「いつか仕事でももちに会いたい」……その想いを胸に全力で駆け抜けた日々【ぱいぱいでか美、桃色の半生!】第21回

連載・コラム

[2019/1/21 12:00]

「言うほどでかくないがそこそこでかい」おっぱいを武器に歌手、バラエティ、グラビアなどジャンルにとらわれず活躍するタレント・ぱいぱいでか美が自身の半生を初めて振り返る連載!


第21回:「いつか仕事でももちに会いたい」……その想いを胸に全力で駆け抜けた日々


悩んだときや立ち止まったときに必ず観ていた映像

こんにちは、ぱいぱいでか美です。なぜ、代引きで買い物をしたものはある日突然一気に届くのでしょうか。真相究明のためにともにアマゾン川に行ってくれる方を募集します。しません。コラム書きますね! よし!

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事務所にも入り、バックアップ体制のあるなかでのリリースも経験し、2015年~2016年あたりはこの業界に入って初めて“安定”を感じた期間でした。精神的にもそれなりに落ち着いていて、やっぱり人に恵まれていました。

大人になってからの友達づくりって難しくて、しかも同じ業界や境遇の人ともなればどうしてもライバル関係にあるので、絶対に友達になることはないだろうとどこか決めつけていたのですが、よく共演するアイドルの絵恋ちゃんとはいつの間にか週に1度は会うくらい仲よくなっていました。照れも恥じらいもなく、親友と呼べる数少ない人物です。仕事もそれなりにあって、友達もいて、それは素晴らしいことだと思います。でも、それゆえの漠然とした不安も確かにあって、それこそ絵恋ちゃんにはそんな着地点のない話をよく聞いてもらっていました。

私の今の安定はかなりの低空飛行。ぱいぱいでか美の仕事1本でカツカツながらも生活が普通にできるようになることはとても嬉しいことでしたが、このまま低い位置で飛び続けて変わらない景色を見続けていては、いつか緩やかにエンジンが死んでいってしまいます。なんとか打破したいなぁ、でもどうすればいいのかわからないなぁと思いながら、ひとつひとつの仕事に自分なりに向き合っていました。でもぼんやり悩んでるときって、やっぱり仕事にも出ちゃうんですよ。集中力が足りてないというか。


そんな悪循環に陥りかけるとき、必ず観る映像があります。それは大好きな“ももち”こと嗣永桃子さん(Berryz工房)がバラエティ番組『めちゃ×2 イケてるッ!』で粉まみれになって加藤浩次さんに首根っこをつかまれ、スタジオの外まで引っ張り出される場面です。高校生の頃から敬愛するハロー!プロジェクト。そして揺るぎない推しメン・ももち。ももちのアイドルとしてライブにかけるプロ意識はもちろん、バラエティ進出時の腹の括り方も本当にかっこよくて、それでいて可愛くて。とくにこの『めちゃイケ』での大活躍は自分に足りていないものを浮き彫りにさせられる残酷な映像でもあり、同じようにはできなくても自分なりの姿勢の正し方みたいなものを改めて考えさせられる映像なのです。

「いつか仕事でももちに会いたい」

それが私の目標であり、夢でした。

揺るぎない推しメン・ももちが芸能界引退を発表……

休日は大好きなハロプロを観に行くのが私の趣味。Berryz工房さんが無期限の活動停止をし、私のヲタク人生もどうなることかと思いましたが、引き続きももちを追いかけ、彼女がプレイングマネージャーを務めるカントリー・ガールズさんの現場にいそいそと足を運んでいました。そしてカントリー・ガールズ結成2周年ライブのその日、ももちからある発表がありました。

「私嗣永桃子は、来年の6月30日をもちまして、カントリー・ガールズおよび、ハロー!プロジェクトを卒業します。(中略)卒業後は以前から興味のあった幼児教育の道へ進みます」

頭のなかが真っ白になるような、でもきっといつか来る未来だと覚悟していたような、不思議な気持ちでした。誰かを応援するという行為は、本当に儚いものです。だからこそ尊さが伴う。意思とは関係なく流れる涙と震える脚には我ながら引きましたが(笑)、応援してきたからこそ納得できる、説得力のある大好きな人の決断を引き止めようとは少しも思えませんでした。……いや、少しは思いました(笑)。でも残された時間をこれまで以上に楽しもう、ももちを1秒も見逃さないようにしようと決意しました。

ももちの卒業発表は、大好きだからこそ今までの愛しい日々の延長線上にあるものだと思えました。だからヲタクとしての感情は意外にすぐ落ち着いたというか、受け止められました。とにかくお金を稼いで現場に行きまくるぞ!っていう(笑)。でも、曲がりなりにも同じ業界にいる者としての、目標の人物であったももちの卒業発表という考え方をするならば、夢を叶えるまでの時間がカウントダウンされ始めた、ということでもありました。それはあまりにも自分のエゴでしかなく、ヲタクとしての感情が「許してにゃん」では済まされないくらいそれを許さないので、当時は口にはしませんでしたが、低空飛行を続けてエンジンが死にゆく自分に、喝を入れられたような気持ちにもなっていました。

感謝と愛をこれでもかというほど詰め込んだ楽曲をリリース

これまで以上に遠征したり、グッズをめちゃくちゃ買ったり、応援に力を入れまくりつつも、仕事をしまくりました。やはり気合いとか気概みたいなものって人には伝わるのでしょうか。少しずつまた仕事が増えていきました。ハロプロのCDのレビューを書いたり、コメントを出したり、ハロプロの方と仕事でご一緒させていただくようにもなりました。本当に嬉しくて、もっともっとお仕事も推し事もがんばるぞー!と思えました。

そしてももちが卒業する約3ヶ月前にリリースしたのが両A面シングルの『PPDKM/桃色の人生!』。『桃色の人生!』は自分で作詞作曲をし、ももちへの想いを歌ったラブソングです。ももちに出会った10年前から、人生が桃色に色づき始めた感謝と愛をこれでもかというほど詰め込みました。もう本当に、事務所やレーベルの方に支えてもらって推しメンへのラブソングをリリースとか、数あるヲタ芸のなかでもかなりキモいよなとは思いましたが、めちゃくちゃいい曲が書けたのでリリースしてしまいました。

手づくり感満載のMVをももちの25歳のお誕生日に公開してからは、私のヲタクはもちろん、ハロプロファンの方やほかのアイドルファン、というか「誰か(何か)を応援したことのある方」からたくさん反響がありました。ひとりひとりに、大切な推しメンを思い浮かべながら聴いていただけたら嬉しいです。

そしてハロプロOG、ハロプロメンバーの方々がパーソナリティを務めるラジオ番組でも曲をかけていただきました。ほかにも、ももちがゲスト出演したラジオで私に関するハガキを読んでもらえたり、私の“ももち愛”についての取材が来たり、ネットニュースになったり……。もしかしたら、もしかしたらももち本人にこの曲が届くかもしれない、夢が叶うかもしれないと思いました。

ある日、音楽番組『ミュージャック』の収録がありました。番組内でも「ももちのこと好きすぎて曲作っちゃったんですか!?」と共演者さんに驚かれながら「いやー、本人に届けば最高なんですけどね!」とトークを進めていました。すると、ではこちらの画面をご覧くださいと、台本にはない流れが。ん?と思いながら顔をあげるとそこには大好きなももちが映っていました。

「やっほー! ももちこと、嗣永桃子でーす! でか美さん、ニューシングルのリリース、おめでとうございまーす!」

ももちからのビデオメッセージが届いていたのです。もう、夢なのか現実なのかかわからなくて、涙がポロポロ。そのあとにも続くももちからのありがたいメッセージ、すべて書き起こすわけにはいきませんので、もったいないですが概要はこうです。

こんなに自分のことを想って作ってくれたのはつんく♂さん以来なのではないか。愛がたくさん伝わってきました。名曲です。全然引いてないですよー!

この「全然引いてないですよー!」というおちょくられたいヲタク心理を分かり尽くした一言があまりにも“ももち”すぎて「あ、本当に聴いてもらえたんだ、届いたんだ……!」という実感が湧きました……変な話ですが(笑)。しかもマジで現場に行きまくってたので、映像の衣装とか収録のタイミングでわかるんですよ! 「もしかして名古屋公演の合間に撮ったんじゃない!?」みたいな。もうとにかく嬉しくて、やっぱり大好きで、ももちが名曲と言ってくれたからには一生大切に歌っていこうと誓ったのでした。

しかも、本当はスタジオにサプライズ登場するはずがスケジュールが合わず、映像で送ってくれたと、あとでスタッフさんから聞きました。私の夢でもあった「ももちと仕事で会う」はあと1歩のところで叶わなかったけれど、楽曲にコメントをいただけたことはかけがえのない宝物です。今でもメッセージ映像のデータをももUSB(ももちグッズのUSB)に入れてます!

そしてももちの卒業コンサートは、今まで観たどのコンサートよりも最高に愛おしく、美しく、可愛い時間でした。本当に応援してきてよかったと思ったし、絶対にももちなら今後の人生も大丈夫だろう、大丈夫そうすぎてなんの心配もないのがももちすぎる、素晴らしいラストコンサートでした。そしてそんなももちに「絶対に幸せになってね」と言われてしまった“おとももち”(ももちのファン)のみんな。ひとりひとりの人生を彩ってくれたももちが最後に残したファンへのお願いごと。私は今もそれを守るべく、毎日楽しく健やかに生きてますよ!

ももちに出会えなかったら、まったく違う人生を歩んでいました。この連載のタイトルも『桃色の半生!』じゃなくて『灰色の半生!』だった可能性すらありますよ! だとしたら連載してないか(笑)。とにかく、ずっとずっとずっと大好きな、人生の推しメンです!

事務所には理解あるスケジュールを組んでいただいてたので、ラストツアーもファンクラブバスツアーも、めちゃくちゃヲタ活できました

著者紹介

ぱいぱいでか美
1991年5月3日生まれ、三重県出身。牡牛座O型、桃色の女。名乗るほどでかくないがそこそこでかいおっぱいを武器に、テレビやグラビア、ライブにDJ、もはやおっぱい関係ない執筆業など、縦横無尽に活動中。

【でか美のぼやき】
ももちのことをももちと呼ぶのは、ももちがそう呼んでくれとある日突然言い出したときから、ずっとそう呼んでいます。でもたまに心のなかでだけ「嗣永……桃子さん……」になってしまいます。

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[ぱいぱいでか美]