SILENT SIREN・すぅ『この季節が終わる前に〜わたしと〇〇のはなし〜』第13回:サイサイの曲作り&作詞提供のこと
ガールズバンド・SILENT SIRENのボーカル&ギターを担当し、同バンドでの作詞や他アーティストへの楽曲提供を通して数々の名曲を生み出してきた、すぅ。メロディーがない文章を初めて書くという彼女が、毎回異なるテーマで自身のことを明かす連載!
思い入れのある大切な楽曲『八月の夜』
今月のコラムのお時間になりました。すぅです!
猛暑続きですが、みなさん体調は大丈夫でしょうか? 水分補給を忘れずに、夏を満喫してくださいね! 私は大好きな八月を幸せな気持ちで過ごしていました。
八月といえば、SILENT SIRENには『八月の夜』という曲があります。
8年前の曲だけど、この時期になると今でもたくさんの人が曲を聴いて口ずさんでくれていることをとても嬉しく思います。サイサイはポップなイメージがあるけど、このシングルでは初めて疾走感のあるロックナンバーを表題曲にもってきたので、私たちの挑戦にもなりました。
そして、この曲では私が作詞作曲をさせてもらっています。次の夏のシングルを決めるという会議のときに、数あるデモ曲のなかに埋もれていたこの曲を、当時のレコード会社のスタッフさんが「良いね!」と言ってくれて、日の目を浴びることになりました。自分たちの可能性が広がり、認めてもらえた感覚を今でも覚えています。MVのキャスティングも自分で行なったので、作品として思い入れのある大切な曲です。
わたしが曲作りで大事にしていること
私はものづくりが大好きなので、SILENT SIRENが活動休止となっている今でも作詞提供やプロデュース業をさせていただいています。そのときに大切にしているのは、提供する相手のキャラクターやコンセプトにしっかり寄り添うこと、そのアーティストのファンの方が何を求めているかを想像することです。自分のアーティスト活動で得た知識や感覚を活かしてこうやって作詞活動やプロデュース業ができることを誇りに思います。
自分のバンドでは絶対に使わない言い回しや表現も、提供するときには当てこんだりもして、曲ができるたびに新しい自分に出逢わせてもらっています。そのために、常に想像力を膨らませて、アンテナを張って表現が枯渇しないようにしています。煮詰まったときには、映画を観たり本を読んだり、自然に触れて色や風を感じたりします。デジタル社会で、画面のなかで呼吸をすることが増えてしまって窮屈に感じる心を解放する時間が、私の脳にいい刺激を与えてくれます。
提供する場合は、お仕事として絶対に喜んでもらえる作品を作ることに必死です。自分のための曲を作るときにスラスラと言葉やメロディーが出てくる場合は、決まって情緒が乱れています(笑)。
例えば、恋をしているとき。
人生に悩んでいるとき。
フラストレーションが溜まっているとき。
仲間と最高な時間を過ごしてハメを外すとき。
失恋をして大泣きするとき。
自分らしく、感情がこもって生きた曲ができるのは、いつだって良くも悪くも安定してないときだと思っています。
私は自分の感情を剥き出しにしたり、人に相談したりすることがそこまで得意ではないので、昔から思ったことはノートやiPhoneのメモに残しています。自分の性格はなかなか厄介だと感じているけど、その性格がきっと作詞活動をする際に役立ってくれているんだと信じています(笑)。
音楽を届けるこの仕事が大好きです!
自分の作ってきた曲たちは本当に子どものようであり、財産であり、私を表すものだと思っているので、今でも聴き直してそのときの自分の感情や制作時のことを思い返したりもします。メロディーに歌詞が乗って、楽器をレコーディングして、ボーカルで命を吹き込む。ミックスなどすべての作業を終えたときの達成感や、誰かの胸に届いたときのことを想像する瞬間が大好きです。
とても地味な作業が多いし、ちっぽけな私の音楽で世界が変わるわけではないけど、ひとりでも多くの人の世界が明るくなったり、寄り添えたり、笑顔にさせられることがとても嬉しくて、大好きな仕事です。この仕事がなかったら私はどう生きているのだろうとすら思います(笑)。求められる限り、私はたくさんの言葉や音楽をひとつでも多く誰かに届けたいと思っています!
今月は少し作詞活動や制作スタイルについてお話ししてみました。来月はもう9月……、秋の入り口!? 私は八月に恋をしているので、1年に一度、少しの期間しか会えないのが寂しいですが、また来年成長した私で八月に会えるようにがんばります!
ではまた、次回お会いしましょう!