m.c.A・T『なんて言うんですか、こんな音楽感』第1回〜学生時代の俺っ!

連載・コラム

[2019/6/12 12:00]

YMOに受けた衝撃

 シンセサイザーが世の中に出始めたのもその頃で、冨田勲さんやクラフトワークの活躍でシンセサイザーが注目を浴びていた。そんななかでも一番ショッキングだったのはYMO! 冨田さんはクラシックだったし、クラフトワークくらい無機質だと当時は踊れなかった。お子ちゃまだったから。でもYMOはシンセサイザーミュージックなのにエモーショナルなダンスミュージック! なんか黒い感じ(特にベース!)も相まってYMOの虜になっちゃった。
 ニューロマンティックのムーブメントもすごかったから聴いていたけど、YMOのバランスのよさがとにかくヤバすぎたなー! そしたら、欲しくなるじゃん、シンセ欲しくなるじゃん! ただ手の届くところまで来たって言われてたモノシンセ(モノフォニックシンセサイザー/単音発声機能のみの機種)でも20万円代が多くて、普通の高校生には絶対無理。しかし、日頃の行いがよかったのでしょう……知人が貸してくれたんだよね。
 確かローランドの『SH-7』だったかな。重かったけど30分くらいかけて雪のなか引きずって運んだなぁ。2週間くらい借りたと思うけど、めっちゃおもしろかった! シンドラ(シンセドラム)でリズムを作って、2台のカセットレコーダーでピンポン録音。シンドラを叩く→レコーダーの内蔵マイクでカセットに録音→シンドラを録音したものを流しながらシンセベースを弾いて、別のカセットに録音→リズムたちを録音したものを流しながらシンセでメロディを弾いて、別のカセットに録音→オケを録音したものを流しながら歌を歌って、別のカセットに録音……。This is ピンポン録音! これが初めての宅録! 大変だったのは当時のカセットの回転数が一定じゃなくて少しずつ速くなっていくこと。だから最後に歌うときは半音かもっとキーが上がってた。あと、内蔵マイクで録ってるからノイズもしっかりピンポンだったよね(笑)! こんなことを高3の受験前にやっているので当然浪人ですわ……。

m.c.A・T

1993年に『BOMB A HEAD!』でデビュー。ライブ活動と並行してプロデューサーとしても活躍し、DA PUMPのプロデュースを手がけて一世を風靡する。現在もさまざまアーティストへの楽曲提供/プロデュースワークを行う傍ら、ライブ活動を展開している。