『東京留守番電話ップ』、「うんこ」をテーマにした歌詞はどのように生まれたのか【眉村ちあきの「歌詞の解読は趣味じゃないし」】第2回

連載・コラム

[2018/11/2 17:00]

地上波バラエティ番組にも進出し、飛ぶ鳥を落とす勢いで知名度を伸ばしている“弾き語りトラックメイカーアイドル”眉村ちあき。ほぼフィーリングで歌詞を考えているという彼女に、あえて歌詞について語ってもらうコラムをお願いしちゃおーっと!


第2回:「うんこ」を連呼する代表曲


第2回のテーマは、「うんこ」をテーマにした名曲として注目されている『東京留守番電話ップ』。「うんこ」というワードはどのように舞い降りてきたのか!?

新曲のタイトルは『アタッチメント』 ※眉村さんは「アタッチメント」という言葉の意味は知らないそうです

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おわり! 説明できない! 無理

おはよ~、ちちゃんだよ。第2回目koramu(※1)は、『東京留守番電話ップ』の歌詞です! ニコニコしちゃうね! この文章みんなが読んでると思うとさ、表情とか想像してさ、きっと大好きな優しい目をしてるんだなーと思うと書いてるこっちもニコニコしちゃうよ。あたかも交換日記だね。
(※編注1:第1回で眉村さんが「コロム」と呼んだので、この連載は「コラム」ではなく「コロム」になりましたが、今日からやっぱり「koramu」です!)

(本題)単刀直入にいうと、『電話ップ』の歌詞は、うんこを連呼してるのがピックアップされがちだけど、それ、「音に言葉を当てはめただけ」です。たとえば↓↑↑~♪だったら、「そっと~♪」という歌詞しか当てはまらないんです。それはもう決まってることなので!

つまりこのやり方で歌詞を書いたら、下手したらまったく意味のわからないものになってしまいます。どうやってそこに意味を生み出すかというと、なんとなく、です! これはもう説明できません! 音があったら、これですよ~って言葉がやってくるのでそれを書いていくだけです、そしたら自然と意味が生まれます! 決まった言葉が舞い降りるって感じ、おわり! 説明できない! 無理。

もちろんちゃんと歌詞考えてる曲もあります。『電話ップ』がそうなだけで、たとえば『本気のラブソング』(※2)って曲は意味を考えながら書いてます。でもやっぱり、意味があっても私は音重視の人間のようで、いくら良い言葉だろうが音に合ってないとボツです。このやり方はオススメしないです。せっかく思いついた言葉がもったいないから。言葉に音を当てはめられたらいいのにね。それができる人が羨ましいです。
(※編注2:トイズファクトリーのスタッフから「ラブソングを作れば売れる」と言われ、「なるほど!」と思って作った、ファンに向けたラブソング)

キュイーーン(時空が歪む音)

クリエイターたちと話をしたりすると、いろんな人がいてとっても刺激になります。音楽業界だけじゃなく。この前6面ステーションさん(※3)と遊んだんですけど、どんな動画が好きかって話になって。私が「あたかもこの世に存在するかのような態度で“ないもの”を扱ってる動画が好き」って言ったらすごく共感してくれました。
(※編注3:2011年に活動開始した人気YouTuberユニット。2018年6月より、元SOUL'd OUTのShinnosukeによるプロデュースのもと、音楽活動も開始した)

この感覚わかってくれて嬉しかった! 本当に最近1番おもしろいと思ってるんだけど、たとえば「高血圧勉強術」とか「クリスタル犬を産んでみろ!」とか。


…………は?


キュイーーン(時空が歪む音)


?「おい!起きろ」
ちあき「はっっっっっ! ……あれ? もしかして……ここって……地下労働室!?」
監視員「ほらさっさと働け」

その日から突然私の”労働生活”が始まった。どうしてここに来たのか、なぜ働かされているのかもわからず、私はひたすら毎日岩磨き、長座体前屈、羊の世話、スパイスの調合をさせられた。ああ、私、このまま一生ここで働くのかしら……(涙)。

超おもしろいうんこになろうぜ

ある日、ある男が現れた。その男はロッキーといった。ちあきとロッキーが親しくなるのに時間はかからなかった。ふたりは恋に落ち、いつかこの地下を出て幸せな家庭を作ることを誓った。地下労働の休日のことだった。ちあきとロッキーは少しずつ掘っていた抜け道から、地上の世界に脱出することができた。

「ついにやったぞ!!!」

するとロッキーはちあきを突き落とした。

ロッキー「穴掘るのに使えそうな奴がいてよかった! はははっはははは! じゃあな」

ロッキーは行ってしまった。ちあきは悲しみ、絶望し、また地下生活に戻った。

数年後、ちあきは労働の成績が認められ、しばらく地上に上がっていいと期間をもらった。地上に出たちあきは職を探し、地下に戻されるまでの少しの間だけでも普通の女の子の生活がしたいと洋服を買い、髪を可愛くし、音楽を聴いたり絵を描いたり料理をしたり、好きなことを目一杯した。

幸せだった。心の底から自由の素晴らしさを噛み締めた。彼氏もできた。地下に戻されてしまうことを話しても、受け止め、包んでくれる人だった。戻されてしまう前に結婚をしようと言われた。とても幸せだった。地上にいる期間、目一杯、自分らしく生きた。

ちあきは地下に呼び出される通達が来る前日に、死んだ。体が拒否反応を出したのかわからないが。原因不明の死だったが、その顔は幸せそうだった。

ロッキーは地上に脱獄したものの、仕事も生活もうまくいかず違法のクスリに手を出し警察から逃げ回る日々だった。地下で盗んできた金も底をつき、生きているのが辛かった。そして警察とのやり合いの途中で、死んだ。その顔と心には、何もなかった。

人は死んでゆく。みんな死んだら死体になる。一緒じゃん! 死んだらみんな一緒!!!!ね!!!! 答えがわかれば点はもらえる。途中式なんてどうでもいいから!!!! 結果がすべて!!!

……なんて、そんな人生絶対いやだ!!! は!?!?!!!! 全然おもしろくない! 食べたもの全部うんこになって流されるけど、それって全然おもしろくないな。

超おもしろいうんこになろうぜ。

『眉村ちあき「東京留守番電話ップ」』


(編集:原田イチボ@HEW

リリース情報

初全国流通アルバム『ぎっしり歯ぐき』が“レーベルじゃないもん”より2019年1月9日に発売決定! さらにTOY’S STOREでグッズの取扱も開始!!

『ぎっしり歯ぐき』ジャケット

ライブ情報

・2019年1月、“スーパードラゴンゲスト”を招いたライブ『東阪クアトロライブ~眉村ちあき×スーパードラゴンゲスト~(仮)』の開催決定!
1月13日に東京・渋谷クラブクアトロ公演、1月19日に大阪・梅田クラブクアトロ公演を開催。

・2019年6月4日、サードワンマンライブ『眉村ちあき 3rd ワンマンライブ~東京湾へダイビング!~』を東京・新木場STUDIO COASTにて開催決定!

眉村ちあき

まゆむらちあき●1996年9月12日生まれ、東京都出身。株式会社・会社じゃないもん代表取締役社長。"弾き語りトラックメイカーアイドル"として、全楽曲の作詞・作曲・編曲を自ら担当している。