どっかの中古車販売店のロゴかと~ロイヤル・ハント『ランド・オブ・ブロークン・ハーツ』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2020/3/25 11:55]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


番外編~残念なジャケット~(第85回):どっかの中古車販売店のロゴかと


悪口も 国が遠けりゃ 聞こえない

ロイヤル・ハント『ランド・オブ・ブロークン・ハーツ』(1993年)

<あの海外セレブの背後に偶然ロバートが写り込む奇跡>

というわけでまたやってきてしまった月の最終水曜日。今月紹介するヒドいジャケットは遥か異国の地、デンマークから1990年代を代表するネオクラシカルロックバンドのロイヤル・ハント。

ネオクラシカルロックとはギタリストのイングヴェイ・マルムスティーンによって開拓された、クラシックのコード進行やメロディを大胆に導入させたロック(というかメタル)のジャンルのひとつである。イングヴェイのほか、インペリテリやストラトヴァリウス、ソナタ・アークティカといったスピードメタル系のバンドもネオクラシカルロックの要素を取り入れている。

そんななか、ほかの多くのバンドとは一線を画しキーボードを大々的にフィーチャーしたネオクラシカルロックを展開しデビュー当時から高い評価を得ていたバンドがこのロイヤル・ハントである。ボーカルやギターが主役のバンドがほとんどのなかキーボードがメインというのがそもそも斬新であり、その煌びやかで重厚感のあるキーボードのサウンドがネオクラシカルロックというジャンル自体との相性も抜群で、ロイヤル・ハントはまさにヘヴィメタル不遇の時代とも言える1990年代の期待の星として注目された。ちなみに同作収録の『MARTIAL ARTS』はプロレスラーの蝶野正洋さんの入場曲としてよく知られている。(次ページへ)