お前らバンギャの“リアル”知ってんのか!? KAT-TUNからV系ハマッた現役JDに聞いてみた~バンギャ数珠つなぎ第1回~
ドルヲタはバラエティでもよくイジられているので、非ドルヲタも「なんか“推し”とか言って、光る棒振って、大声で応援しているんでしょ?」くらいのイメージは持っていそうですが、バンギャっていまだに生態が謎! 筆者の雑なイメージでは、「バンギャ=退廃的な服装に身を包んだ濃いメイクの美男子たちをウットリ見つめる、ロリータなどの派手な服装をしている女性たち」みたいな感じなんですけど、そのV系・バンギャ像ってマジで古いみたいですよ?
ドルヲタのようにガラパゴス的に独自の文化を作り上げながら、ドルヲタほど世間に実態が伝わっていないバンギャたち。筆者、原田イチボもドルヲタなので、いわゆる“強い”ドルヲタには会うこともありますが、“強い”バンギャって実際どんな感じなんでしょう? 頼む、強いバンギャに会わせてくれ!
……というわけで始まったバンギャ数珠つなぎ企画。毎回バンギャに「あなたより強いバンギャを教えてください」と頼んでいき、最強のバンギャに出会うことを目指します。1回目のバンギャは、鈴木さん(仮名)。中学2年生からV系にハマッたという現役大学生です。
KAT-TUN好きがV系につながった?
――「普段ライブに行くときの恰好で来てください」とお願いしていたので、いかにもライブ!って感じのバンドTスタイルか、ゴスロリ的な服を想像していたんですけど、意外とキレイめですね。ひとりじゃ恥ずかしいだろうと思って私もアイドルTを着てきたんですが、完全に外しました。
「ライブにシャツは絶対着ていかないんです。だってメンバーに見られてるかもしれないじゃないですか!? だからワンピースとかが多いです。ダークな、黒っぽい感じってあまりすきじゃないんですよ」
――ダークな雰囲気が苦手なのにV系は好きなんですね。なんでV系にハマッたんですか?
「中学2年生くらいのときに、同じ部活にV系が好きな子がいたんです。いろいろ勧めてくれるんですけど、私はジャニーズとかが好きだし、そういう黒いのは苦手で……。でも『これなら聞けるんじゃない?』ってオススメされてハマッたのがViViD (ヴィヴィッド、2009年に結成して2015年4月解散)。メイクもナチュラルめでキラキラした感じで、あと曲もわりとJ-POPに近い感じだし、ジャニーズとそんなに変わらないように感じて」
――V系ってMALICE MIZERみたいなデコラティブなイメージだったんですけど、最近はそうでもないみたいですね。ちょっと派手な私服くらいの衣装だったり、あとそれこそゴールデンボンバーみたいにコミカルだったり、裾野が結構広いと聞きました。鈴木さんは「ViViDは好きだけどほかのV系は別に」とはならず、V系そのものにハマッていったんですね。
「そうですね。でも今から思うと、もともとハマる素養があったのかもしれない……。だって私、ジャニーズでもKAT-TUNが好きだったんですよ。音楽面でもロックっぽくて、ちょっと通じるものがあるし、あと衣装の肩にファーとか付いてるし……」
――ふむ……(斬新な理屈だな)。
「あとメンバーのブログに出てきたりするので、ViViDと同じ事務所の先輩や後輩バンドに詳しくなっていったんです。交友関係を掘っていくうちに、いろんなバンドを聞き始めるようになりました」
ヘドバンで首が太くなる
――V系ってやっぱりかっこいいですし、ファンの中にもメンバーに対して恋愛感情を抱いている人が多いんじゃないかと思っちゃうんですが……。鈴木さんはいかがですか?
「そういう人もいますが、私の場合は“崇めていたい”! 自分とは土俵が違うところで生きている方々だと思っています。ViViDで上手ギターだった、今はソロで活動しているRENOさんって方が“本命”なんですけど、もう崇拝っていう感情ですね」
――本命?
「バンギャの間では、一番好きな人を“本命”って呼ぶんです。“推し”は何人いても、“本命”は1人だけ。バンドも一番好きなバンドは“本名盤(本命バンド)”ですね。それで、本命バンドは解散したら“神盤(神バンド)”になるんです」
――2階級特進みたいですね。ところでV系ってライブがヘドバンとかして激しいらしいですが、鈴木さんはライブデビューしたのはいつだったんですか?
「私は結構遅くて……。滋賀県出身なんで、ライブが全然ないんですよ。親も厳しいので大阪とか京都にも行けないし、CDショップも車で1時間くらいかかる場所にしかなくて。だからCDが発売するってなったら、電話で予約して取り置きしてもらって、一番近い週末に親に車出してもらって……。だからライブデビューしたのは、高校1年の夏でした。ViViDが47都道府県ツアーをして、滋賀にも来てくれたんです。しかも初めてのライブで整理番号が友達と1、2番!」
――でも最前は初心者にはキツかったんじゃ……。
「やばかったです(笑)。でも初めてでも意外と振りはわかりましたね。曲調でなんとなくわかるんで」
――振り? ヘドバンと、あと“咲く(手を左右に大きく開く)”くらいは知ってますけど、やるタイミングが決まってるものなんですか?
「そうです。このリズムのときはこの振りで、ギターソロのときは咲いて……みたいな。特殊な曲じゃない限り、初めて聴いてもある程度動けますね。ライブ中は観客も常に動いています」
――バンギャ、体力ありそう。
「ヘドバンで首は太くなったと思います」
音楽に“テーマパーク”を求める人々
――V系と一口にいっても、いろんな音楽性のバンドがあるし、衣装もゴシックっぽかったり、笑えるコスプレっぽかったり、私服とそんなに変わらないバンドもあるし、定義が結構あいまいなジャンルですよね。鈴木さんはどの辺が楽しくて、共通点があるようでないV系というジャンルにハマッたんでしょうか?
「やっぱりライブだと思いますね。同じタイミングで観客みんなで振りをする一体感があるし、ライブに行くことでスカッとできる。音源だと楽しさの一部しか味わえないんじゃないでしょうか。ライブに行くことでそのバンドの世界観に入っていくみたいな、テーマパークに行くような感覚でライブに行っています」
――確かにそれはアイドルでも感じます。私はアイドル以外のアーティストだと、例えば人間椅子っていうバンドが好きなんです。このバンドはメンバーが着物を着て白塗りして、仏や地獄がどうみたいな歌を歌っているバンドなんですけど、音楽にテーマパーク性を求めているから、アイドル以外だとそういうバンドが好きになるのかも……。アーティストに音楽以外の楽しみも求める人は、V系やアイドルに走りやすいのかなと。
「わかります! なんかドルヲタとバンギャって結構交わりそうですね。実際、大学のV系バンドサークルにも「アイドルも好き」って人が多かったんですよ」
――自分の中で結論がひとつ出ました! ところで最後に、鈴木さんはレベル5が最高だとすると、自分のバンギャレベルはいくつくらいだと思いますか?
「1.5から2の間をフラフラしてるくらいですかね……。学生は財力に限界もありますし。ViViDが解散してRENOさんを見る機会も限られているので、最近は年間10本行けばいいほうです。とにかく上にいるバンギャはすごいので、私は一生このレベルから上がれない気がします」
愛するRENOを追って初の九州遠征も検討しているという鈴木さんも、遠征が盛んなバンギャ界にあっては、まだまだひよっこらしい。もちろん本人の謙遜もあるだろうが、どれだけ層が厚いんだバンギャ界! 次なるバンギャとの対面を想像して、震えながら終わる。