僕の推しはこれから“ママタレ”としてやっていくみたいだ【推しメンが結婚しちゃった日記】

元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。【ガチ恋……アイドルにガチ（本気）で恋をすること】

3月1日〜16日

僕の推しはこれから“ママタレ”としてやっていくみたいだ

3月1日　木曜日

　深夜の中居くんの番組で、妊婦の梨華ちゃんが幸せそうにモーニング娘。の『I WISH』を歌っているのを観ました。しかし「人生ってすばらしい」のはアイドルたちだけで、僕の人生はそんなにすばらしくないな……と思ってしまいました。僕は大宮アイドール（行きつけのアイドルカフェに在籍する大宮のご当地アイドル）のライブを観ているときだけ、人生ってすばらしいと思えます。ハロー！プロジェクトに関してはいろいろありすぎて、ひと言で「人生ってすばらしい」とはとても言えません。

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3月10日　土曜日

　梨華ちゃんのことが好きすぎて、とうとう梨華ちゃんになる夢を見てしまいました。でも映画『君の名は。』みたいに自分の胸を揉んでみたりはしなかったです。光り輝くステージに立った僕は梨華ちゃんとして真面目にがんばったけれど、ダンスが上手くできなくて悔しい思いをしました。

　そんな夢から目を覚ましてしばらくボーっとしたのち、Twitterを見ていたら、「工藤（※）ヲタは工藤ハルちゃんとどうなりたいのか」というブログ記事が目に入りました。その記事をじっくり読んだあと、「じゃあ僕は梨華ちゃんとどうなりたいのだろう？」と沈思黙考することになりました。
（※モーニング娘。の元メンバー、工藤遥のこと）

　若い頃は梨華ちゃんと結婚したいと切実に思っていた僕だけれど、今はハードルを下げて飲み友達になりたいと思っています。「でもこんなに梨華ちゃんを好きなのに、飲み友達のままでいられるのだろうか」という不安もあります。できるだけ恋心を抑えながら、愉快な飲み友達として付き合っていきたいです。なにしろ相手は人妻なので。大宮アイドール（行きつけのアイドルカフェ）のカウンター席で酒を飲みつつ待っているから、第1子を出産して落ち着いたらぜひ遊びに来てほしいです。

3月12日　月曜日

　晩ごはんを食べているときに母親が「石川りなちゃん、テレビに出ているのを見たけど、お腹が大きくなっているのね。野球選手と結婚したんだって？」と言うので、「ぐぬう！」となったけれど、感情を表に出さないように努めながら「うん、そうだよ」と答えました。「お母さん、僕がそのためにカウンセリングを受けているほどだと知ったらどんな顔するだろう……。こんな息子でごめんね……」と思いました。

3月13日　火曜日

　今日、3月13日は梨華ちゃん夫妻の結婚記念日です。去年はそれで精神的にゴタゴタして、確定申告に遅れてしまいました。今年はちゃんと間に合うようにしたいです。梨華ちゃん夫妻につきましては、末永く幸せに暮らしていってほしいです。僕はやや遠くから生温かい目で見守っていきたいと思います。それにしても、梨華ちゃんが結婚して1年も経つのに未だに落ち込んでいて、彼女の「か」の字すらできてない僕って一体……。このまま孤独に年老いていくのだろうか……。

3月16日　金曜日

　マタニティ雑誌『たまごクラブ』4月号の表紙が梨華ちゃんで、インタビュー記事も載っているということをインターネットで知りました。「“妊婦の妻に頼まれた夫”という設定で本屋さんに買いに行こう」と決意して家を出て、道すがら「僕は既婚者どころか彼女いない歴37年なのに、マタニティ関係の雑誌が部屋にたまっていきそうで切ないな……」と思いました。

　『たまごクラブ』4月号を買って家に帰り、梨華ちゃんへのインタビューを読んだら、とても幸せそうだったので嬉しいような切ないような複雑な気持ちになりました。「たくましい男の子に育ってほしいから、（中略）厳しい母になりたいです」と梨華ちゃんは言っています。これは、身も心もフワフワしすぎている僕に対する私信なのでは？　やったー！と思いました。ふむふむ、出産予定は4月なのか。僕と同じ誕生日（4月10日）になったらちょっとおもしろいな……。

　ため息をつきながら『たまごクラブ』を閉じた僕は思いました。この間は『Pre-mo』というマタニティ雑誌に載って、今度は『たまごクラブ』に載った。もうほぼ間違いない。梨華ちゃんはママタレとしてやっていくみたいだ。子どもが無事に生まれたら育児雑誌『ひよこクラブ』にも載ることだろう。そして僕は『ひよこクラブ』を、妻と幼子をもつ夫のふりをして、喜びや切なさとともに購入することだろう。