ヤツの顔面とは明らかに質が違う!〜布袋寅泰『DOBERMAN』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2019/7/24 12:00]
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第51回:ヤツの顔面とは明らかに質が違う!
今回ご紹介するのはこちら。
布袋寅泰『DOBERMAN』(2003年)
わざわざ語るまでもなさすぎる日本を代表しすぎてるロックギタリスト、布袋さん。聴いてすぐに彼とわかる個性的な音色と確かなテクニックで世界的にも評価されている誇るべき日本人ギタリストである(ただどこかの国のライブで映画『キル・ビル』のテーマ曲『BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY』をやったらカバーだと思われたという話もあるが)。
『DOBERMAN』は布袋さんのソロとしての9枚目のアルバム。よく言われているように彼のギターはまるでコンピューターのように正確なリズムとフレーズ、それにモノクロのイメージからどこか冷たい印象を抱きかねないが、例えばラストのインスト曲『HOWLING』なんかを聴けば、刃のように研ぎ澄まされた冷たい音色の奥にコンピューターには決して生み出せない人間の確かな体温を感じ取ることができる。他にもCMでも起用された『NOCTURNE No.9 』や『TWISTED BON VOYAGE』あたりなんかは、硬派なロックのイメージのなかに普遍的なポップフィーリングも兼ね備えていて、そこらへんはやはりヒットチャート上位常連の布袋さんならではのセンスによるところなのだろう。(次ページへ)