「30代くっそ楽しいです」グッドモーニングアメリカ金廣真悟が語る33歳の自分【連載/33歳マン】

連載・コラム

[2016/11/1 11:45]

10代、20代でのさまざまな葛藤や苦悩を経て、今なお人生を奏で続けようとする30代のミュージシャンたち。この連載では、30代のなかでも特に脂が乗っているとも言える“33歳世代”のミュージシャンに注目し、話を聞いていく。“水物”とも言われる音楽界で強く生き抜く彼らから授かる金言の数々は、前向きに人生と向かい合っていくためのヒントになるはずだ。

第1回に登場するのは、20代でバンドの活動休止という最大のピンチを経験したものの、30代で見事にメジャーデビュー、そして武道館公演も実現させた4人組ロックバンド、グッドモーニングアメリカの金廣真悟。彼が感じている33歳の自分とは!?


“欲しい”部分と諦める部分が明確になってきた

――耳マン(33マン)ということで、33歳世代のミュージジャンに話を聞こうというシャレ的な連載でございまして。

は、はい(笑)。

――シャレではあるんですけど……(笑)、30歳を超えてくるといろいろ考えることも多くなると思うんです。

確かにそうですよね、それこそ結婚とか。

――そんななか30代でメジャーデビューして武道館も経験したグドモ(グッドモーニングアメリカ)のフロントマンはどんな人生観をもって生きているのかなと思ったんです。

なるほど。

――実際、30歳になったときってどう思いました?

う~ん、「こんなもんか」っていう感じかなぁ。小さいころに思ってた30歳と全然違って、子どものまんまだなって。うちの父親と母親が俺を産んだのが30歳のときだったんですけど、30歳のときに両親はもう自分たちだけで生活できていて、子どもを作っちゃおうって思ってたわけで。しかも計画的に。恐らくですけどね(笑)。そういうふうにちゃんと生活環境を整えたわけですよ。そんななか俺は30歳でやっとメジャーデビューできて、なんとか自分で生活ができるようになったくらいで。音楽で稼いだ金で後輩に少し奢ってあげることができたりとか、やっとそういうのができたくらいの状態。後輩ができはじめたくらいの会社員って感じなんじゃないですかね。一般的な25歳とか、そのくらいの感覚なんですかね? 今もまだまだ全然30代らしくない。

――全然イメージと違っちゃってるわけですね。

20代の頃なんて何にも考えてなかったですけど、10代の頃からみた30代ってやっぱり圧倒的に大人だったし、子どもがいて当たり前っていうか、いないなら“売れ残り”っていうか、なんかしらの人格障害があったりとか(笑)、そういう感じに捉えてたし。あくまで俺のイメージですけどね(笑)。でもまさか自分がそんな30代になるとは思いませんでしたけど。

――とは言えメジャーデビューしたり、武道館をやったり、かなり充実した30代なのでは?

本当に暇なく駆け回ってきましたよね。何かを考える暇なんてなくて、自分の目の前にあることを超えていこうってがんばり続ているっていう感じで。

――30代を実感する暇もなく?

歳をとってきたからなのか、環境の変化なのかはわからないですけど、自分に足りないものがわかったっていうか、足りないものがあるっていうことがわかってきてる気はします。“欲しい”部分と諦める部分が明確になってきたっていうか。

――具体的に“欲しい”部分、諦める部分ってどんなものなんです?

“欲しい”部分っていうのは単純にギターがもっとうまくなりたいとか、歌がうまくなりたいとかそういうものではあるんですけどね。諦める部分っていうのは……成長なのか妥協なのかはわからないけど、自分の身体とか精神についてわかってきたぶん、できないことが明確になったっていうか。

――なるほど。

あとは、最近になって責任は自分で負わないといけないなって思うようにはなってきてるかも。それはほかのメンバーも同じだろうけど、なんでも“等分”にすればいいってわけじゃないなって。やっぱり俺はフロントマンなので、作曲だったり、こういう風にしゃべることだったり、フロントマンとしてちゃんと背負っていかないとなって。

――なんでも等分していた時期があったと?

そうですそうです。でも、俺、精神が強くないから、「メンバーで等分するならこれくらいでいいか」ってサボっちゃうんですよ(笑)。等分するっていうのはバンドらしいとは思うけど、それってすごいネガティブな感じがしちゃうなって最近思ってて。やっぱりメンバーみんなで個人競技を全力でやったうえで、重なり合ったものが形になればいいなって。

――メンバーに対しての信頼感がないと個人プレイもできないですよね。

そこは間違いなくあって。だからこそのことだと思います。大人になったなぁ俺も(笑)。

――昔は信頼してなかった(笑)!?

バンドがうまくいかなくて活動休止してた時期もあったし、そのときは「俺のせいじゃない!」と思ってましたからね。「たなしん(ベース)とこうちゃん(渡邊幸一/ギター)のせいだ」って。今となっては俺のせいだと思えますけど(笑)。

――メンタルの変化は大きいってことでしょうかね。

う〜ん、考え方も変わっていくとは思ますけどね。とにかく今はまだまだ成長できる伸びしろを感じられていて、できること、できないことがわかったうえで壁を乗り越えて前に進んで行けてるっていう感覚があります。30代くっそ楽しいです。

できるだけナチュラルでありたい

――身体の変化を感じることってあります?

精神がそんなに強くないから、身体のケアをしちゃうとそれに依存しちゃうんですよね。だからできるだけナチュラルでありたいなと。でも、ちょっと前に喉に結節ができちゃった関係で、むくみが出ると声帯が震えなくなっちゃうようになって。それからはめっちゃ水を飲むようになりましたね。一人暮らしですけど、家にウォーターサーバーありますから。

――喉、心配ですね。

手術すれば治るみたいなんですけどね。今すぐっていう感じではないんです。

――運動とか筋トレ的なことはしないんですか?

運動しないんですよ。カッコつけたくなっちゃうタイプだから気軽に運動とかできなくて。すごいがんばって走ってる顔とか、絶対みせたくない(笑)。外でランニングとか……無理。

――(笑)。先ほど一人暮らしって言ってましたけど、まだ独身ですよね? 結婚に関してはどう思ってます?

結婚願望とか家庭をもちたいとかそういう願望はなかったんですけど、最近はいかんせんひとりが寂しいなって思うようになってきて。もうペット飼いたいですわぁ……。まわりからは「飼ったら詰むよ」って言われたので観葉植物眺めて我慢してますけど(笑)。

――それ、もう詰みかけてるかも……(笑)。

やばい……。

――ご兄弟とかまわりの友達たちは結婚してます?

弟と妹がいるんですけど……両方とも結婚してないです。

――お兄さんを見て育ってるのかも(笑)。

ダメな兄貴でごめんなさいですよ。

――まわりのお友達はどうですか?

この前、一生結婚しないだろうなっていう親友が結婚しましたね。でも結局、ライブで結婚式も行けなかったんです。結婚式にそんなに行きたいと思うタイプでもないんですけど。確実に歌わされますから。数少ない行きたいと思う結婚式にも行けなかったので、そういう仕事だって割り切ってます。

「おじいちゃん音楽まだやってるの?」みたいな未来があるといい


――そんなミュージシャンという仕事をこれからもしていくわけですが、今はどんな風にこれからの人生を過ごしたいと思っています?

う〜ん、とにかく幸せになりたい(笑)。まぁ冗談でもないんですけど、普通に好きな人をみつけて結婚して、子どができて、そのあとは孫もできて、「お父さんのライブ行きたい」とか「おじいちゃん音楽まだやってるの?」みたいな未来があるといいですよね。それが小さい規模じゃなくて、大きな会場とか、それこそ海外とか、そういう規模感で叶えていきたい。欲深いですね。

――おっ!海外も考えているんですか?

昔からイギリスとかアメリカの音楽を聴いてきたし、やっぱり海外でやりたいっていう気持ちはあります。

――歳をとって視野が狭くなっていく人も多いのに。

俺はそういうのは嫌だなぁ。小さいところでまとまっちゃうのはいつでもできますし。

――夢膨らむ30代ですね。

遅咲きですよね。20代で苦しいことも経験したし、みるからにサクセスストーリーを残してるっていう音楽人生ではないじゃないですか。でも回り道したぶん、それを糧にできるっていうのは俺らにしかできないことなのかもしれないと思うんです。

――確かに、それがグドモの強さなのかもしれないですね。

もっと早くデビューしてたら今頃どうなっていたかわからないですからね。

――やっぱりそう思います?

思います思います。なんか休憩とかしちゃってそう(笑)。農業とか(笑)。

――(笑)。さて、11月5日には初の主宰フェス『八王子天狗祭 2016』が開催されますね。

お世話になった八王子に音楽で恩返しがしたいと思って開催するフェスです。一昨年くらいから考え始めてやっと実現できるチャンスなので、ぜひ来てほしい!

――八王子って遠いイメージありますけど、都心からでもそんなに遠くないですよね。

そう! 八王子っていう場所を、音楽を通じて行ってみたい場所にできたらいいなと思ってるんです。賛同してくれた先輩や仲間も参加してくれて必ず良いイベントになるので、ぜひ遊びに来てほしいです。

撮影協力:TSUTAYA O-Crest

プロフィール

かねひろしんご●1983年4月30日生まれ。宮崎県で生まれ、福岡県、静岡県、石川県と転校を繰り返し、中学からは東京都(府中、八王子)で過ごす。小学校4年でピアノを始め、中学の頃よりギターで作曲を始める。学生時代からソロ(弾き語り)やバンド活動を行い、2001年からグッドモーニングアメリカの前進バンドfor better,for worseで活動。2006年に活動を休止し、翌年グッドモーニングアメリカにバンド名を変更して活動開始。インディーズでの活動を経て、2013年にメジャーデビューを果たす。2015年には武道館でのライブも行った。2016年10月12日には最新シングル『ノーファング』をリリース。

『ノーファング』Type-Aジャケ写

[Oh!!ビーフ]