竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第3回:「西成一のボンボン・Y本君の性癖」

連載・コラム

[2019/2/22 12:00]

DDTプロレスリングの未来を担う若き逸材・竹下幸之介がつづる、地元・西成のお話!


幼稚園卒園時で135センチあった。でかい。

さて引き続き小5の頃のブログを見ていこう。


2006年08月08日

行ってきます!!

只今空港です( ̄人 ̄) 理由は、隠岐ノ島に行くからだ〜... えー相撲の大阪代表に選ばれまして、これもプロ教の皆さんとレスリング教室のコーチ方のおかげだと、思ってます♪( ̄▽ ̄)ノ″ 隠岐ノ島 のレポートをブログでしていくから、お楽しみに !


2006年08月09日

よっしゃ〜〜!!

とりあえず個人優勝!! 五回勝って優勝しました〜 皆すごくデカイ!! って思って試合をしたら、勝てました(* ̄O ̄)ノ 一番小さかった僕がエディ・ゲレロになったつもりで戦いました♪( ̄▽ ̄) 後は、団体戦と五人抜きを頑張るだけです!!


また西成から遠く離れてしまいました。ちびっこ相撲の申し子として、隠岐の島に招聘されたわけで。エディ・ゲレロみたいに相撲をとるってどういうことなんだ。

隠岐の島で忘れられないことは、島の人がエロ本を持ってきてなぜか性教育をしてくれたこと。大人の階段を登った瞬間だった。大人のおもちゃをたくさん持っているジロンさんと呼ばれるおじさんが色々と身振り手振り熱心に教えてくれたなあ。相撲しに行ったのに、手相撲(※編注:自慰行為を表す隠語)を学んで帰ってきた。純粋な子どもだったからすごく悪いことを知識として脳内にインストールしてしまった気がして、怒られたらどうしようと心臓バクバクで大阪に帰ったら、空港まで迎えに来ていた母が私を見るなり「大人になったね」とひと言。こいつマジか!エスパーかよ!って思ったものも束の間「初めて親元離れての遠出やもんね。相撲もがんばって、凛々しくなって帰ってきたね」。ホッとした。


2006年09月22日

充実な一日

今日はいつも通り学校に行き、めちゃめちゃ暑いなか運動会の練習を2時間やって、給食の時間おもいもよらない事が起こった...昨日、教室のメダカに一週間ぶんのえさをあげてしまい、担任の先生が「目には目を、歯には歯を」と言い、皆が食べ残した食パンを食べさせられ、パン四枚分で痛恨のギブアップしてしまいました... そして学校が終り、ジンギスカンY本君が遠いところから、はるばる野球をやるために来てくれました!!それから風呂屋に行き、浜田省吾のCDを買いに行き、今に至る..


私が通っていた南津守小学校は、イジメなどはなく西成区のなかでは比較的平和ではあるものの、問題はやはり多かった。小学生で夜遊び、シンナーは当たり前で、チャリンコの窃盗も日常茶飯事。盗んだチャリが誰かに盗まれて、回り回って結局持ち主の元に戻ってきたりなんかして。輪廻転生の考えを異質な形で西成の子どもは身をもって学ぶのだ。

そんなスラムな街で私が犯してしまった、“メダカに1週間分の餌をあげてしまう罪”はなんてちっぽけなんだろう。しかし、ここは西成。先生も厳しい人が多かった。見せしめとして数十枚の食べ残しパンを食べさせるなんて今のご時世なら絶対問題になっていると思うが、負けじとパンを食べ切ろうとするハングリー精神は(腹はいっぱいなんだけど)あった。

ここで登場した新キャラ・ジンギスカンY本くんの紹介を少ししよう。Y本くんは貿易会社の社長の息子で、とにかくお金持ち。西成区で当時、一番お金持ちだったんじゃないかと思う(お母さんめっちゃ綺麗だし)。遠足のお弁当にはジンギスカンが入っていて衝撃を受けた。そんなボンボンのY本くんは携帯電話のカメラで自分のペニスの写真を撮るのが好きで(たまに動画)、それを一斉送信で送り付けることで性的欲求を満たす本物の変態だった。次の日の学校で「どう?」って聞いてきて、「ええやん」と答えるとすごく喜ぶのだ。

そんなY本くんと少し前に久しぶりに連絡をとってみた。今は関東の某医大に通っているようなので、今度小学校卒業ぶりに会って話してみようかと思う。さすがに今スマホの高画質で己の股間の写真を送ってこられてはキツいけど、怖いもの見たさの興味もある。


2006年09月26日

はずかちぃ

今日、吉野家に行った時『豚生姜焼定食』を言う際に、『ぶたなましょうがやき定食』と言ってしまった... そういえば、この間ローソンの『紫いもパイ』を、『しばいもぱい』とお母さんが言ってました!! 皆さんも、こういう経験ないですか??


今となっては『はずかちぃ』って題名が一番恥ずかしいです。

近況報告。両国国技館という大きめの会場でタイトルマッチがあったのだが、勝利することができた。チャンピオンになった。試合前に流れる映像でも、“西成魂”というワードが使われるようになり、勝手に西成区代表選手になったつもりでリングに立っている。東京に越してきて5年になるが、自分の体内に流れている血液は漆黒でドッロドロした西成の血だ。それを想像すると、強い自分でいられる気がして負ける気がしない。西成最強。フォーエバー。

竹下幸之介

1995年5月29日生まれ、大阪府大阪市出身。身長187センチ、95キロ。現役高校生レスラーとして2012年8月の日本武道館大会でデビュー。高校卒業後、日本体育大学へと進学し、学業とプロレスの両立に励み、2018年3月に無事卒業した。卒論のテーマは『ジャーマン・スープレックス』。2018年4月に入江茂弘に敗れるまで、KO-D無差別級王座11回防衛の最多記録を樹立した。地元西成への愛が深く、2018年大みそかの『年越しプロレス』には、「西成魂」の刺繍が入ったオーダーメイドの特攻服をわざわざ作って参戦。“西成のエリートヤンキー幸之介”として愛されている。