彼らの歴史のなかでも重要な初期作〜ジューダス・プリースト『運命の翼』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2019/7/17 12:00]
ジャケットも知的で深みのある音楽性を見事に表現している。カッチリと固まった動きのない絵ではあるが、繊細な肉体表現のうまさなど、ヘヴィメタルアルバムのジャケットのなかでも相当画力は高いほうだと思う。バンドロゴもこの頃のほうがかっこいい。
それにしてもこのアルバムでもそうだが、メタルアルバムのジャケットに登場する天使というのはやたらとひどい目に合っていることが多い。以前この連載でも紹介したブラック・サバスの『クロス・パーパシス』では羽を燃やされ、ヴァン・ヘイレンの『1984』では煙草を吸わされ、そして『運命の翼』では地獄に落とされ……。まあメタルの世界では主役は天使よりも悪魔なので仕方のないことかもしれないが。
しかしこの約30年後、プリーストは『エンジェル・オブ・レトリビューション』というアルバムを発売する。そのジャケットで炎のなかから復活した鋼鉄の天使がこの『運命の翼』のジャケットの天使なのかどうかは全然わかりませんすみません。