おめでとうの気持ちを込めて温かい拍手をしよう【推しメンが結婚しちゃった日記】
元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。【ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること】
3月30日 木曜日
「おめでとうの気持ちを込めて、温かい拍手をしよう」
今日は美人女医さんの個別診察会(心のクリニックの診察)に行ってきました。診察室の引き戸を開けると、美人女医さんが神妙な顔つきをしていたので、「ああ、梨華ちゃんが結婚したこと、知ってるんだな……」と思いました。
「梨華さん、結婚してしまいましたね。大丈夫ですか?」と訊かれ、「たび重なる“結婚へ報道”で、心の準備ができていたからか、結構大丈夫でした」と答えました。美人女医さんはにっこりと笑い、「それはよかったです」と言いました。そしてまた神妙な顔つきになり、「梨華さんに別れてほしいと思っていますか?」と尋ねます。僕は「梨華さんたちは3年半も付き合ってから結婚したので、別れることはなさそうですね」と答えました。先生は可愛らしい笑顔をみせながら、「長く付き合っててすぐ別れるなんて、よくあることですよ」と言いました。僕は苦笑しながら、「そんなものですかね……」と答えました。
「目が合うとつらい気持ちになるので、部屋に貼っていた梨華さんのポスターはすべて剥がしました」と報告すると、美人女医さんは「それはいい傾向です。見ていてつらいのに貼り続けることはありませんからね」と言い、「そのポスターは捨てたりしてないですよね?」と尋ねます。僕は「大事にしまいました(笑)」と答えました。先生は「それでいいんです。捨てなくてもいいんです。見えないところに置いておけばいいんです」と言いました。
それから僕は、「5月4日に梨華さんのディナーショーがあるんですけど、ファンのみんなが“結婚おめでとう!”と言うと思うんです。その祝福の場にいるのが辛いです」と話しました。美人女医さんは、「ファンの人たちすべてが、心からおめでとうと言うわけではないと思いますよ。複雑な気持ちで言う人も多いんじゃないでしょうか」と答えました。
あ、そっか! 梨華ちゃんに心からおめでとうを言えないのは僕だけじゃないんだ!と思い、安心しました。女性ファンは心から「おめでとう」と言う人が大半だろうけど、男性ファンは複雑な気持ちでいる人が大半なのかもしれない。
美人女医さんはさらに、「田中さんが行かないことによって空席が出てしまったら、梨華さんが悲しむと思いますよ」と言いました。
ああ、そうだよな……。梨華ちゃんを悲しませないためにも、ディナーショーには参加しよう、と思いました。「おめでとう」が言えなくても、拍手をすることはできるだろう。おめでとうの気持ちを込めて、温かい拍手をしよう。いつか、素直に言えるような心持ちになったときに、「おめでとう」と言えばそれでいいじゃないか。
梨華ちゃんのディナーショーに出席する覚悟を固め、その旨を告げた僕は、温かい微笑みを浮かべる美人女医さんをまっすぐ見つめ、笑顔で「ありがとうございました」と告げ、診察室から出ていきました。