時代の先駆者、プロ意識、サービス精神……人気急上昇のオネエユニット・エンガブが語る“歌姫”の魅力

特集・インタビュー

[2023/6/27 12:00]

多彩な音楽と巧みなトークで人気急上昇中のオネエユニット・エンガブを直撃♡

洗練された楽曲と華麗なパフォーマンスで音楽ファンを魅了しつつ、巧みなトークを展開するYouTubeチャンネル(2023年6月時点でチャンネル登録者20万人超え!)も人気を呼ぶ“オネエユニット”ENVii GABRIELLA(通称エンガブ)。同ユニットはリーダーで楽曲・アートワーク担当のTakassy(タカシ)、企画・マーケティング担当のHIDEKiSM(ヒデキズム)、振り付け担当のKamus(カミュ)からなる3人組で、エンタメ感度の高いユーザーを中心に注目を集めています。今回はそんな3人の音楽的ルーツを探るべく、好きな“歌姫”について語っていただくインタビューを敢行! さらに、6月28日リリースのメジャーファーストフルアルバム『ENGABASIC』のお話もたっぷりとおうかがいしました♡

ENVii GABRIELLA。左からKamus、Takassy、HIDEKiSM

エンガブメンバーが憧れる昭和や平成の“歌姫”たち

――今回はみなさんがお好きな歌姫について、たっぷりと語っていただきたいと思います!

HIDEKiSM:ありがたい〜♡

Takassy:この人(HIDEKiSM)だけがしゃべってればいいのね。

――3人ともそれぞれお好きな歌姫がいらっしゃいますよね?

Takassy:まぁ、私たちが歌姫っていうか?

HIDEKiSM:どうしても否めない。すみませ〜ん!

Takassy:どう考えても姫じゃない(笑)。

――さっそくおひとりずつ、お好きな歌姫と、お気に入りの作品を教えてください!

Takassy:中森明菜さんです。アルバム『BITTER AND SWEET』(1985年)が、私のなかでは至高。ビブラートがまだかかりきってなくて、成長過程のすごくいいタイミングの、甘酸っぱい時期の明菜ちゃんの声が収められてると私は思ってます。 楽曲は角松敏生さんでしたり、シティポップやニューミュージックの大御所の方々が提供しているんですが、絶妙におしゃれで、この作品が1番好きです。

Kamus:私は安室奈美恵さん。安室ちゃんはライブではピンヒールを履いて、ストイックに歌って踊り続けるんです。生でライブを観たことは残念ながらないんですが、ライブ映像を観たときに、「この人、体力あるな……」って驚愕しました。歌声しかりダンスしかり、ものすごいスキルがあるなかに、体力もないとできないパフォーマンスを完璧に披露して、しかもMCなしでぶっ通しっていう。たくましい歌姫だと思います。好きな楽曲は、『ALARM』(2004年)で、MVも大好きです。当時はよくそのMVを観たりカラオケで歌ったりしながら振り付けを覚えたよなぁ〜っていうエモい思い出が蘇ってきて、今とても懐かしい気持ちになりました(笑)。

HIDEKiSM:私は倖田來未さんです♡

Takassy:でしょうね!みたいな(笑)。

HIDEKiSM:倖田さんの楽曲は長らくチェックしててCDも買ってたんですけど、ドハマりしたのはアルバム『TRICK』(2009年)。倖田さんが少しお休みをされていた時期があって、その復帰後にリリースした作品なんです。友人に誘ってもらい同作のツアーを観に行って、もうすっごい……かっこよかったっていうよりは、悔しかったんです。何が悔しかったかって、もちろん歌やダンスのパフォーマンスも、演出もお衣装も、トータルで完成されたエンターテインメントだったんですけど、プラス、 やっぱり彼女はMCがおもしろくて。自分がやりたかったライブパフォーマンスを全部やられちゃったっていう気分になりました。でもその悔しさが逆に、自分のなかでの目標というか“背中”になったんですよね。倖田さんはその復帰後から精神的に締まったというか、“歌でやってくぞ”って覚悟が特に見えるようになって、パフォーマンスにもそれが出てたんだと思います。いろんなことを乗り越えて、 腹を括ったことが今にも繋がってるのかなと思いますし、ずっと憧れのアーティストです。

時代の先駆者、プロ意識、サービス精神……それぞれの歌姫の魅力

――今挙げていただいた歌姫の、どんな部分に特に魅力を感じますか?

Takassy:中森明菜さんが活躍していた1980年代って、アイドル量産期というか、 “何年デビュー組”みたいに、すごく有名な方が毎年どんどん出てくる時代だったんです。それを全部レコード会社が仕切るなかで、明菜ちゃんはデビューしてすぐに、楽曲、衣装、振り付けなどのコンセプトをすべて自分で考えて主張して、貫き通したところがかっこいいと思います。代表曲『DESIRE-情熱-』(1986年)の、おかっぱヘアに着物をアレンジした衣装は、今でこそすごく有名ですよね。でも、当時初めて明菜ちゃんが提案したとき、まわりは「何を言っているんだね」みたいな感じの反応で、それでも圧巻のパフォーマンスで見事に日本中を納得させてしまったそうなんです。常に流行りの最先端で、先見の明がある方。セルフプロデュースという言葉がなかった時代に、それを体現した第一人者と言っても過言じゃないと思います。時代の先駆者としてもカリスマ的な才能があるところがすごく魅力的だし、憧れだと感じますね。

Kamus:私は、安室ちゃんのすごいところって、あのスタイルを維持してるのがすべてだと思ってまして。人間なので多少なりとも太ったり痩せたりするし、肌質が変わって、お修正する方もいらっしゃると思うんです。でも、安室ちゃんはいつも安室ちゃんを保っていて、ファンにとってはそれがすごく心強くて。あの状態を保つのっておそらくすごく大変だろうに、デビュー当時から引退する最後までどんどん綺麗になっていって、 クオリティが落ちたライブも一度もないと思います。そういう姿を見ると、私も人前に出させてもらっているので、できるだけ維持しなきゃなって。 6年活動してるということは6歳年を重ねてるので……といっても、うちらはある程度までいくと年をとらなくなるんですけど(キッパリ)。

Takassy:(真顔で)もう、うちら年とってないからね。

Kamus:それも踏まえてですけど、ビジュアルを保ち続けたり、より美しくなれるのか研究するのは大事だって教えてもらいました。あとは、あれだけ高いピンヒールで踊ってるのに全然ブレやしないし、歌もしっかり歌うところを見て、すごく強いな、勇ましいなと思うので、自分も「疲れちゃった」とか言ってらんないなって。 我々もライブではMCありつつで、TakassyとHIDEKiSMのふたりは歌いながら踊ってくれてるし、そんななか、ヘバってちゃダメだなと思って。 “安室ちゃんはずっとピンヒールだよ! がんばろう!”って、奮い立たせてもらってますね。

HIDEKiSM:私は、倖田さんの好きなところはですね……。

Takassy:こっから2時間かかりますよ!

HIDEKiSM:先ほども語りましたけど、やっぱり倖田さん、ライブが最っ高なんですよ! 超エンターテインメントしてくれるんですよね。ただパフォーマンスするだけじゃなくて、そこに毎回何かしらを織り込んで視覚的にも楽しませてくれるんです。例えば、空を飛んだりとか、エアリアルティシュー(※)とか、ドラムやピアノに挑戦したりとか、水槽から出てきたりとか。
(※天井から吊るした布<ティシュー>に登り、空中<エアリアル>でいろいろな動きやポーズを魅せるパフォーマンス)

Kamus:水槽!?

Takassy:あれ、マジすごいよねぇ!?

HIDEKiSM:はたまた脚をくくられて宙吊りになって歌ったりとか、身体を張るんですよ。でも、もともと彼女は高所恐怖症で、高い場所からパフォーマンスするのは苦手なのに、後方の席の人にも楽しんでもらえるようにやってるそうで。そういうファンを大切にするサービス精神も魅力ですよね。それまでのディーバって、雲の上の存在みたいな感じの方が多かったなかで、ファンと近くて親近感を持てる存在っていうのが、先鋭的だったと思います。最近は時代がついてきて、また人気が再浮上してるっていうところも素晴らしいですね。常に先を見てるところに惹かれます。

『ENGABASIC』は自信を持って出せる名刺代わりの1枚

――『ENGABASIC』のお話も聞かせてください。アルバムのコンセプトは?

Takassy:私たちが活動し始めて6年ほど経つんですが、これまでミニアルバムやシングル、ベストアルバムをリリースして、フルアルバムをリリースしたことがなかったんです。なので、ここでやっとファーストと名のつくものを発売できるので、私たちも一度初心に戻ろうという気持ちで制作しました。初めて知ってくれた人に、自信を持って「これが私たちのベーシックです」と名刺代わりで出せるようなアルバムにしようというコンセプトです。

――Kamusさんが、アルバムのなかでダンスにポイントがあると思う楽曲は?

Kamus:ダンスにポイントがある曲は、リード曲の『オワッテンネ』と『BL』だと思います。『オワッテンネ』は、サビが一見難そうに見えるけど、パーツごとに見たらそこまで複雑ではないので、素人さんも多分3時間くらい練習したら踊れるくらいの難易度に仕上がってます。ぜひMVなどを観て、一緒に踊っていただけたら嬉しいです! 『BL』は、事務所の大先輩のパパイヤ鈴木さんが振り付けをしてくださったんですよ。もちろんパパさん……あっ、パパさんって呼んじゃった(笑)。

Takassy、HIDEKiSM:(笑)。

Kamus:パパイヤ鈴木さんはキャッチーな振り付けが本当に得意で、『BL』では、懐かしい感じの振り付けや、足のステップを入れてくれました。サビでは簡単な手振りがあるので、こちらもみんなで一緒に踊って楽しんでもらえると思います。

――HIDEKiSMさんは、ボーカルに注目して聴いてほしい楽曲はありますか?

HIDEKiSM:新曲は全部ぜひ聴いて!って感じなんですけど、強いて挙げるなら『PAY ME』ですかね。なかなか挑戦的な楽曲に仕上がってるんじゃないかな。“ザ・オネエ”らしい雰囲気でありつつ、結構ゴリゴリにヒップホップでもあり。全編通してほぼラップで今までにないような感じの歌い方もしてますし、Kamusちゃんの声も入ってるので、ボーカル的にも聴きどころが盛りだくさんだと思います。サビも、とても印象的なんですよ。“金払いな”って(笑)。

今後の目標は宙吊り、森でリサイタル、教科書に載る!?

――今後エンガブの活動を通して挑戦してみたいこと、目標があれば教えてください。

HIDEKiSM:私からですか!? えーっ! そうですね、今後の目標。

Kamus:宙吊りで歌うとか(笑)。

HIDEKiSM:それはやりたいんですよ。やりたいです、やりたい!!

Takassy:ヒーくん宙吊り、ウケるんだけど(笑)!

Kamus:水槽から出てくるとか(笑)。

Takassy:水槽から出てきたらもう、ジュゴンじゃん!

HIDEKiSM:どう考えてもアリエルじゃんねぇ!? ちょっと……今話題の作品を織り込んでみました(ウインク)♡
(※編注:実写版映画『リトル・マーメイド』が6月9日より劇場公開中)

Takassy:いいから、何がやりたいの? アースラ!

HIDEKiSM:いわゆるアーティストが憧れるいろんな事柄、例えば武道館公演とかは全部やりたいなとは考えながらも、やっぱりたくさんの方に私たちのことを知ってほしい、楽曲に触れてほしいっていうことを強く思うんですよね。まぁ私たちもアラサーなんで、そこら辺は緻密に作戦会議してて、「一体どういうことが国民的か?」みたいな話とかをしたときに、『NHK紅白歌合戦』は大きいのかなっていう話に落ち着きまして。老若男女問わず、地方の方も観ている長寿的番組なので、紅白はやっぱり目指したいなってすごく考えてます。

Kamus:『ENGABASIC』を提げた6大都市ツアーが7月から始まるんですけど、 去年の5大都市ツアーで行けなかった宮城・仙台公演が今回は入ってるんです。私は青森県出身で、東北地方でエンガブのワンマンライブをやらせていただくのは初めてなので、すごく嬉しいです! なので、いつか地元の青森でもライブできたらいいなっていうのは、近い夢ではありますね。

Takassy:森でリサイタルみたいな。

HIDEKiSM:いいじゃんね〜! そういうの!

Kamus:熊とかいっぱい集めとくよ〜!

Takassy:ヒヤヒヤだよね〜、ライブ中(笑)。

Kamus:集めとくよ〜(笑)♡ 自分はおばあちゃん子で、青森に住んでるおばあちゃんにエンガブのDVDを送ったりもしてるんです。仙台までは少し距離があるので、青森だったら観に来てもらえるかなぁって。私が今何をしてるかを生で感じてもらえる機会が、近いうちにあればいいなと思ってます。

Takassy:私はよく思うんですけど、曲が浪費されて消え去っていくのが、すごく悔しいんです。私たちがまだまだだからっていうのもあるんですけど、すごくがんばっていい曲を作ってリリースしても、一部の人たちのなかだけで話題になって、多くの人の間では時間が経ったら消え去って、なくなってしまう。例えば『豪華ネェサン』(2019年)や『ハッピーハッピーウェイウェイドンチー』(2022年)っていうキャッチーな楽曲を入り口に好きになってくださった方もいっぱいいるんですけど、やっぱり私たちの知名度が追いつかないばかりに、なんだか埋もれていってしまうってのが悔しいなと思うんです。なので私の目標は、道を歩いてる4人に1人ぐらいの人に「エンガブといえばこの曲だよね」って言ってもらえるような存在になることですね。 できれば音楽の教科書にも載りたいです!

HIDEKiSM:『PAY ME』で載っちゃう?

Takassy:『PAY ME』は載らねぇよ(笑)! 私たちはもともと尖った楽曲も大好きですけど、攻めた楽曲も作りつつ、ポップでキャッチーな路線の曲もずっと作り続けていきたいなって思います!

(おわり)

プロフィール

Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなる唯一無二の“最強オネエユニット”。それぞれ違うフィールドで活躍していた3人が、2017年3月よりユニットでの活動を開始。バラエティ豊かな楽曲、圧倒的な歌唱力、息の合ったダンス、ピンヒールを着用しての華麗なパフォーマンスが特徴的。“動画で楽しむ新宿二丁目”がコンセプトのYouTubeチャンネル『スナック・ENVii GABRIELLA』も人気で、約20万人のチャンネル登録者数(2023年6月現在)を誇る。

リリース情報

ENVii GABRIELLA メジャーファーストフルアルバム『ENGABASIC』6月28日リリース!

『ENGABASIC』(通常盤)ジャケット
『ENGABASIC』(KING e-SHOP限定豪華盤)ジャケット

<収録曲>
01.『APHRODITE』
02.『オワッテンネ』
03.『Toxygen』
04.『PAY ME』
05.『90’s』
06.『BL』
07.『オリビアを聴きながらを聴きながら』
08.『The Crown -No necesito, No queiro-』
09.『あなたが私を綺麗にする訳じゃないの』
10.『Symphony』

ライブ情報

6大都市ツアー『ENVii GABRIELLA TOUR 2023 ENGABASIC』開催!
7月30日(日):宮城・仙台/誰も知らない劇場
8月6日(日):福岡/DRUM Be-1
8月12日(土):大阪/BIGCAT
8月13日(日):愛知・名古屋/ダイアモンドホール
8月20日(日):北海道・札幌/cube garden
8月26日(土):東京/LIQUIDROOM

詳細はオフィシャルサイト(https://engab.jp/)をチェック!

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