ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第23回:足立区モンスターハンター(3)
足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!
足立区では番長がモテる!?
(足立区モンスターハンター2からの続き)A中と同盟を組んだ僕たちはA中とつるむことが多くなった。つるむのはロン毛とまとめくんがほとんどで、会うたびにロン毛のイケメン加減がすごかった。川向こうの学校の可愛い女子はだいたい手をつけてます的な感じでいろんな女子の話を聞かされた。今の中学生はませているのか僕たちが特別遅れなのか、ロン毛率いるA中crewには全員彼女がいた。中学に入学してすぐにそういう話になり、中1が終わる頃には「元カレ」「元カノ」という言葉をすでに使っていたらしい。
女子のじょの字、というか“くノ一”のくの影すらみえない僕らをみてロン毛が言った。
ロン毛「女興味ないの? ○中の頭って言えば呼べるやつたくさんいるけど」
あら「そうなの? それがステータスって初めて知ったわ。女に興味あるやつたくさんいるけど」
ロン毛「今度呼ぼうか?」
あら「まじか、すげーな」
ロン毛「次声かけてみるわ」
そして何日かしてすぐに連絡がきた。ロン毛の素早い有言実行に、内面もイケメンなのか内面もロン毛なのか内面ロン毛だなと思いながら話を聞いた。
ロン毛「今日の夜3人呼べたよ」
あら「3人も?」
ロン毛「○中の女番長とその友達」
あら「女番長? 響き女子プロだな」
ロン毛「伝えとくわ。でも普通に可愛いよ」
あら「やめて! とりあえず夜で。行く前連絡するわ」
そして3人の荒木JAPANが召集された。もちろんメンバーは安定のこの方々。
テ~テ~テテ~テテ~テレレレ~
ここからは日本代表のテーマを流しながらメンバーを迎えてほしい。
まずは……女大好き・吉井!
続いては……激エロ・河津!
そして最後は……大硬派・篠木!
以前の試合(第16回参照)は大敗したがリベンジすることにした。メンバーには、今回は外見とかではなく強さがステータスだから有利に試合が運べると伝えると「なんだそれ?」と言いながらもみんな自信ありげで嬉しそうだった。話を聞いてからは午前中に上野に洋服を買いに行くなど、それぞれがおしゃれに気を配り試合に備えた。集合場所はいつもの土手だ。
土手に到着すると野球場のベンチに人影がみえた。ひとりはロン毛でもうひとりはベンチに座っていた。身長的に立っているのがロン毛で座っているのが女の子だろう。
ロン毛「おせーよ」
あら「ごめん。遅れた」
ロン毛「みき、○中の荒木」
あら「ちわーっす」
ロン毛から紹介されたみきちゃんは眼鏡をかけていてインテリ美人といった感じだった。
あら「ほかのメンバー少し遅れるわ」
ロン毛「あとふたりはもうちょいでくる」
しばらく3人の時間が続いた。ロン毛とインテリ眼鏡のみきはいい感じだが付き合ってはいないようで、インテリ眼鏡のみきが一方的にロン毛に好意を寄せているようにみえた。なぜなら、いきなりインテリ眼鏡のみきがロン毛にキスをしたからだ。
あら「どういう状況?」
ロン毛「俺のこと好きなんだよこいつ」
みき「逆でしょ」
ロン毛「は? 逆じゃねーよ」
あら「ビックリするわ」
インテリ眼鏡のみきの愛情表現は飼いたてのダックスフンドみたいだなと思いながら待っていると、ロン毛を呼ぶ声がした
「ロン毛ー」
遅れていた女番長が到着した。
ロン毛「こっち」
女番長「まじ暗くてなにもみえないんだけど」
女舎弟「何人いる?」
恐る恐る近づいてくるふたり。
ロン毛「2ケツかよ」
女番長「うちチャリ撤去されてあしないの」
ロン毛「○中のありさ、○中の荒木」
あら「ちわーっす」
女番長の乗った自転車はハンドルに造花のハイビスカスが巻きてけられ、ところどころにタバコの銘柄のシールが張られていた。そんなハイビスカス号に乗った女番長と舎弟はジャージの上下&金髪ぎみの茶髪でヤンキー調ではあったものの、顔的なパーツやらスタイルは中学生には見えずロン毛の言うとおり高レベル女子でかなり可愛かった。足立区あるあるなのか、めちゃくちゃ可愛いけどヤンキー女子というやつだ。
挨拶をすませると、女番長はなぜか僕らと距離をおいて土手の階段に座った。座るとすぐに女舎弟になにやら指示を出し、携帯から音楽が流れはじめた。女番長と女舎弟は音楽に合わせて踊りはじめた。(次回へ続く)