m.c.A・T『なんて言うんですか、こんな音楽感』第10回~みんな、日本、世界!もう少しだけがんばろう!

連載・コラム

[2020/5/11 12:00]

ボンバヘッ!でお馴染みのヒット曲『Bomb A Head!』のほか、DA PUMPの育ての親としても知られるm.c.A・T。日本屈指のプロデューサーの自伝的連載がスタートだぜっ!


がんばろうとしているお店を助けてあげてください!

 2020年春。新型コロナウイルスが世界に大ダメージを与えております。編集長さんとお話しして、この俺のコラムではこの件については触れないようにしようとしてたのですが、やはり避けて通れないと自分なりに判断しまして、今回は『番外編』として書かせていただきます。

 まさか歴史の教科書に載っていたような事象が、俺たちが生きているこの時期にやってくるなんてね。ほんと驚く。当たり前の毎日が当たり前ではなかったと気づかされるわけです。当初、科学者さんの誰かが「危機回避がゆるすぎるんですよ! 今の感じだと!」と主張されてたはずなんだけど、「当たり前」の毎日のなかでは気にも留めてもらえなかった。受験生に「今がんばらないと自分の未来が変わっていくよっ!」って言っても実感のない子にはピンとこないのと同じ。経験のないことにはなかなか真剣に対峙できないのが人間。

 歴史ではいろんな感染症が世界中に大ダメージを与えてきました。しかし、その度に人間は復活してきましたね。加えて2020年現在、医療技術は過去と比較できないくらい高度になっていますから、この明るいオプティミストは(あ、俺のことです笑)きっと大丈夫! 乗り切れる!と思っています。

 ただね、ウイルスはなんとかなると思うんですが……。俺、北海道から東京に来て、35年くらい経つのだけれど、北海道はもちろん全国に大事な友達が営んでる美味しいお店を知ってるんです。大箱のディスコから小さなクラブもとてもお世話になっている。もちろん大小問わず日本中のライブハウスさんにも。

 2020年5月において、すでに大事なお店が何件も閉じられました。大事な思い出、キャリアを作ってくださったお店が。これからも耐えきれずに閉まるお店がもっと増えることでしょう。悲しくて仕方ないです。企業努力で美味しい食事をテイクアウトしてがんばっているお店もありますが(それでも9割以上の収入減のところも!)、ライブってのはいわゆる「3密」によって成り立つ一体感ですので、しばらくはかなり敵視されて復活は困難でしょう。

 こういう感染症による世界的危機のあとには必ず新しい指針ができて俺たちは生き残ってきたのですが、ライブハウスがなくなるってのは絶対本意ではないでしょう。クラウドファンディングなどでがんばろうとしているお店を助けてあげてください。コロナ以前と同じ未来は来ないと思っていますが、何しろライブハウス、クラブ、ディスコがなくなっては俺たちとみなさんが会える場所がなくなるということなんです。みなさんも大変だと思います。自分を守ることを1番に、もしよければ2番目に、なくなったら寂しくなるお店を助けてください。

 ミュージシャン、プロデューサーである自分も2月後半から6月半ばまで、自分が関わるライブがすべて中止、延期になりました。多分6月〜7月は難しいと思っています(個人的見解ですが)。毎日ライブが入っていた現場スタッフやミュージシャンの知り合いもたくさんいますが、すでに2ヵ月以上無収入です。俺がライブをするに当たってもとても大事な仲間たちなんです。でも俺とかひとりじゃ到底無理なのです。そういう、音楽を底から支えてみなさんがいることをみなさんが知ってくだされば、きっとアフターコロナに明るい指針になると思うのです。少しでも考えていただければ本当に幸せです。

 3月後半から、自分の提案してバンドで『バラバライブ』しようぜってなりました。時間はかかりましたが「集まらないチカラ」をテーマに。映像監督の小松(莊一良)に相談したら全国の13人のダンサーも同意してくれました。監督ともダンサーともバンドにさえ会わずに作った動画、よろしければ観てください。ひとつのテーマにみんなこんなに元気にやってくれました。感謝と感動です。今後も考えてますのでチャンネル登録もお願い致します。

 みんな、日本、世界! もう少しだけがんばろう! Take care!

m.c.A・T

1993年に『BOMB A HEAD!』でデビュー。ライブ活動と並行してプロデューサーとしても活躍し、DA PUMPのプロデュースを手がけて一世を風靡する。現在もさまざまアーティストへの楽曲提供/プロデュースワークを行う傍ら、ライブ活動を展開している。