ガチ恋おじさんの本当の戦いはこれからだ【推しメンが結婚しちゃった日記】

連載・コラム

[2017/8/25 12:00]

元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。(ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること)


3月21日 火曜日

「ガチ恋おじさんの本当の戦いはこれからだ」

 梨華ちゃんが旦那さんの好みに合わせて料理をつくった、というブログを半泣きになりながら読みました。「彼」という言葉がブログに初めて出てきました。今まで決して写真に写らなかった「彼」のランチョンマットも、梨華ちゃんのお皿の向こうに少しだけ見えました。
 「味は好評だったんだけどね~」「彼は(餃子を)半月の形にして両面焼いて食べるのが好きなんです!」「育った地域も環境も違えば色々と好みが分かれますよね」などと書いてあり、非常に苦しい気持ちになりました。

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 僕は思いました。「梨華ちゃんの旦那さんの餃子の好みを知らされた僕は、いったいどうしたらいいのだろう。その両面焼かれた美味しい餃子を梨華ちゃんと一緒に食べている旦那さんの様子を思い浮かべ、“ふたりが幸せそうでなによりだ”と喜べばいいのだろうか。そんなふうに振舞えるほど、僕は人間ができていない。このような日記にも、そのうち慣れるのだろうか。そして、慣れた先には一体何があるのだろうか」と。

 僕はこの梨華ちゃんのおのろけブログに、ガチ恋おじさんとしてなんとコメントしたらいいのかまったくわかりませんでした。半泣きになりながら読むことしかできません。こんな日々がこれからもずっと続くと思うと暗澹たる気持ちになりました。
 僕は5月4日にある梨華ちゃんのディナーショーの握手会で、「結婚おめでとう。結婚しても梨華ちゃんのことが大好きです!」と言おうと考えていました。しかし、「“楽しかったです”と言うだけにするかもしれない。“結婚おめでとう”も、“大好きです”も、言うのがつらすぎる……」と思いました。

 梨華ちゃんは旦那さんと一緒に晩ごはんを食べたあと、一緒にテレビなんかを見て笑って、一緒にお風呂に入って、一緒にベッドで寝たんだろうなあ。そう考えてしまい、とてもつらい気持ちになりました。僕が10年以上夢みていたことを現実にしている人がいるんだなあと思い、この世界を憎みたいような気持ちにすらなりました。

 梨華ちゃんが結婚しても、僕のガチ恋は終わりませんでした。むしろこれからが本当の戦いだ、と感じられました。僕のガチ恋と梨華ちゃんのおのろけとの折り合いをどうつけていくか、という大事業が始まっていると思いました。今のところ、折り合いなんかどうつけていいのかさっぱりわからないけれど。
 この調子では梨華ちゃんにガチ恋を続けるのはきわめて難しそうだ。無理して続けたら精神が崩壊してしまう、と痛切に感じました。梨華ちゃんとは少しずつ距離をとっていこう。ガチ恋おじさんではなくなり、最終的に“普通のファン”に戻れたらいいんだけど……。

 僕は梨華ちゃんから距離をとるために、部屋に貼ってある梨華ちゃんのポスターを断腸の思いで1枚剥がしました。ポスターをゆっくり剥がしながら、「梨華ちゃん、今まで夢をありがとう。優しくしてくれてありがとう。梨華ちゃん大好きだよ……」と語りかけました。剥がしたポスターは丁寧に丸めて、部屋の隅に保管しました。
 梨華ちゃんのポスターをすべて剥がしたら、壁に大きな空白ができました。この大きな空白を僕はこれから何か他のもので埋めていかなくてはならない、と感じました。とりあえず、大宮アルディージャのカレンダーでも貼ろうかなあ。
 ポスターはすべて剥がしたけれど、直筆サイン入りのグッズ等だけは、残しておくことにしました。せっかく梨華ちゃんが僕の名前やメッセージを書いてくれたのだから。僕は梨華ちゃんの文字も、真面目さと優しさがうかがえて、丁寧で可愛らしくて、大好きです。


【著者紹介】

ふちりん●1980年生まれ、埼玉県出身。おひつじ座のA型。2003年頃より当時モーニング娘。のメンバーであった石川梨華へのガチ恋を開始。その赤裸々な想いを綴ったブログやTwitterが一部のアイドルファンの間で人気を呼ぶ。趣味は読書やサッカー観戦、アイドル鑑賞、ベースを弾くこと。好きな作家は村上春樹、太宰治、中村文則。

[ふちりん]