1970年代ロックのなかでも最高の表題曲〜イーグルス『呪われた夜』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第44回:1970年代ロックのなかでも最高の表題曲
今回ご紹介するのはこちら。
イーグルス『呪われた夜』(1975年)
アメリカでもっとも売れまくったバンドのひとつ。この連載でも2回目の登場となるイーグルス。『呪われた夜』は彼らの4枚目のアルバムにして、初の全米ナンバー1ヒットとなった記念すべきアルバムである。
適度にカントリー要素もありながらハードロック的なアプローチもあり、いかにもアメリカ西海岸のバンドらしいカラッとした開放的なサウンド。どこからどう聴いてもアメリカのバンド。絶対にアメリカのバンド。これでアメリカのバンドじゃなかったらキレる。
それにしてもタイトル曲『呪われた夜』は素晴らしい。ビートルズの『カム・トゥゲザー』(1969年)を思わせる重々しいイントロにファルセットのハーモニーが美しいコーラス。ギターソロもいい。『ホテル・カリフォルニア』(1976年)もそうだが、個人的に1970年代ロックのなかでも最高の曲のひとつに選びたい名曲だ。
そしてこれまたなんとも印象的なジャケットである。暗闇のなか浮かび上がるカラフルな牛の骨と、闇とほぼ同化していながら翼を広げ異様な存在感を放つ鷹。エスニックな色使いも相まって一見すると魔術的で不気味さすらも感じてしまう。まるでラスボスのような雰囲気なので、じっと見てると実はこいつを倒さないとこのアルバムを聴いてはいけないんじゃないかという気さえしてくる。
ところで僕の友達の芸人で“おせつときょうた”という漫才コンビがいるのだが(最近漫才新人大賞で優勝したコンビ。おめでとう!)、その片割れのおせつくんにこのアルバムを勧めたらいたく気に入ってくれた。まあ彼は音楽の良し悪しを「女の子を家に連れてきたときにかけていたらかっこいいかどうか」で判断しているタイプなので、質がどうとかの話しではないのだが、とりあえず近々女の子を家に連れてくる予定のある人、その子にかっこいいと思われたければこのアルバムをどうぞ。
ただし計算が見え見えで女の子に呆れられた結果、本当に呪われた夜にならないようにね。