ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第28回:足立区モンスターハンター(8)

連載・コラム

[2019/7/15 17:00]

足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!


足立区ってこうなってんじゃん

(前回からの続き)
まとめくん「とりあえずこの人数で動くと目立つからわかれて向かって後合流しようか」

まとめくんの無駄のない計画でバラけて漢字中に向かった。一緒に向かったメンバーは本郷、竹内、そして遅れてきた吉井と俺の4人だった。今いる地点から漢字中の場所は足立区の端から端に横断するくらいの距離があった。漢字中に行くには環七ルート、梅島ルート、土手ルートなど何パターンもルートがあったが、土手ルートが1本道のため自転車で走りやすいので使うことが多かった。だがここで竹内が謎に土地勘強いアピールをしてきて彼の先導で漢字中に向かうことになった。竹内のルートは斬新だった。

竹内「お前ら足立区の形、理解してる?」
あら「してない」
竹内「足立区ってこうなっててこのへんが今いるとこなのね」

竹内が地面に枝で足立区を書き始めた。竹内が書いた足立区はホタテばりに扇形だった。

あら「へー」
竹内「で、ここから回っていけば早く着けると思うんだよね」
あら「すげー考えだな」

そして、竹内は足立区から荒川区に繋がる橋を越えいきなり足立区を離れ独自の荒川区ルートを開拓した。土手沿いで暮らしていたけど、向こう岸の土手の土地勘はまったくなかった俺と吉井は竹内にすべてを任せた。走りながら竹内は電柱に書いてある住所をみながら説明する。

竹内「足立区ってこうなってんじゃん」
吉井「うん」
竹内「ここからきて今荒川区の○○だからこう進んでるわけ」
吉井「そうなんだ」
竹内「もうちょいかな」
吉井「めゃくちゃ近いじゃん、すげー」

そしてそのあと僕たちは竹内の「足立区ってこうなってんじゃん」を何回も聞かされながら荒川区を自転車で1時間以上走り続けた。

本郷「ここどこ? お前迷ったっしょ?」
竹内「迷ってねーよ」
本郷「ほんとかよ」
竹内「足立区ってこうなってんじゃん」
本郷「というかそもそも足立区ってそうなってるか?」
竹内「なってるっしょ」
本郷「お前迷ったならまじちゃんと言えよ」
竹内「だから迷ってねーよ、足立区ってこうなってんだろうがよ」
本郷「は? お前なにブスくれてんの?」
吉井「やめよやめよ、とりあえずどっかで作戦会議しない?」

足立区1位vs2位が勃発しそうになり吉井がナイスタイミングで仲裁に入った。そして休憩ポイントを探してる途中、中学校を見つけた。

竹内「あいつらに聞けばよくない?」
本郷「行ってみっか」

嫌な予感しかしなかった。学校に近づくと休み時間なのか学ラン姿の生徒が数名でいるのがみえた。
竹内「なんかボンタンみたいなやついるけど何あいつ?」
本郷「あいつにしようぜ」

と言うと竹内と本郷はいきなり喧嘩を売った。

竹内「おい、お前それボンタン履いてんの?」
本郷「お前強いの?」

いきなり絡まれたボンタンくんは敬語になる。(次ページへ)