ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第26回:足立区モンスターハンター(6)
足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!
OBも出てきて壮大な展開に……
(前回からの続き)
ロン毛「てめぇが竹原か?」
竹原「だからなに?」
誰もが思った。
「ダメだ、始まる」
ロン毛が竹原の胸ぐらを掴んだ。
ロン毛「調子こいてんじゃねーぞ」
竹原「は? こいてねーよ。てか手離せ」
ロン毛「タイマンはれよ」
竹原は身長165センチくらいだったのでロン毛との身長差は20センチくらいあるように見えた。
竹原「離せっていってんだろ」
竹原がロン毛の胸ぐらを掴む。ここから一気に取っ組み合いになった。ここまでの時間はほんの数秒の出来事だったかもしれない。
本郷「店前だから移動してやったほうがいいよ」
もめ事大好きの本郷は冷静だったがふたりの耳には届かなかった。ロン毛が竹原の顔面を殴りグチャっと鈍い音がした。そのワンパンで火がついた竹原。どうにか反撃しようとするが身長差もあり、ガードはしてるものの何発も顔面を殴られる。グチャグチャと鈍い音だけが聞こえてくる。
だが竹原は冷静だった。ロン毛が勝ちを確信した一瞬の余裕を見逃さなかった。そんなロン毛が身長を生かしてハイキックしようとしたとき、竹原が間合いを詰める。そしてロン毛のバランスが崩れた瞬間、右フックでロン毛の顔面をとらえた。あまりにも綺麗に決まったフックでロン毛がさらによろけた。
その一発をみて本郷が言った。
本郷「やめー! とめろ」
みんなが我に返った瞬間だった。みんなでふたりを引き離した。なぜこのタイミングで止めたのかはロン毛をみたら一目瞭然だった。竹原の右フックはロン毛の鼻を見事にとらえていた。イケメンだったロン毛の鼻はすぐにイケメンとは言えないほど大きく腫れ、出血もひどくひん曲がっていた。
本郷「たぶん鼻折れてるよ。竹原の勝ちでしょ」
だが興奮が収まらないロン毛。まとめくんが必死に止めていたとき1台の車が停まった。
幼友達「まじかよ。終わったわ。先輩きた」
車でたまたま通りかかったのは漢字2中のOBで相当名のある先輩だった。
OB「てめぇら何してんだよ。おい竹原」
竹原「すみません。なんか喧嘩売られたんで」
OB「誰だそいつら」
竹原「A中と自中とC中です」
OB「お前ら2対5でやったの?」
竹原「いえ、A中のやつとタイマンです」
OB「おい、A中のやつこい」
まとめくん「はい」
OB「お前らの先輩に○○いるだろ? 連絡して呼べ」
まとめくん「すみませんそれはできないっす」
OB「この地域で騒いでんだからだめだろ、呼べ」
まとめくん「わかりました」
OB「お前らはなに?」
本郷「自分たちは○中です。止めてました」
OB「お前らは今日はいいから帰れ」
本郷「はい、すみませんでした。お疲れさまです」
本郷まじか!? 最高に裏切ったな。
本郷は僕らにむかってアイコンタクトで逃げろと伝えてきたので、申し訳なかったが本郷と吉井と3人でその場を離れることになった。本郷の情報によると名のあるOBは相当やばいらしく、それにプラスでA中のOBも相当な名のあるOBだという。わかりやすくいうとワンピースでいう王家七武海、ドラゴンボールでいうレッドリボン軍クラスのヤバメンだったらしい。あそこで下手にでしゃばって七武海が終結したらもっとめんどくさいことになってたからという理由で立ち去ったらしい。しばらくしてまとめくんから連絡がきた。
まとめくん「ごめん、とりあえず何事もなく済んだ」
あら「どうなった?」
まとめくん「漢字2中のエリアでもめ事起こしたからとりあえず謝って、ちゃんとタイマンはって決着つけるか聞かれて、やらないって言って終わった」
あら「まじか。ロン毛大丈夫?」
まとめくん「病院行った」
その後は両中学校のOB立ち会いのもと示談で解決したらしい。竹原vsロン毛は竹原が勝利したが、竹原勝利の勝因は寸前までやっていたゲーム、キングオブファイターが決めてだったんじゃないかなと今でも思う。