新宿二丁目の名物イベント『安室奈美恵ナイト』〜アロム奈美江『永遠ていう安室奈美恵なんて知らなかったよね。』第6回

連載・コラム

[2018/4/23 00:00]

安室奈美恵に命を捧げる女装ライター・アロム奈美江が、引退する安室ちゃんへの愛をつづっていく新連載!


オールナイトで安室尽くしのイベントよ!

新宿二丁目にあるクラブでは、ゲイ人気の高い歌姫をフィーチャーし、最初から最後までその歌姫の楽曲だけを流したり、その歌姫をモチーフとしたショーが繰り広げられるイベントが数多く存在する。松田聖子ナイト、中島みゆきナイト、浜崎あゆみナイト、マドンナナイト……数え出したら数知れず。

なかには、今は前線を退いてしまっている歌手や、マニアックな歌手のイベントもあるけど、それも世間一般での人気や流行に左右されず、好きな歌姫を粘り強く(または「執念深く」とも言う)応援し続ける傾向が、ゲイの人たちにはあるからなの。

もちろん、安室ちゃんをフィーチャーした『AMR』という安室奈美恵ナイトもあって、それも約13年も続いている長寿イベントなの。安室ちゃんのCDセールス低迷期も、ゲイファンは新宿二丁目のクラブで狂喜乱舞して安室ちゃんを支え続けていたってわけ。

私自身、初めてひとりで新宿二丁目に足を踏み入れたのは11年前の『AMR』がきっかけだったし、いろんな意味で私に刺激を与え続けてくれている、思い入れあるイベントなのよ。

2年ぶりの安室奈美恵ナイトがすごい人気だったわ

そんな『AMR』が、4月7日、2年ぶりに新宿二丁目のAiSOTOPE LOUNGEで開催されたので遊びに行ってきたの。

もともと歌姫系イベントのなかでもトップクラスの集客を誇るイベントだったけれど、今回は安室ちゃん引退発表後の開催ということもあるんでしょうね、オープン前から入場待ちのお客さんで100メートル近い列ができていたの! なかには、がっつり安室コスプレしているファンもちらほらいたんだけど、私も負けじと1ヵ月前からこの日のために特注していた安室コス姿で、自宅から電車に乗ってやってきたわよ!

『WHAT A FEELING』のMVで安室ちゃんが着用していた衣装のコピー。完全に一致!(着ている人以外は)

やっとの思いで入場すると、早速DJが、スローナンバーやカップリング曲、SUITE CHICの曲など安室ちゃんの楽曲のなかでもマニアックなものをかけていて、早くもテンション上がる私。こういった選曲にお目にかかれるのが安室ナイト前半の醍醐味。ヒット曲やアップテンポなナンバーは、後半のお楽しみよ。

『Did U』や『exist for you』などの一般的には知名度の低い楽曲も、ガチファンにとっては大好物。曲が変わるたびにフロアに歓声が上がって、来場者は皆、口ずさみながら思い思いに踊る。そこにいる人たちの共通項は、「安室ちゃんが好き」ってただそれだけ。でも、それだけですごいハッピーな空間が生まれるから不思議ね。

アルバム『Finally』収録の『Showtime』のMVに出てくる安室ちゃんに扮した主催者のバブリーナさんと

ショータイムでは、ドラァグクイーンたちによる安室ちゃんなりきりショーが繰り広げられてたわ。安室ちゃんの過去の音楽番組出演時のものだったり、ライブの再現だったりなんだけど、いずれも笑えたり見応えあるものばかり! とはいえ、この日の会場内は満員電車のようにお客さんがすし詰め状態で、ショータイムもまともに観られてないんですけどね……。

ミッツ・マングローブさんとその他ドラァグクイーンたちによる、珠玉のなりきりスーパーモンキーズ『ミスターUSA』だけは命がけで観終えて、さすがの私も退散。翌日、私は『鬼束ちひろナイト』っていうイベントが控えていたしね。(安室ナイトからの振り幅がすごい)

『AMR』レギュラーの凛さんとダンサーズ。昨年の25周年記念沖縄ライブでの衣装も完コピ

大事な年の安室ナイトだったから、最後までいられなかったのは口惜しいけれど、安室ちゃんが引退してしまっても、これからもこういったイベントで安室ちゃんの歌をたくさんの仲間たちと共有して楽しめるんだと思ったら、なんだかまだまだ先は明るいような気がしてきたわ。

アムロス中の読者の皆さんも、安室ナイトがあればきっと大丈夫。

Get myself back again 傷つくために生まれたんじゃない!よ!

『AMR』へ取材に来ていた『有吉ジャポン』(TBS)からインタビュー受けちゃった私。ノリで本名まで言わされて……(笑)。オンエアで採用されてませんように!

『AMR -安室奈美恵ナイト-』開催スケジュール

5月20日(日) 台湾 G*star Club

アロム奈美江

ゲイをテーマにした電子書籍ライター、ゲイ雑誌『Badi』編集者を経て、2009年にドラァグクイーンデビュー。プライベートでは、30歳から女性ホルモン投与を始め、ゲイからトランスジェンダーの領域へ転向。現在は、流しの女装パフォーマー、ホステス、MC、イベントオーガナイザーとして節操なく小銭を稼いでいる。