2017年は“怪演”の当たり年! 視聴者をゾッとさせた役者たち

連載・コラム

[2018/1/3 16:00]

2017最ブレイク女優からベテラン女優まで!

ちょっとヤバイ人間が登場するドラマが多く見られた2017年。“怪演”と呼ばれるほどの恐ろしい演技で、視聴者たちを恐怖のドン底に陥れた役者たちを振り返ってみよう。

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・吉岡里帆 /『カルテット』来杉有朱役

ドラマ『カルテット』がきっかけで、吉岡里帆は2017年大ブレイクを果たした。『カルテット』は、偶然出会った弦楽器奏者の4人が、軽井沢の別荘で奇妙な共同生活を行うラブストーリー×ヒューマンサスペンスだ。

松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平などそうそうたる役者が揃うなか、吉岡は元地下アイドルでライブレストラン店員の来杉有朱役で強烈なインパクトを残している。有朱は一見どこにでもいる清楚な女の子だったが、笑顔でも実は笑っていない冷たい眼と、自分の欲望に正直すぎる言動は、まさに怪演と呼ぶに相応しい。最終回で「人生、チョロかった」と高笑いしてみせる姿を忘れられない視聴者は多いだろう。

・東出昌大 /『あなたのことはそれほど』渡辺涼太役

ドラマ『あなたのことはそれほど』は、登場する人物のほとんどが“ヤバイ”奴だった。主人公の波瑠演じる美都は、罪悪感ゼロで不倫を繰り返し、挙句に逆ギレ。仲里依紗演じる有島麗華の不倫夫をじわじわと追い詰めるような演技は、ある意味一番リアルだったのかもしれない。

そのなかでも一番話題になったのは、美都に対して家庭内ストーカーを行う渡辺涼太(東出昌大)だ。不倫さえも受け入れようとする、強くてねじ曲がった愛情は視聴者を震え上がらせた。全10話中、まるまる9話で“家庭内サイコストーカー”だった涼太が、最終回で何の矛盾もなくその過ちに気づき、ただの怪演で終わらせなかったところが特徴的だ。

・仲里依紗 /『黒革の手帖』山田波子役

『あなたのことはそれほど』で麗華役を務めた仲里依紗は、ドラマ『黒革の手帖』でも山田波子という怖いキャラクターを演じている。「私、知らなかった。お金稼ぐのって、こんなに簡単だったんだね」――最初は普通の派遣社員だった波子は、ホステスになったことでお金を手に入れ、少しずつ人格が変わっていく。

金の亡者となった波子は、自分を救ってくれた恩人までをも陥れようと画策する。大人しくて怖い『あなそれ』の麗華とはまた違った、強くて攻撃的な怖い女役を見事に演じきった。

・手塚理美 /『明日の約束』藍沢尚子役

仲里依紗が少しずつ人格が変わっていく演技を見せた一方で、手塚理美はドラマ『明日の約束』で、豹変する毒親・尚子を演じてみせた。いつもニコニコしていて、一見優しそうな尚子だったが、少しでも思いどおりにいかないと表情は一変。金切り声を上げて娘の日向(井上真央)を縛りつける。愛情が大きすぎて歪んでしまったのだ。

物語が進むに連れ、その表情の急変は恒例化し、もはやニコニコしている姿でさえも「いつ怒り出すのか」と視聴者を怯えさせた。最終回を迎えても、まったくスタンスを変えずに最悪の毒親を貫いた尚子だったが、それでも「可哀想な母親」という印象が滲み出ていたのは、さすがは名女優・手塚理美といったところだ。

[沢野奈津夫@HEW]