彼らの歴史のなかでも重要な初期作〜ジューダス・プリースト『運命の翼』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2019/7/17 12:00]
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第50回:彼らの歴史のなかでも重要な初期作
今回ご紹介するのはこちら。
ジューダス・プリースト『運命の翼』(1976年)
言わずと知れてるってほどでもないメタル・ゴッド。ヘヴィメタルを生み出したのがブラック・サバスならヘヴィメタルの様式美を定着化させ、成人させたのはまさしくこのジューダス・プリースト。つまり一般の人がヘヴィメタルに対して抱いているイメージ(レザージャケットに身を包みバイクに乗って甲高い金切り声でシャウト、的な)は彼らが作り上げたものなのだ。
『運命の翼』は彼らの2枚目のアルバム。この時点での音楽性は、いま現在の“THE ヘヴィメタル”といった感じではなく、どちらかというとプログレッシヴロックの要素も含んだ叙情的なハードロックといった印象。ウィッシュボーン・アッシュ(※1970年代のイギリスを代表するロックバンド)をより激しくした感じ、かな。
しかし緻密に作り込まれた楽曲の完成度は高く、プリーストの歴史のなかでも重要な一枚としていまだに高く評価されているアルバムである。またボーカル、ロブ・ハルフォードの4オクターブ以上とも言われる声域によるハイトーンボイスがあまりにも強烈な個性を放っていて、同時期にハイトーン系ボーカリストとして君臨していたロバート・プラントやイアン・ギランを圧倒するほどの声を聴かせている。あれはもはや小学生の女の子が出す声である。それか南米の元気な猿。(次ページへ)