いもしました。
ベビーシッター先で「もしかしてアイドルですか?」
――2015年4月、大学に入学します。なぜ大学進学を決めたのでしょうか?
高校卒業のタイミングって、みんな将来について悩むじゃないですか。私の場合、中学からアイドリング!!!で、高校も通信制だったので、いわゆる“学校生活”を過ごした時期が人生でほとんどありませんでした。芸能のお仕事だって、いつまであるかわからない。「全部なくなったとき、自分って人間として何もないな」と感じて、大学進学を決めました。保育系の大学に進んだのは子どもが好きだったからです。ひとりで大勢の子どもたちを受けもつ幼稚園や保育園の先生と違って、ベビーシッターだと基本1対1や2対1なので、自分のキャパ的に向いているかなと考えました。ただ、授業を通して幼稚園教諭と保育士の資格が取れるので、一応両方とも取得しています。春休みや夏休みも実習で埋まるので大変でしたけどね(笑)。
――考え方がしっかりしている……!
ありがとうございます(笑)。まいぷるさんとかアイドリング!!!の先輩方が本当にしっかりしているおかげで、その背中を見てきた私たちも「ちゃんとしなきゃ」と思えるんです。良いグループなんですよ!
――ベビーシッターに行った先で「芸能人ですよね?」と気づかれませんか?
普段は動きやすい服と地味なメイクで、いかにも「ベビーシッターです!」という格好で働いているんですが、芸能の仕事のあとにベビーシッターに行ったことが一度だけあって……。派手なメイクだったので「何か芸能のお仕事していますか? もしかしてアイドルですか?」って気づかれちゃいました。でも「アイドルだったら娘も喜びます」って言われて、その女の子と一緒にお姫様ごっこしたり踊ったりしました(笑)。
――もともと芸能志望じゃなかったのに、今も芸能活動を続けている理由とは何でしょう?
保育の道に専念する選択肢もあったんですが、大学に行って、芸能界以外の仕事の現場も見ることができました。そのなかで逆に「芸能の仕事って私に向いているのかもな」と実感するようになったんです。そうなると、舞台とか新しいジャンルへの意欲も湧いてきて……! やっぱり私、芸能が好きなんですよ。ベビーシッターに本腰を入れるのは、いつか結婚して子どもを生んで、自分の育児が一段落したタイミングかも。そのほうが預ける側としても安心感がありそうですしね。今は芸能活動をがんばって、将来的にベビーシッターを軸にしようかなと思っています。今はベビーシッターが幸せをチャージできる時間にもなっているんですよね。芸能の仕事が続くと「子ども……子どもに会いたい……!」ってなってきちゃう(笑)。
――所属事務所から、ベビーシッターの仕事にストップがかかることはないんですか? タレントが一般家庭を訪ねるとなると心配なのでは……。
むしろ、めちゃくちゃ応援してくれました! いつか芸能の仕事と保育の仕事をつなげるのが、ひそかな夢です。子ども向けの舞台に出演することができたら最高ですよね。芸能のお仕事を知っているからこそできる保育もあるんじゃないかな。(次ページへ)