ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第27回:足立区モンスターハンター(7)
足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!
足立区アベンジャーズが集結
決戦の日は急にきた。いつものように学校で授業を受けていると、校庭の向こうの柵越しからジャージの上下と学ランで自転車に乗ったふたりがこちらに向かって手を振っていた。よく見るとジャージは本郷で学ランはH中の竹内だった。竹内は当時、本郷と同じくらい強いと言われていた人物。このふたりの名前は同年代であれば必ず出るくらい有名だった。
ふたりは目立っていたのですぐに学校がざわついた。他校の生徒が昼間に来るなんて何事なんだと先生たちも騒ぎだした。本郷たちに話を聞こうと、生活指導の先生を筆頭に先生たちが数人で本郷たちに向かって校庭を横切って歩いていった。そして生活指導の先生が言った。
生活指導「自分の学校に帰れ」
高圧的に話していた生活指導の先生の声は教室まで聞こえてきた。何でここに来たんだ的な会話を数回交わしたあと、本郷と竹内はゆっくりと自転車を発進させた。そして、ある程度の距離ができると「くそセンコーが」「うぜんだよバーカ」と先生たちを挑発する言葉を浴びせながら走り去っていった。
まじで何しに来たんだ? 暇だったとしても本郷たちの遊び場から俺たちの中学は遠すぎるし遊ぶところもほぼない。気になって休み時間に電話してみた。
あら「さっきいたっしょ?」
本郷「いたいたわかった? というか今もいる」
あら「どしたの?」
本郷「とりあえず今プールの横の神社?にいるからこれる?」
あら「わかった。待ってて」
授業を抜け出し学校のすぐ横にある神社に向かった。するとブランコに乗っているふたりがいた。
あら「なにしてんの?」
竹内「お前の中学の先生うざいんだけど」
あら「あれ生活指導の先生だからね。なんて言われてたの?」
竹内「ずっと帰れ帰れ言ってたわ」
あら「そりゃそうでしょ、でどうしたの?」
本郷「今から漢字中潰しに行くよ」
あら「急に? どういうこと?」
本郷「まとめと話して今日に決めた。みんないるからとりあえず行こう」
あら「みんな? とりあえずチャリとってくるわ」
少し離れた公園に到着すると、そこにはA中、B中、C中、D中、E中、F中、G中、H中の各学校の番長が集結していた。旬な言葉で言うと足立区アベンジャーズといったところだ。
あら「なにごと?」
まとめくん「漢字中の話したら集まってくれた」
あら「100パー戦うじゃん」
まとめくん「むこうが喧嘩できるやつが多いっぽくてとりあえずこのメンバーで」
まとめくんが仕切りだしてみんなに言った。
まとめくん「とりあえずむこうが何人で来るかわかんないからわかってるやつの担当だけ言うね。サッカー部の3人は俺、ロン毛、竹内でやる。で、あとバスケ部のやつが厄介で身長が180越えてるやついるらしい、そいつは荒木で」
あら「なんでだよ! 身長的に絶対ロン毛でしょ」
まとめくん「いけるいける」
あら「まじかよ」
こんだけ各学校の番長が集まっていたのになんで俺?な状況だったが、断ったらダサいみたいな流れというか激流に飲まれ激渋々で承諾してしまった……。(次回へ続く)