生音こそがライブの魅力!生バンド演奏でライブする熱いアイドルまとめ

特集・インタビュー

[2016/8/3 17:00]

ライブの原点=生音に立ち戻るアイドルが増えている!

CD音源をバックにメンバーの歌声が響く……というのがアイドルライブの定番。アイドルソングにはシンセ系の編曲で音の隙間をこれでもかと埋めた楽曲が多いことに加え、やはり歌いやすいというのもカラオケが使われる要因だろう。

そんななか、今“生バンドでライブするアイドル”が熱いのをご存知だろうか。といっても、元来アイドルとはフルバンドの生演奏をバックに歌うものだった。それが裾野が広がるにつれ、事前にプログラムされた音源が主流になっていったのだが、“生音の魅力”というライブの原点に立ち戻るグループが最近増えているのだ。

もはやアイドルの現場が一部の“ドルヲタ”だけのものだと思っている人なんていないと思うが、シーンにさまざまな才能が集まったことで刺激的なグループが数多く誕生し、アイドル界隈はいわゆる音楽好きにも注目される存在となった。そのなかでも特に、“腹に響く生音こそライブの醍醐味!”という人も満足の、生バンドアイドルを紹介しよう。

Buono!【軽快ロック度★★★】

嗣永桃子、夏焼雅、鈴木愛理という℃-uteとBerryz工房の人気メンを集めたユニット。ハロプロのアイドルは歌が上手い子が多いが、そのなかでも歌唱力に定評がある3人が集結した。ハロプロだがつんく色は薄く、サウンドはロックっぽい。そしてなにより、2007年の結成当初より“Dolce(ドルチェ)”というバックバンドを従えているのが最大の特徴。生バンドの演奏で歌い、踊るというスタイルの先駆的存在といえるのだ。カムロバウンスというロックバンドで鍵盤とコーラスを担当しているeji(キーボード/バンマス)を筆頭にメンバーは実力者が揃ううえ、全員が女性でコーラスやダンスに参加することもあり、Buono!の3人とともにステージ上を彩っている。Dolceのほうに目を奪われるファンも多いとか。

2012年を最後に単独ライブは行われていなかったが、今年待望の復活。8月25日に念願だった日本武道館で4年ぶりの単独ライブが開催されるぞ!

ももいろクローバーZ【僕らの音楽度★★★】

デビュー以来歌唱力の目覚ましい向上を遂げてきたももクロだが、2013年4月の西武ドーム公演から本格的に生バンドを従えてのライブができるほどになった。“ダウンタウンももクロバンド”なるバックバンドのメンバーは、武部聡志(キーボード/音楽監督)、西川進(ギター)、村石雅行(ドラム)、本間昭光(キーボード)といった錚々たる顔ぶれにホーン隊も擁する豪華な所帯。彼らによる華やかなアレンジは既存の楽曲に新たな命を吹き込んだと言っても過言ではなく、代表曲『行くぜっ!怪盗少女』『労働賛歌』などでも全く新しい魅力を引き出している。

なお、これより前にもももクロは2012年に武道館で行なった女性限定ライブ「女祭り」でガールズバンドをバックに数曲歌ったり、横浜アリーナ公演で在日ファンク、ザ・ワイルドワンズらとコラボしたりしており、生バンド志向はかねてより見せていた。

BABYMETAL【色白度★★★】

ベビメタがここまでワールドワイドに成功した要因は、何と言ってもアイドルファンのみならずロックファン、メタルファンも虜にしたことにある。それを可能たらしめたのが彼女たちのバックで超絶な演奏を爪弾く“神バンド”の存在だ。6弦ベースを操るBOH(ベース)を中心に、ロックバンドC4のメンバーでマーティ・フリードマンとも活動している大村孝佳(ギター)、故青山純を父に持つ青山英樹(ドラム)など凄腕揃い。ソロでの見せ場があったり、観客を煽ったりとバンドのライブさながらの盛り上がりを演出する一方、あくまでベビメタの3人のサポートに徹する姿はまさにプロフェッショナル。彼らがいるから、オーディエンスは本気のヘドバンができるのだ。

神バンドが初めて降臨したのは2012年の渋谷O-EAST公演でのアンコール。それまでステージ上で演奏役を演じていた当て振り要員に替わって神バンドが登場し、生演奏による『ヘドバンギャー!!』『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の2曲が披露された瞬間、その場の空気が一変した。それはまさにBABYMETALが一段上のフェーズへと引き上げられた瞬間だった。

Negicco【隣の人と肩組みたくなる度★★★】

順調に動員を増やしているNegiccoが、2015年8月にそれまでの最大規模となる日比谷野外大音楽堂で行なったワンマンライブでは、オオニシユウスケ(ギター)、鹿島達也(ベース)、mabanua(ドラム)、真藤敬利(キーボード)、オルケスタ・デ・ラ・ルスの前田大輔(トロンボーン)ら8人からなる“NEGiBAND”が登場。それまでもバンドは存在していたが、これ以降、中野サンプラザホールをファイナルとした全国ツアーもともに回るなどこのメンバーでのNEGiBANDはNegiccoのライブに欠かせない存在になっている。また、代表曲『圧倒的なスタイル』を“NEGiBANDバージョン”としてNegiccoの3人の歌も再録したうえでリリースするなど、今後もバンドスタイルは色濃くなっていくだろう。

Negiccoのライブの定番といえば、『圧倒的なスタイル』でのオーディエンスを巻き込んだラインダンスだが、NEGiBANDによる演奏はフロアとステージの一体感をより強固なものにするのに一役買っている。まさにそれこそが、バンド編成、生演奏の醍醐味なのだ。

おやすみホログラム【フリースタイル度★★★】

地下アイドルシーンでひときわ異彩を放つ存在、おやホロ。オルタナ系サウンドを軸に、BiS直系のハードコアなライブから、クラブへの出演、Have a Nice Day!とのコラボなど、精力的に活動している。ライブ形態も様々で、現メンバーのふたりが普通のアイドルのようにオケで歌うライブもあれば、プロデューサーの小川晃一によるアコースティックセットあり、ジャズミュージシャンの水谷裕章、吉嶋智仁、タカスギケイ、オガワコウイチによる“OYSMAJE(おやすみホログラム・オルタナティヴ・ジャズ・アンサンブル)”あり。

そして、箱庭の室内楽のハシダカズマ(ギター)、元TAMTAMの小林樹音(ベース)、Nature Danger Gangの福山タク(サックス)らによるバンドセットが“おやホロバンド”だ。バンドセットによるおやホロは、ふたりのフリーダムさ加減はそのままに、それでいて女性ツインボーカルのバンドのような錯覚を覚える。会場を揺らし、熱気を共有させる力は、オケだけでは決して出せないものだろう。今年6月のワンマンをもって現体制でのバンドセットは終了したが、引き続きバンド編成自体は継続。8月21日には元ナンバーガール、ZAZEN BOYSのアヒトイナザワをドラムに迎えてのバンド編成でライブを行うぞ。

PassCode【危険度★★★】

いま地下現場でもっとも苛烈と言われているのがこのパスコ。ラウドロックのバンドサウンドをベースにEDMの要素をふんだんに取り入れた、エレクトロニコア・ピコリーモ的サウンドが特徴だが、時にアイドルらしくポップに、かと思えば可愛いルックスからは想像もつかないスクリーモ系シャウトが響き渡る、1曲の中ですら変化に富んだ先の読めない楽曲は一言では表しきれない。BiSが好きだった人からしたら大好物に違いないサウンドだ。

代表曲『アスタリスク』のMVでも見せているように、このグループはバンドでライブをやってほしいなあ……と思っていたら、8月8日にZeppダイバーシティで行われるワンマンでバンドセットでのライブが実現するとのこと! もちろん、バックを務めるのは現在バンドシーンで活躍するミュージシャンたち。これはヤバイ! ただし、パスコといえばモッシュやダイブ、リフトが当たり前の激しいライブで有名。心して行くように……!

[大木信景@HEW]