推しの旦那さんのことを憎んだり呪ったりすることのない、普通のヲタクに私はなりたい【推しメンが結婚しちゃった日記】

連載・コラム

[2019/2/25 12:00]

元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。【ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること】


11月7日〜24日

推しの旦那さんのことを憎んだり呪ったりすることのない、普通のヲタクに私はなりたい


11月7日 水曜日

 『推しメンが結婚しちゃった日記』を書くために5月の梨華ちゃんのブログを見返していたとき、なんとなくコメント欄を見てみたら「旦那様、4勝目おめでとうございます!」という感じのコメントが散見されて、つらい気持ちになりました。そして心のなかで、以下のような独り言をつぶやきました。

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 「梨華ちゃんのブログで旦那さんの情報なんて知りたくない! こういうコメントを書いている人たちは、梨華ちゃんの旦那さんのことも応援しているみたいだけど、梨華ちゃんを好きだからといって旦那さんのことまで好きにならなければいけないのだろうか。僕は梨華ちゃんのことは大好きだけど、旦那さんのことは好きでも嫌いでもない。どうでもいい。というのは嘘で、本当は、梨華ちゃんの旦那さんが先発すると知ったら、うっすら“負ければいいのにな”と思ってしまう。旦那さんが負けたと知ったら、うっすら“ざまあみろ! そのまま負け続けて梨華ちゃんに愛想をつかされればいいのに”と思ってしまう。ああ僕は、梨華ちゃんの旦那さんのことも応援できるような、天使のようなヲタクになりたい。いや、別になりたくないな。梨華ちゃんの旦那さんを応援することもないが、憎んだり呪ったりすることもない、そんな普通のヲタクに私はなりたい。梨華ちゃんの旦那さんを見ると、“梨華ちゃんを独り占めしている許しがたい男”と思って憎んでしまうから、できるだけ旦那さんの情報が入らないようにしよう。僕は誰のことも憎みたくはないんだ。人を呪わば穴ふたつっていう言葉もあるしさ」

 そんなわけで、今日は梨華ちゃんのことよりも、旦那さんのことをより多く考えてしまいました。僕はもしかしたら、あの男のことが好きなのかもしれません。あの無邪気すぎる笑顔が、脳内の真ん中らへんに居座って動こうとしません。年俸がアップしたときの笑顔、勝利投手になったときの笑顔、梨華ちゃんとの結婚パーティーのときの笑顔が。あの無邪気すぎる笑顔を見るに、彼は僕みたいなガチ恋おじさんの悲しみのことなんて、これっぽっちも考えていないんだろうなと思います。まあそれでいいんだけれど。同情なんてしてほしくないから。みじめな気持ちになるだけだもの。その素敵な笑顔で、梨華ちゃんの心を癒してあげてほしいです。僕は、初音ミクと結婚した人のことが羨ましいです。僕も2次元の女性に恋をすればよかったと心から思います。そうすればその人と結婚することもできたわけだから。梨華ちゃんと結婚することはもはやできません。重婚になってしまうし、同意も得られないだろうから。僕はこれからもずっと、梨華ちゃん夫妻とその息子の幸せな姿を、指をくわえて眺めつづけることになるのだと思います。

11月24日 土曜日

 今日は、日本で一番有名な地下アイドル・姫乃たまさんのトークイベント『地下アイドルにガチ恋を教える会』に参加しました。観客ではなく登壇者として。しかし僕は緊張のあまり壇上でハイボールを飲み過ぎてしまい(僕がハイボールを飲み干すとすぐに姫乃さんがおかわりを注いでくれた)、冒頭でリカニー(梨華ちゃんでする自慰のこと)の話をしたことくらいしか覚えていません。姫乃さんは気さくで可愛らしい、とても魅力的な女性でした。ガチ恋おじさんに対して苦言を呈したりすることもなく、広い心で受け入れてくれました。アイドルの立場とヲタクの立場から、ガチ恋の着地点を探るという有意義な話ができたと思います。僕は最終的に、姫乃さんのことを好きになりそうになってしまい、「いけない、いけない! 僕は梨華ちゃんガチ恋おじさんなのだから、梨華ちゃんに恋をし続けなければいけないんだ!」と自分を強く戒めました。

ふちりん

1980年生まれ、埼玉県出身。おひつじ座のA型。2003年頃より当時モーニング娘。のメンバーであった石川梨華へのガチ恋を開始。その赤裸々な想いを綴ったブログやTwitterが一部のアイドルファンの間で人気を呼ぶ。趣味は読書やサッカー観戦、アイドル鑑賞、ベースを弾くこと。好きな作家は村上春樹、太宰治、中村文則。