ただのイモ臭い集合写真だろこれ……〜スコーピオンズ『狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2019/7/31 12:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


番外編(第52回):ただのイモ臭い集合写真だろこれ


やってきました最終火曜日。ということはやってきましたヒドジャケのコーナー。『♯ヒドジャケ』がトレンド入りする日を目指して今回も一生懸命悪口を書きます。

スコーピオンズ『狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー』(1976年)

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今回はドイツから、ジャーマンメタルの元祖的存在とも言えるスコーピオンズを。初期の頃は“神”マイケル・シェンカーをギタリストに迎え活動していたが、ほどなくしてマイケルはイギリスのハードロックバンド、UFOに移籍。その後任として入ったのが“仙人”ウリ・ジョン・ロート。ジミヘン、クラシック音楽、オリエンタリズムの要素を絶妙にミックスさせた唯一無二のプレイスタイルをもつギタリストである。ちなみにマイケルが後任のウリにスコーピオンズを託すとき、「スコーピオンズは君に任せた。俺はインドに行って僧侶になる」という訳のわからない言葉を残して去っていったという逸話を聞いたことがある(もちろんインドになど行っていない)。とっても変な子マイケル・シェンカー。

『狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー』はスコーピオンズの4枚目のアルバム。全体的に独特の陰鬱さを醸し出しながらもロックンロールなグルーヴ感は十二分に味わえる名盤で、ウリの個性的なギターがアルバム全体を鮮やかにみせてくれている。ただウリの曲はもろにジミヘン感満載なうえ、ウリ本人による歌唱がもはや絶好調の魔術師の呪文レベルなので、そのあたりに関しては評価が分かれるところかもしれない。

さてジャケットだが、あまりにもシンプルすぎるただのメンバーの集合写真。アイデアも何もない上にウリ(向かって左から2番目)の表情は何かアホっぽいし、他のメンバーのガッツポーズもいまいち覇気がない。何というか、イモ臭い。このジャケットじゃ名盤だという情報がなければとても購買意欲は湧かないだろう。(次ページへ)