「竹村デパートの閉店(多分その1)」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2023/2/28 17:00]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!


俺、今気づいたんだけどさ、このコラムが新年1発目なのな……(震え声)。
2023年になり、なんだったらそろそろ2月も終わろうかとしているこのタイミングで新年1発目のコラムとか、俺はどんだけ怠惰な書き手なんだ。

しかも前回の「タケムラが怒りだす話」で「次回は経営していたラーメン屋で怒った話です」とか書いちゃってたから、当然に今回は「タケムラが怒りだす話」の続きじゃん? なんだけどさ、このタイミングになってみると当初書こうと思っていた内容が、わざわざこのコラムに書くほどの内容じゃないなって思い始めてさ。そんで今やそれ書く気ゼロ、まるでゼロ、そうストロングゼロ。

ただね、じゃあ何について書くかとなっても特に題材なんかないわけでさ。
この『耳マン』でコラムを初めて書いたのが8年前の2015年なんだけど、その8年の期間においても一度もそれを題材に書いたことなどなかった「最近の俺」、今回はそれに挑戦したいと思う。
人生はいつだって挑戦だ、人は守りに入ったときにディフェンスになる(小泉構文)。
おもしろかったり腹立たしかったりと感情を揺さぶる話なんかではなく、有益な情報をもたらすわけではないが「こんなの読まなきゃよかった!」と号泣するほど害があるわけでもない、そんなコラムを私は書きたい。

若干だけ宮沢賢治を思わせるようなフレーズを出してみたが、どう?
「あれ? 竹村もその程度の教養はあるんだな」と思って、崇め奉ってくれたら最高なんだけどなぁ。
サウイウモノニ ワタシハナリタイ。

最近の俺っていうか今年に入ってからの俺ときたら、そりゃもう大忙し。
ただ仕事で忙しいんじゃなくて部屋、つーか家の片付けでそりゃもう大忙しだった。
家族4人で住んでいるマンションを“ほぼ全面リフォーム”というかみさんの暴挙的希望が現実のものとなってしまったので、まずは家族4人全員が仮住まいに引っ越さなければならない。
そして本宅室内は一度スケルトン状態になってしまうため、とにかく家中すべての荷物を運び出さなければならないし、すべてのものに対し「今後取っておくべきもの・処分すべきもの」をジャッジし、要らないものであればそれを廃棄していかねばならぬ。

それをやろうとすると通常の居住区だけでも大変なのだが、うちには物置と化してしまっている6畳の部屋があり、ここがヤバい。俺のベース10数本や大型アンプ2セットといったものに始まり、取っておくべきスネイルランプやレーベルSCHOOL BUS RECORDSの資料といったものまで、文字どおり天井までぎっしりと積まれている状態だった。
そんな部屋であるからこそ「使わないものは、とりあえずこの部屋にぶっ込んどけ」との認識が、竹村家4人の全員に根付いてしまっており、そりゃもう酷い状態であった。ただこの部屋に行けば大抵のものはあるので、我が家ではこの部屋のことを「デパート」と呼んで重宝していたのも事実だ。

しかしこのデパートを閉店させねばならぬときがきた。
それからというもの深夜1時過ぎにジムから帰宅した後、朝8時まで毎日毎日デパートを片付け3~4時間だけ睡眠をとったのち、またジムへと出かけていく。そんな日々がひたすら続いたのだった。
「とは言え、たかが6畳程度の部屋の片付けなんてさすがに3~4日間ありゃ終わるだろ」
賢明な読者の皆さんはそう思うに違いない。

しかし、俺は禁忌を犯してしまった。「絶対にやってはいけない」と言われる、そう、好感度抜群のママタレがW不倫をしでかしてしまったかのような、片付け中のタブーを犯したのだ。

続きを書きたいが、片付けもある。
次回(いつかは知らぬ存ぜぬ)でお会いしましょう。

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タケムラアキラ

竹村哲●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。