まさに彼の人生の変化が描かれたジャケット〜バディ・ガイ『ザ・ブルース・イズ・アライヴ・アンド・ウェル』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2019/9/11 12:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第58回:まさに彼の人生の変化が描かれたジャケット


今回ご紹介するのはこちら。

バディ・ガイ『ザ・ブルース・イズ・アライヴ・アンド・ウェル』(2018年)

<耳マンのそのほかの記事>

ロックをはじめ、すべてのポピュラーミュージックを演る者たちはブルースに対する敬意を常に忘れてはいけない。という考えはブルース自体が古臭い音楽と認識されてしまっている昨今においてはあまり通用しなくなってしまっている。というよりすべてのポピュラーミュージックのルーツはブルースにあり、皆意識せずともブルースの恩恵を受けているという事実自体がそもそも認識されていないのだと思う。

本物のブルースを知る最後の男と言われるバディ・ガイももう80歳を超えている。本物のブルースというのはまだ人種差別の激しい時代にアメリカ南部に生まれ極貧時代を過ごすという、ブルースが生まれた条件ともいえる経験をしているところからそう言われている。マディ・ウォーターズやB.B.キング亡き今、バディ・ガイこそが唯一にして本物のブルースマンなのである。ではもし彼がいなくなったらブルースは死んだということになるのか……?(次ページへ)