『BRADIOのファンキーハンター』【第3回:カッティングギターの神アル・マッケイ編】

連載・コラム

[2016/2/29 13:00]

LIVE REPORT
BRADIOメンバーによる、2月21日に行われたアル・マッケイ・オールスターズのライブレポート! “plays music of アース・ウィンド&ファイアー”と名付けられ、同バンドの曲がたっぷりと演奏された白熱のライブとなった!


全員がAll Starsになれるグルーヴエンターテインメント

 アル・マッケイと言えば、僕が愛読していたギターの教則本で「16ビートのカッティングギターはアル・マッケイとナイル・ロジャースを聴けばそのすべてを体験できる」とまで書かれていたギタリスト。世界中のギタリストに影響を与えており、もちろん僕もそのひとりだ!
 インタビューでは「ファンキーとは?」との問いに「マイナー9thコードかな? いや、やっぱりフィーリングだよ!」と親しみをもって答えてくれるなど、チャーミングな印象の彼だったが、ステージのセンターに優雅に座り、ピックを持った左手(ご存知の方も多いと思うが、彼は左利き)が弦を捉えた瞬間……鬼を目撃することとなった。
 ドラム、パーカッション、ベースが強烈にグルーヴを生み出し、キーボード、ホーン隊、ボーカル勢が曲の華やかさや抑揚を見事に表現する中、アルの絶妙にハネたギターのカッティングが高揚感を演出し、サウンドの核となっているのがわかる。アルのギタープレイが一瞬でバンドのすべての音を取り込み、音の壁となって襲ってくるのだ。うまく例えられないが、彼の「ほら、どうだい?」というような小刻なカッティングに心臓が刺激されているような感覚で、ステージ上の彼と心臓のキャッチボールしているみたいなような気分になった。
 もうそれは“踊れる音楽”ではなく“否が応にも踊らされる音楽”であり、最終的には優雅に座ってるのってアル・マッケイだけじゃん状態(笑)。なんというか……観客を含めそこにいた全員がアル・マッケイを中心としたまさに“Al McKay All Stars”となり、ひとつの作品になったようなライブだった。エンディングでメンバーや観客とハイタッチをして帰っていく彼の笑顔に、ファンキーとは何かを教えられた気がした。(大山聡一/BRADIO)

ライブ終演後には、誰かにこの興奮を伝えたいと思えてならなかった

 ソリッドでハッピーでファンキー。“plays music of Earth, Wind & Fire”と題された公演だけあって一筋縄ではいかないなと思ったが、往年の名曲たちが聴けるというライブ前のワクワクドキドキの妄想をはるかに超え、強烈なグルーヴが押し寄せてくる圧巻のライブとなった。ステージには総勢13名の大所帯、序盤から踊らせに踊らせて、そしてお決まりのようにバラードで聴かせる。さらに、待ってましたと言わんばかりのヒット曲のオンパレードで持続性のあるピークをいくつも迎える。楽曲構成、起伏と見せ場、何もかもが計算し尽くされたかのように会場全体を手中に収める彼らのグルーヴ。我々はその流れに身をまかせることしかできず、究極のエンターテイメントに魅せられた。
 メンバーへの信頼感をうかがわせながら、ステージのど真ん中でドーンと構え、何食わぬ顔でただ淡々とギターを弾くアル・マッケイ。彼の絶対的な雰囲気はまさにレジェンドとしか言いようがなかった。インタビューではファンキーでチャーミングな一面もあったのにギャップがずるいぜ。そんなアル・マッケイとバンドメンバーとの信頼関係が、お客さんを誰一人としておいてはいかずに巻き込んでいく。各パートのピックアップポイントやボーカル3人の華麗なダンス、特にサックスのエド・ワインとボーカルのティム・オウェンズの掛け合いセッションは、あまりのすごさに無意識に微笑んじゃうくらいに魅せられたハイライトだった。
 僕らすべての人たちをダンスフロアへ誘ってくれる彼らの演奏を前にして、ジッとなんてしていられない。そんな会場の熱はハッピーに満ちあふれていた。終盤の怒涛の名曲ラッシュに「もうやめてー」とうれしい悲鳴をあげながら、最終的にオールスタンディングとなった会場を見て、時代を超えて蘇ったディスコブームを体感しているような気分にさえなった。バンドのやりたいことがお客さんにも伝わって相乗効果を生み出していた。ライブ終演後には、誰かにこの興奮を伝えたいと思えてならなかった。これこそがエンターテイメントの最高峰。(真行寺貴秋/BRADIO)


アル・マッケイとの“コミュニケーション”で見つけた今回のファンキーワード

「Funky is feeling」
by アル・マッケイ


来月もBRADIOが“Funky!!”に出会いに行きます! お楽しみに!

【協力:ビルボードライブ東京】
ビルボードライブ東京のファンキーな公演は以下! 会場でファンキーを体感しよう!!
・Disco & Funk Party featuring イヴリン・シャンペン・キング 2016年4月30(土)/東京  4月28日(木)/大阪

・チャカ・カーン 2016年5月14日(土)、19日(木)、20日(金)/東京 5月16日(月)、17日(火)/大阪


【著者紹介】

BRADIO
真行寺貴秋(ボーカル)、大山聡一(ギター)、酒井亮輔(ベース)、田邊有希(ドラム)による4人組ロックバンド。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らす楽器陣を軸に、熱唱&ファルセットを使い分ける真行寺の歌声で、観に来たFUNKY PARTY PEOPLEを虜にするエンターテイナー集団。2014年夏には愛知県で行われた大型フェス『TREASURE05X』やT.M.Revolution西川貴教主催の『イナズマロックフェス2014』に出演。2015年、日本テレビほかアニメ『デス・パレード』オープニングテーマを担当。12月31日には『COUNTDOWN JAPAN 15/16』にも出演した。

[耳マン編集部]