派手ではないが奥は深い〜コート・イン・ジ・アクト『ヒート・オブ・エモーション』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2019/8/14 12:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第54回:派手ではないが奥は深い


今回ご紹介するのはこちら。

コート・イン・ジ・アクト『ヒート・オブ・エモーション』(1996年)

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ハードロック暗黒期の1990年代にアメリカでデビューした素晴らしいバンド。時代のせいもあってか大きな成功を手に入れることもなく、かなりのマニアでもなければ知らないくらいの存在に留まっている。

いや、そもそも時代がどうこう以前にこの音楽性では大きな成功を手にすることなどなかったかもしれない。全体的にB級感漂う音作り、ミドルテンポ主体の楽曲、いいメロディではあるが同系統のフェア・ウォーニングなどにみられるような大仰感のなさ。個性的なスタープレイヤーの欠如。

要するに地味なのである。わかりやすいインパクトに欠けるぶん、なかなか一般リスナーを振り向かせるのは難しいと思う。(次ページへ)